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熱風2016年8月号 特集「広告と宣伝」-テクノロジーがもたらした変化と昨今の広告に対する違和感-

      2016/09/19

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、今月の特集は、「広告と宣伝」です。

広告と宣伝について、興味深い話があります。それは、「いま宣伝部という名称を使っている会社または業界は斜陽である」というものです。世界的な広告のアワードの「カンヌ国際広告祭」は、2011年から「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」と名称を変更しました。

デジタルテクノロジーの発達に伴い、従来の広告枠が大きく変化しました。テレビでのCMは以前ほど効果を発揮しなくなり、企業がWeb広告にかける予算は、年々増えつつあります。しかし、Web広告も広告表示がされていない広告記事が出回っていたりするなど、広告の質自体は高いと言えないものもありますし、試行錯誤が続いている状況です。僕もそうですが、企業が広告しているものについては、どこか胡散臭いと思う人が増えていると思います。ただ、商品を買ってもらったり、サービスを利用してもらうには、人にメリットを伝えなければなりません。広告と宣伝は欠かせません。

今回の特集では、マーケティングの力でUSJを劇的に成長させた森岡毅さんをはじめとした、マーケティング・広告の最前線にいらっしゃる方々のインタビュー、寄稿記事だけでなく、スタジオジブリがどう宣伝について考えてきたのかを、スタジオジブリの鈴木敏夫さんと、「ズートピア」をヒットさせた、ウォルト・ディズニー・ジャパンの高橋良太さんとの対談で読むことが出来ます。広告と宣伝に携わる人にとっては、必読の特集です。

「広告と宣伝」特集のラインナップは、以下のとおりです。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのプロモーション(森岡 毅)
ソーシャルメディアは若者の消費行動をどう変えたか?(尾原和啓)
今、本当に必要な広告とは(廣田周作)
【対談】宣伝について考える ウォルト・ディズニー・ジャパン 高橋良太×スタジオジブリ 鈴木敏夫 /[司会]日本テレビ 依田謙一

無視できないテクノロジーの発達

最近の広告と宣伝を考える上で、無視できないのが、「テクノロジーの発達」です。テクノロジーの発達によって考えなければならないポイントは、大きくわけて2点あります。

1点目は、情報を提供するチャネルの多様化です。インターネットが発達し、スマートフォンの所有者が増え、SNSを用いたコミュニケーションが浸透し、Webメディアが乱立している現代において、情報を提供するチャネルは多岐にわたっています。テクノロジーが発達する前は、動画はテレビでしか観れませんでしたし、信頼できる文字情報は新聞や雑誌でしか読むことが出来ませんでした。ところが、今では新聞社も動画を配信しますし、文字情報は個人メディア含めたWebメディアが乱立し、むしろ新聞や雑誌は「本当の事は言わない」とすら思われている気がします。

2点目は、データが詳細に計測出来るようになったことです。性別、年齢といったユーザーの情報だけでなく、どんな経路で情報に触れたのか、どのくらい情報に触れたのかということを、現代のテクノロジーを使えば、簡単に調べる事ができます。また、Web広告は、当初準備したコピー/画像から、よく観られている広告にのみ自動的に表示を絞っていくことも出来ます。テクノロジーを使えば、どこに、どのくらい広告すれば、ある程度数字が読めるようになっているのです。今までは、勘と経験が頼りだった広告と宣伝の世界ですが、データの活用によって、費用をどこにいくらかければ、狙っていた効果が出せるのか、ある程度見えるようになっているのです。

クリエイターが商品開発をする理由

広告と宣伝をする上で、最近増えてきていると感じるのは、クリエイティブに携わる人が、商品開発にも係るようになってきている事です。他の商品・サービスとの違いを広告できちんと伝えようとするならば、商品に違いを盛り込まないと、伝える事が出来ない。そう考えるならば、クリエイティブに携わる人自らが商品・サービスの開発に携わり、自らが納得するものを作ってから、きちんと広告を作って宣伝する事例が、僕は増えてきていると思います。

僕は最近、広告と宣伝を考える上で、1つ企業側もユーザーも制作者も誤解しているのではないかと思うことがあります。それは、インターネットがあれば、お金をかけなくても、時間をかけなくても、多くの人に伝えることが出来る、またはブランドイメージが高められると考えているのではないかということです。僕はそれは間違っていると思います。インターネットがあろうとも、なくとも、時間をかけなければ、信頼は得られません。ブランディング、ブランディングという言葉をよく聞きますが、本当のブランディングは、時代の荒波にさらされても、自らの足で立ち続けた人だけが得られるものです。お金をかけたり、瞬間的な知名度の高まりで得られるものではありません。

短期的な効果を得たいと考える企業が多くないか

僕は、短期的に結果を得るために行う、広告と宣伝が増えていることに、違和感を感じます。「とにかく痛みを止めてください」「とにかく症状を改善させてください」。そんな事を言って、薬を医者に求める患者のような企業が増えている気がするのです。本書に登場するUSJの森岡さんや、スタジオジブリの鈴木さんの広告・宣伝手法は、時間をかけて、きちんと信頼を勝ち取るために、数字をベースに練りに練られた上で、実行されています。だからこそ、時代の荒波にさらされても、しっかりと人々に届くのです。

流行り言葉として、特定の手法が喧伝されることがあります。(いまだと「分散型メディア」でしょうか)どのように、誰に、何を、どこに、届けたいか。いくらかけられるのか。それによって、広告と宣伝の方法は異なります。本書は、広告と宣伝を考える上で、当たり前の事を教えてくれる特集です。ぜひ読んでみてください。

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