アップルの税金問題に興味がある人必見の特集「グローバル企業とタックス・ヘイヴン」に関する記事まとめ。

2013/07/15

先週、ジブリが発行する小冊子「熱風」で特集された「グローバル企業とタックス・ヘイヴン」について、特集された記事を紹介してきました。そんな時、タイムリーにこんなニュースが報道されました。

米アップル CEO、上院公聴会で課税逃れの疑いを否定(ロイター・ジャパン)

アップル、マイクロソフト、Googleといった世界中に商品やサービスを提供するグローバル企業は、商品やサービスだけでなくサポートや財務などの機能を世界中に分散させ、最適化させています。こうした取組は税金においても例外ではありません。それが、税率の低い国に税金を納めることで、なるべく低い金額で税金を納めようと様々な方法を実行しています。その総称が「タックスヘイヴン」です。

タックスヘイヴン問題は、単なる課税逃れという問題にとどまらず、力を強めていく企業、税金とはなにか、グローバル化に伴う仕事に対する変化などなど、現代社会に横たわる様々な問題が、複雑にからみ合って構成されている問題と言えます。

そこで、今日は過去に書いた「グローバル企業とタックス・ヘイヴン」に関する記事を紹介します。

ボーダーレス化する時代に求められる新たな「税」の形(大元隆志)

GoogleやFacebookといったグローバルカンパニーは国を越えて高品質なサービスを提供し、時には地域のインフラとして機能することで、国を超えた影響を持っていると言えなくはありませんし、国単体では出来ない社会貢献をしているといえるのかもしれません。記事にも書かれている通り、それが新たな税の形であるとも言えなくもありません。

しかし、それでタックスヘイヴンを効果的に利用した租税回避が許されるのでしょうか。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-ボーダーレス化する時代に求められる新たな「税」の形-

タックスヘイヴン、あるいはフリードマンの亡霊--グローバル時代の自由とは(中山智香子)

そもそもタックスヘイヴンとは、あるお金が税金に取られないように「避難」させる場所の事を指します。だから、これまでタックスヘイヴンは、利用者の間でこっそり知られているだけでした。日本でもAIJやオリンパスの所得隠しの問題で取り上げられ話題になりましたが、それでも国税庁をして「すべてを掴みきれていのが実情だ」と語り、経済学者も「客観的な確認はできないが」と及び腰なのがタックスヘイヴンなのです。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-タックスヘイヴン、あるいはフリードマンの亡霊--グローバル時代の自由とは-

国家を超えて帝国化する企業とともに 私たちは21世紀をどう生きるのか(松井博)

企業の”帝国化”は、国境を飛び越え、加速する一方です。記事によると、企業が業務を移動する時は「コスト」「資源」「リスク」という3つのファクターで決めているそうです。アップル製品の生産は主に中国で行なっていますが、「コスト」が安いという点が大きな要因かと思います。

こうして、「生産」や「サポート」や「総務・経理」といった業務を、自社の業務最適化を推進した結果として、国をまたいでより条件の良い土地に移動させるようになりました。「税金」に対してもこうした考えのもとに条件の良い土地を求めて最適化を目指した結果、「タックスヘイヴン」が生まれたといえるのだと思います。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-国家を超えて帝国化する企業とともに 私たちは21世紀をどう生きるのか-

第三の産業革命が政治や社会のシステムを変えていく(佐々木俊尚)

グローバルカンパニーが生産地を世界中に移した結果、生産拠点がある国や地域には仕事が増えましたが、グローバルカンパニーの本社がある地域では、生産業務に従事する人の仕事がなくなりました。仕事が世界中に分配されているということは、お金も分配されているということを意味します。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-第三の産業革命が政治や社会のシステムを変えていく-

企業と税(村瀬拓男)

当たり前のことですが、税金は「国単位」の制度であるということです。現代国家においては、税を徴収することが出来るのは「国」です。国は取り立てた税を「国の運営」のために使っています。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-企業と税-

税をめぐる道徳と正義について(橘玲)

筆者は記事の中で「タックスヘイヴンに対する批判にはただちに賛同はできない」と述べています。それは、資本主義の原則に沿って考えた場合、節税は株主に対する「義務」と言えるからだというのです。

株主が会社に投資するのは、事業のリスクを追う代償として利益の分配を受けるためであり、経営者は株主から事業の運営を委託されている立場であり、株主に利益を還元する義務を負っていると考えれば、経営者にとってはもっとも税率の低い国で納税することは経営努力の1つであり、「道徳的に正しい」というわけです。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-税をめぐる道徳と正義について-

税の恨みはどこまでも追いかけてくる(岩崎夏海)

著者の主張で興味深かったのは、タイトルにも使われている「税の恨みはどこまでも追いかけてくる」という考え方です。長い目で見ると、合法的な節税だとしても、税金を安く済ませることは、やっぱり世間から恨めしく思われ、そして一旦恨みを買うと、それはどこまでも追いかけてくるというわけです。

書評:熱風2013年5月号 特集「グローバル企業とタックスヘイヴン」-税の恨みはどこまでも追いかけてくる-

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