スタジオジブリの海外ビジネスを手がけた担当者の連載「吾が輩はガイジンである。」が第2回もおもしろい。

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、2013年7月号から始まった新連載「吾が輩はガイジンである。」が第2回も面白いのでご紹介します。

「吾が輩はガイジンである。」では、スタジオジブリの海外事業部取締役部長として、ディズニーとの提携や海外での配給など、スタジオジブリ作品の海外ビジネスを担当してきたスティーブン・アルパートさんが、今まで表立って語られてこなかったスタジオジブリの海外ビジネスの裏側について語っています。

なお、スティーブン・アルパートさんは「風立ちぬ」にてカストルプというキャラクターの声を担当しています。(詳しい経緯は「風立ちぬ」オフィシャルサイトの「プロダクションノート」に書かれています。)

今回は連載の第2回。徳間書店時代のお話です。

ガイジンから見た鈴木敏夫

スタジオジブリのプロデューサーとして、数々の名作を手がけてきた鈴木敏夫さんは実際にはどのように働いているのかが、今回の記事には書かれています。アルパートさんによると、当時鈴木さんはスタジオジブリを率いる傍ら、徳間書店の取締役を務めていました。鈴木さんは朝、恵比寿の自宅から車で徳間書店に出社し、それから1時間かけてスタジオジブリに行き、午前1時に帰宅というスケジュールで働いていたそうです。

なお、スタジオジブリはデジタルから距離があるというイメージがあるかもしれませんが、鈴木さんは”アーリーアダプター”と呼ばれる新しい技術が現れると直ぐに試す人なのだそうです。GPSが普及する前から車にカーナビを設置し、運転中でも話せるハンズフリーの携帯電話を簡単に手に入る数年前から持っていたり、車のトランクに複数のCDをプレイできるシステムが設置され、車内の2台の高性能スピーカーにつなげて音楽を聞く、といった具合です。ちなみに現在も鈴木さんは、iPadとiPhoneを使いこなし、何でも自分で設定してしまうのだそうです。

ガイジンから見た日本企業

アルパートさんの連載で面白いのは、日本人に対する見方です。普段日本人が普通にやっていることだと思うのですが、文字に起こすと確かにどこかおかしい。昔、「ここがヘンだよ!日本人」という外国人から見た日本人の変なところを議論する番組がありましたが、アルパートさんの記事を読んでいると、その番組を思い出します。

アルパートさんの連載には、こんな記述があります。
アルパートさんが英語の喋れる秘書を雇うための面接をする時の話です。

人材紹介業者に依頼し3人の候補との面接を予定していると鈴木さんは私に告げた。
最初の候補の20代前半の女性が会議室に入ってきたとき唖然とした。
紹介者のほかに、徳間の人間が3人もついてきたのだ。
(中略)
アメリカの企業のように1対1の面接を繰り返すのだとばかり思っていた。

さらに私は応募者に聞く質問に驚いた。
質問は宗教から恋人の有無、
もし恋人がいない場合はその理由、
恋人がいたのにいまはいないなら、何故別れたか。
さらに預金高にまで及んだ。
どれもアメリカだったら聞くこと自体違法になる質問だ。

さすがに今ではこんな質問を聞く日本企業はないと思いますが、当時ガイジンが感じていた日本への違和感がよく分かるエピソードです。

ガイジンから見た徳間社長

アルパートさんの連載に徳間グループのドンだった徳間康快さんについても記述があったのですが、結構際どい内容も書かれていたので紹介したいと思います。

業界や政界とのつながり以外に、つねに暴力団とのつながりを噂されたり、
それを匂わすことがあった。
ある日、私が昼食から戻ってくると、
ひとりの男がエレベーターに載るところだった。
(中略)
彼は大きな買い物袋を持ち、(社長室がある)12階のボタンを推した。
(中略)
10回のボタンを押しながら袋を見下ろすと、
いずれも上に女性のスカーフが2枚ほど雑に置いてあり、
その下からゴムバンドでたばねた一万円札の束が覗いていた。

これ以外にも、徳間社長との会議のエピソード、社員総会で徳間社長と鈴木敏夫さんの後にしゃべるプレッシャーなど、スタジオジブリについて今までとは違う切り口で語られている記事は、読み応えがあります。もし、機会があれば読んでみてください。

関連記事

スタジオジブリの海外ビジネスを手がけた担当者の連載「吾が輩はガイジンである。」が面白い
スタジオジブリとは鈴木敏夫そのものである。書評「風に吹かれて」(鈴木敏夫)
スタジオジブリの好奇心。書評「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」

関連商品