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熱風に連載されている川上量生さんの連載「鈴木さんにも分かるネットの未来」第2回:ネット住民とはなにか(1)

      2013/07/17

小冊子『熱風』最新刊 2012年12号

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、2012年11月からネット業界で仕事をしている人にとって、興味深い連載が始まっています。ドワンゴの会長であり、またスタジオジブリのプロデューサー見習いでもある川上量生さんの連載で、その名も「鈴木さんにもわかるネットの未来」です。

タイトルに書かれている「鈴木さん」とは、スタジオジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんの事です。ネットの世界に詳しくない鈴木敏夫さん向けの連載ということで、この記事ではネット業界の現状がとてもわかり易く解説しています。個人的には、梅田望夫さんが7年前に書いた「ウェブ進化論」の続きが書かれていると思って、いつも楽しみにしています。「ウェブ進化論」が好きな人は、この連載はオススメです。

熱風は無料の小冊子ですが、目を通している方も少ないと思いますので、ここでは連載の中から、印象に残った文章を紹介します。

第2回は、「ネット住民とはなにか」です。

ネットを利用する人、住んでいる人

川上さんによると、ネットを利用している人には2種類の人種がいるそうです。それは、「ネットをツールとして利用する人」か、「ネットに住んでいる人」の2種類です。川上さんによる2種類の人種はどちらが正しいかじゃなくて根本的な考え方の差に由来するものなので、なかなか相互理解が難しく自分とは違う考え方が存在していることにも気づいていないというのです。実際、企業がWebサイトのユーザーをセグメントするときに「ネットをツールとして利用する人」か、「ネットに住んでいる人」がいると考えてWeb上でのサービスを企画するなんて、聞いたことがありません。

「ネットをツールとして利用する人」は、ホームページを見て情報を調べたり、楽天やAmazonで買い物をしたり、友達と連絡をとりあうのにLINEやFacebookを使う人のことを指すのだそうです。では、「ネットに住んでいる人」というのはどういう人なのかというと、リアルな現実世界ではなく、バーチャルなネットの中に自分の居場所があると思っていて、現実世界の人間関係よりネットでの人間関係を大切に思っている人のことを指すのだそうです。

ネットに住んでいる人は衰退しつつある

また、「ネットに住んでいる人」には2つのパターンがあるそうです。1つはマイナーな趣味を持っている人が、現実社会では同じ趣味の知り合いを見つけるのが難しいので、ネットに住んでしまうというパターンがあるそうです。たしかに、オタク向けの趣味はネットと相性がいい気がします。もう1つのパターンとしては、そもそも友達が少ない、あるいはいない人がネットに逃げ込んで、ネット上での人間関係を重要視するようになるというパターンです。

しかし、川上さんは「ネットに住んでいる人(以下、ネット住民)」は衰退しつつあるといいます。なぜなら、現在はネットをツールとして使う人たちが大量に現実世界からネット世界に流れこんできたことで、ネット住民から多数派を奪い始めているというのです。

ネット住民はインターネットが一般化する前のパソコン通信の時代から、ネットを楽しんでいる人が多数を占めています。そのころ、ネットはあくまで趣味の世界でした。ところが、インターネットが一般化したことで、趣味の世界だったインターネットに、急激に現実社会のものが流れこんできました。

ネット住民はルールを守らない現代社会の住民を攻撃する

ここが重要なのですが、現代社会から流れこんできた人は、ネット住民を馬鹿にし、自発的に作ったルールを守ろうとはしませんでした。それは、ネット住民が現実社会では地位の低い人間たちが多かったことも、要因だと川上さんは指摘しています。ネット住民が作ったルールを守らない現代社会の住民を、ネットを使って攻撃する。これが”炎上事件”の発端なのです。このことは、あとの連載で詳しく語られていますが、炎上事件を単なる現代社会におけるモラルの問題と捉えてはいけないのです。こうした「文化的な対立」が背景にあることを、おさえておく必要があるのです。

ただ、川上さんは衰退しつつあるといっても、今後ネットで起こることを理解するためには彼らの存在はとても重要だといいます。なぜなら、ネット社会はネット住民のなわばりであり、ネットを使っている時間が特に長い(住んでいるんですから当然です)ため、目が肥えているので、優れたサービスを判断し、顧客になります。そして、ネット住民はよく喋り、すぐに友達に広めようとします。つまり、現実社会で”女子高生”がやっている役割を、ネット世界ではネット住民が担い、ネット世界の流行を作っているのです。

ネット住民は世界中に存在する

ちなみに、ネット住民というのは世界中に存在するのだそうですが、日本は特にネット住民の比率が高い国ではないかと、川上さんは指摘しています。その理由としては、インターネットのインフラが整備されていること、ネットに繋げる裕福なニートが多いことを挙げています。つまり、日本社会の豊かさや貧富や階級の差の少なさが、ネット住民を作り出しているのです。

企業のWebサイト作りに関わっていると、必ず「ユーザー」という言葉が出てきます。でも、ここで語られている「ユーザー」は、あくまで「ネットをツールとして使う人」であり、「ネットに住んでいる人」ではありません。「ネットをツールとして使う人」がいくらサービスを考えても大ヒットしないのは、「ネットに住んでいる人」のことを考慮してサービスを作っていないからじゃないか、などど感じました。

”炎上事件”は文化的な対立が原因

また、繰り返しになりますが、ネット住民が作ったルールを守らない現代社会の住民を、ネットを使って攻撃する。これが”炎上事件”の発端なのです。このことは、あとの連載で詳しく語られていますが、炎上事件を単なる現代社会におけるモラルの問題と捉えてはいけないのです。こうした「文化的な対立」が背景にあることを、おさえておく必要があるのです。

翌月の記事では、川上さんは引き続き「ネット住民」について語っていますので、改めて詳しく紹介したいと思います。

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