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熱風に連載されている川上量生さんの連載「鈴木さんにも分かるネットの未来」第9回:オープンからクローズドへ

      2015/01/24

スタジオジブリは、毎月10日に「熱風」という無料の小冊子を発行しているのですが、2012年11月からネット業界で仕事をしている人にとって、興味深い連載が始まっています。ドワンゴの会長であり、またスタジオジブリのプロデューサー見習いでもある川上量生さんの連載で、その名も「鈴木さんにもわかるネットの未来」です。

タイトルに書かれている「鈴木さん」とは、スタジオジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんの事です。ネットの世界に詳しくない鈴木敏夫さん向けの連載ということで、この記事ではネット業界の現状がとてもわかり易く解説しています。個人的には、梅田望夫さんが7年前に書いた「ウェブ進化論」の続きが書かれていると思って、いつも楽しみにしています。「ウェブ進化論」が好きな人は、この連載はオススメです。

熱風は無料の小冊子ですが、目を通している方も少ないと思いますので、ここでは連載の中から、印象に残った文章を読書メモとして紹介します。

第9回は、「オープンからクローズドへ」です。

コンピュータの世界で宗教性を帯びたキーワード「オープン」

  • コンピュータの世界では「オープン」という言葉がある種の宗教性を帯びたキーワードになっている
  • 基本「オープン」であることは正しい。そして正しいがゆえに「オープン」が勝利する、そういったイデオロギーがある
  • なぜ「オープン」のほうが「クローズド」よりも強いのかというと、一般的な説明では自社だけではなく、参加する他企業の力も借りて一緒に市場拡大できるからと、ユーザーが安価で質の高い数多くの選択肢が得られるオープンなプラットフォームを好むから
  • 「オープン」なプラットフォームは民主主義的な理念とも合致する
  • クローズドからオープンへの流れがGoogle以降逆流している

FacebookとiPhoneの登場によりクローズドが優勢に

  • クローズドからオープンへの波が逆流し始めたのは、FacebookとiPhoneの登場から
  • FadebookはFacebookの中にサービスを抱え込んでいて、ユーザーはFacebookの中だけ知っていれば事足りる
  • Facebookの中はGoogleにも検索できていないので、Googleからの流入に依存しないネットサービスとしては珍しい設計
  • iPhoneはネイティブアプリ(端末にインストールするアプリ)中心の世界で、ウェブブラウザすら数あるアプリのひとつにすぎない
  • ネット全体でFacebookのような友達のつながり中心での狭い世界しかみせないようなネットサービスが流行している
  • 本来オープンなインターネットの旗手であるGoogleがAndroid戦略の多くの点については、アップルを模倣している

Googleはイエローページ。Facebookは個人の電話帳

  • Googleはでっかい電話帳。イエローページみたいなもの
  • 電話の世界のポータルはイエローページだった。近くの歯医者に行こうと思ったら、イエローページで歯医者のリストを探した。イエローページに載っていない歯医者は存在しないも同然だった
  • 電話が一般的になってくると、イエローページではなくいつも利用している電話番号や友達の電話番号をまとめた個人用の電話帳のほうが重要になって利用頻度があがってきた
  • 電話の世界でのイエローページと個人の電話帳との関係の説明はほとんどそのままGoogleとFacebookの関係の置き換えても成立する
  • インターネットが人間社会の発達にともなって、オープンな公共の場からクローズドなプライベートな場へネットユーザーの生活がシフトしていくのは、当然の結果

Googleまでもクローズド戦略を実践

  • パソコンとスマートフォンの一番大きな違いは、自由にアプリケーションをつくり、流通することが許されていない。
  • iPhoneもGoogleが提供するAndroidも審査を取らないとアプリが配布できないような仕組みになっている
  • GoogleのAndroidアプリを提供する際の行動は、もともとGoogleが持っていたオープンな戦略とは逆行している
  • アップルはパソコンが誕生して依頼、オープン戦略と戦い続けてきた会社で、これまで常に敗北し続けてきた
  • WindowsがAppleに勝ったのはまさにオープン戦略のおかげ
  • 自社技術をオープンに開放することは、市場を獲得するのに非常に有効だが、結果的に市場と利益を失ってしまう諸刃の剣になりうる
  • 自分以外はオープンな市場で、自分のやっていることはクローズドな市場で独占するというのがいちばん都合がいい。そのためのノウハウがIT企業にたまってきた

クローズド戦略の方が儲かる

  • 今後、しばらくは人間社会としてのインターネットはクローズドな方向に流れるのは避けられない
  • プラットフォームの支配者にとってオープン戦略は強力かつ必須な武器ですが、クローズドにしたほうが儲かる
  • 任天堂モデルと呼ばれるか提供ゲーム機のビジネスモデルは、ソニーやマイクロソフトもそのまま踏襲した
  • 任天堂モデルは、ゲーム専用機に特化したコンピュータを高性能かつ廉価で大量販売し、ソフトウェアの販売で利益を得る
  • ゲームソフトは任天堂のようなプラットフォーマーの許可がないと販売できない
  • 任天堂モデルはプラットフォームホルダーが絶大な支配力を行使し、利益を確保できる構造がつくられている
  • 任天堂モデルを模倣して成功したのがiモード
  • AppleやGoogleのスマートフォンのビジネスモデルはこのiモードを参考にしたと言われている
  • プラットフォームホルダーがアプリを審査すると、プラットフォームホルダーの力は強くなる
  • プラットフォームホルダーが自分にとってメリットのあるアプリは公開し、都合がわるいアプリは公開させないということができる
  • 審査件数が多いと複数の担当者で分担して審査をすることになるから、担当者によって判断基準や判断にかかる時間が変わるという事はおこりうる
  • 結局オープンからクローズドへネット業界全体が流れていくのは、プラットフォームにとってクローズドにしたほうが得だから
  • オープンからクローズドへの流れを食い止めることができるのは消費者だけだが、川上さんは悲観的
  • 消費者自身がクローズドで一貫したコンセプトでつくりこまれた製品を好む傾向がある
  • 自由度の高いコンピュータでゲームをするのでなく専用機でゲームをすることを選んだり、アップルがほぼすべてをコントロールしてデザインしたiPhoneの人気が高いことを見ても明らか
  • オープンであるためにつくられたデザインはダサいことが多い
  • 消費者がプラットフォームホルダーに対して、政府のような役割を期待し始めた
  • アダルト商品や公序良俗に反するソフトの排除など、法律ではなくプラットフォームホルダー自身がおこなっているケースも多く、ユーザー自身もそのことを要求する
  • 今後プラットフォームホルダーはユーザーの個人情報を独占する可能性が高く、このことはプラットフォームの権力基盤になるが、プライバシー保護の観点から、プラットフォームホルダーによる個人情報の独占もおそらく支持されることになる

クローズドなプラットフォームに立ち上げられた”ジブリの森”

スタジオジブリは2013年にauスマートパスユーザー限定で”ジブリの森”というコンテンツを立ち上げました。ジブリの森には、ジブリの制作日誌や動画や画像などが掲載されているのですが、このコンテンツはauスマートパスユーザー限定のため、Softbankやdocomoのユーザーはコンテンツを閲覧することができません。

このコンテンツを立ち上げた時、「なんでユーザーを限定して公開するんだろう」と疑問に思っていたのですが、今回の「オープンからクローズドへ」を読んで、川上さんがなぜauスマートパスにジブリの森を公開したのかわかったような気がしました。

今回の連載の中で、川上さんはGoogleとFacebookの違いについて説明されていた「イエローページと個人の電話帳」という例えは、ITのリテラシーが高くない人でもわかる例えだと思います。また、個人の電話帳が重要になってくる流れの中で生まれたツールがLINEなのかもなぁ、などと考えたりしました。

プラットフォームがクローズドになることによって、ユーザーが求める情報もどんどんユーザーにあわせてカスタマイズされていく中、Gunocyのようなツールも生まれています。クローズドなプラットフォームでプラットフォームホルダーもコンテンツホルダーもすべきことと言えるのは、川上さんが別の回で書いていましたが、泥臭くユーザーと1対1のコミュニケーションをきちんと行うことなんだな、と改めて実感しました。

au ジブリの森

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