「メディア」のあるべき姿とは。書評「新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に」(小林弘人)

本書「新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に」は、新聞社の業績不振、雑誌の相次ぐ休刊など、メディア業界に逆風が吹き荒れるなか、出版はこれからどうなっていくのかについて、雑誌「Wired」「サイゾー」を創刊し、Webメディアとして「Gizmodo Japan」「Lifehacker.jp」を立ちあげた著者が考える「メディア論」について書かれた1冊です。

重要なのはコンテンツ

本書には、メディアの現状を踏まえた上で、著者が考える「メディアのあるべき姿」が書かれています。本書を読んでいて感じるのは、新聞や雑誌やWebといった「プラットフォーム」が重要なのではなく、プラットフォームに掲載するコンテンツが重要なのだということです。

メディア論を語っている記事や、書籍を読んでいると、新聞や雑誌やWebといった、プラットフォームをどうするかという点についてばかり語られがちなのです。しかし、どんなプラットフォームであろうが、掲載するコンテンツが面白くなければ、プラットフォームに価値はありません。コンテンツという言葉は、日本語に訳すと「中身」という意味なのだそうです。コンテンツという言葉を聞くと文章を想起する人が多いかもしれませんが、文章だけでなく、写真、動画、商品もコンテンツです。

新聞や雑誌やWebといったプラットフォームには、それぞれ良い点も悪い点もあります。プラットフォーム毎の特徴を踏まえて、コンテンツを編み出し、どのような形で提供すべきか。メディアに関る人は、その点に注力すべきだと、本書では語られています。

メディアは立ち上げに時間がかかる

個人的に印象に残ったのは、ネットメディアの立ちあげと収益について書かれた部分です。著者は、「ネットメディアを立ちあげたら稼げる、という幻想は捨てるべき」と語ります。僕もこの点については同感です。

僕が運営している「nishi19 breaking news」もメディアですが、Google AdsenceやAmazonアフィリエイトの広告は掲載してはいるものの、稼げているとは言いがたい状況です。正直、収益と手間のことだけを考えると、割にあわないといえます。

しかし、この「割にあわない」仕事を続けなければ、メディアは育たないと著者は語ります。著者によると、メディアに掲載されるコンテンツが、ユーザーの信用を得るには、時間がかかるものだと言います。だからこそ、石にかじりついても続ける覚悟が、メディアの編集者には求められるのだといういうわけです。僕は、この文章を読み終えて、著者に励まされたような気持ちになりました。これからも、コツコツとブログを続けていこうと思います。

本書は2009年の出版ですが、2014年現在でも参考になる事例も多く、メディアの現在と未来を理解するにはオススメの1冊です。

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