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変えること。変えないこと。書評「勝利のルーティーン-常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント-」(西野朗)

   

本書「勝利のルーティーン-常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント-」は、歴代最多のJリーグ244勝の記録をもつ日本を代表する監督西野朗さんが、自身が考える「監督論」について書いた1冊です。

監督に必要な3つの要素

本書の冒頭で、西野さんは監督に必要な3つの要素として、以下の3つを挙げています。

  1. 洞察力
  2. コミュニケーション力
  3. 想像力

「洞察力」とは、選手たちの日々の言動や表情、人間関係などをしっかり観察し、日々どんなことを考えているのか、知るために必要で、チームにとってベストな組み合わせを検討する材料になります。

「コミュニケーション力」は、組織を円滑に動かすために、選手を初め、スタッフ、フロント、サポーターなど、さまざまな相手と、丁寧にコミュニケーションを取る必要があります、「コミュニケーション力」が高い監督としては、ジョゼ・モウリーニョを挙げると、わかりやすいでしょうか。

「想像力」とはチームのヴィジョンを形作る能力で、これが監督にとって一番重要な要素だと、西野さんは語っています。理想とするチームの形をイメージし、選手の力を活かして、どうやって実現するか。そして、必要とあれば、新しい選手を獲得する。

この3つが、監督に必要な要素だというのです。

練習メニューは極力変えない

本書のタイトルになっている「ルーティーン」。同じ動作を繰り返し行うことを意味していますが、西野さんはガンバ大阪を率いていた10年間、1週間の練習スケジュール、練習量を、極力変えないようにしていたそうです。

監督によっては、選手に飽きられないように、毎日違うメニューを組む人もいます。僕もその方が正しいと思っていたので、西野さんのやり方は意外な感じがしました。

しかし、練習メニューを決めることで、単調すぎて刺激が足りないと思う選手がいることを知りながら、西野さんが敢えてメニューを決めていたのには、理由がありました。

それは、選手たちに日常のカレンダーを頭に入れておいて、常に全体の流れを把握させて、試合に向けてコンディションを作りやすくするという意図があったのです。日々の生活をしっかりやって、積み重ねていくことで、身につけられる事がある。西野さんは、その事を重視しているというわけです。

積み重ねていくことでしか、身につけられない事がある。

こうした考えを持ち、実行できたからこそ、西野さんがガンバ大阪の監督を、10年務められたのではないかという気がしました。

僕のような外部の人間は、上手くいかないことがあると、何かを変えてくれることを望みます。しかし、実際はもう少し我慢すれば、上手くいくこともたくさんあるのだと思います。本当に難しいのは、変えないものは変えないことなのかもしれません。

過去の在籍チームのエピソードが満載

本書の見どころの1つは、過去に在籍していたチームのエピソードです。

加地選手のプロ意識の高さを物語るエピソード、外国人選手との付き合い方を考えるようになったストイチコフとベンチーニョの言い合いや韓国人同士の特殊な人間関係、ヴィッセル神戸にポゼッションサッカーを導入しようとした時の選手の反応など、今まで語られていなかったエピソードがたくさん収められています。

ページ数も200P弱なので、あっという間に読み終えてしまいました。
サッカーの監督の考えを知りたい人、マネジメントのやり方のヒントが欲しい人にオススメの1冊です。

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