外部広告がない雑誌が面白い

2014/07/22

以前、紀里谷和明が「アナザースカイ」でキューバに行った時の放送を観て、ふと目に止まったテロップがあります。

「キューバには、広告がない」

キューバは社会主義の国なので、商業活動に制限があります。したがって、広告宣伝の類は、資本主義の国のように行っておらず、街中には日本には当たり前のように存在する広告が全くないのです。「キューバに広告」がないというテーマでも1つ記事が書けるくらいですが、今日書いておきたいのは、そんな広告と切っても切れないメディアの事です。それは、雑誌です。

雑誌には、商品やブランドの画像を掲載しているページがあります。それは、企業がお金を払って雑誌に掲載している広告です。近年は「タイアップ記事」と行って、記事のなかで商品やブランドを宣伝する広告の類もよく見かけます。なぜ雑誌に広告を掲載するのかというと、それが雑誌にとって貴重な収入源になっているからです。

以前、テレビで「LEON」の特集をしていたとき、雑誌から広告が占めるページがなくなると、厚みが1/2ほどになってしまうという映像を観たのが、強烈な印象として残っています。「LEON」の例は極端かもしれませんが、そのくらい雑誌と広告は切っても切れない関係にあります。

しかし、世の中には広告を雑誌に全く掲載していない雑誌もあります。こうした雑誌の特徴は「広告を掲載してお金を稼ぐより、自らのオピニオンや編集権を大切にする」という考え方を持っていることです。純粋にコンテンツの価値で収益を得て、雑誌を運営していく姿勢は、僕自身とてもシンパシーを抱いています。

そこで、誌面に外部からの広告を掲載していない雑誌を、4点紹介したいと思います。

暮しの手帖

1946年に発刊された家庭向け総合雑誌。ファッションや料理、各種商品テストや、医療/健康関連の記事を掲載しています。「雑誌の全ての部分を自分たちの目の届くところに置いておきたい」という理念から、広告は外部からの広告は一切掲載していません。したがって、一貫して生活者本位の視点が貫かれています。

一時期、業績が悪化した時期もありましたが、松浦弥太郎さんを編集長に迎えてからは、業績も回復し、新たな視点も取り入れながら、理念を守った上で、良質なコンテンツを制作し続けています。

ちいさい・おおきい・よわい・つよい

昨年、創刊から20周年をむかえた子育て雑誌。

商品やサービスを売るための記事が氾濫する中、「子どもの立場にたって正しい情報を届けよう」という方針で運営されている雑誌。病気やけがのときに薬や病院の検査を信頼しすぎず、自力で治っていく子どもの体と心に寄り添う「スローケア」の勧めを繰り返し訴えてきたり、防接種の特集では、免疫の仕組みやワクチンの副作用、国がワクチン市場の拡大を後押ししている現状を紹介し、接種を受けるか受けないかを保護者が慎重に判断するよう呼び掛けたりといった、独自のメッセージを発信しています。

GA

1970年に建築写真家の二川幸夫さんが創刊した建築雑誌。「世界中の建築を自分の足で回り、自分の気に入った建築だけ写真に撮る」「その建築にとって最適な光になるまで待つ」といった二川幸夫さんの建築に対するこだわりが、誌面に貫かれており、世界中にファンをもつ雑誌へと成長しました。

二川幸夫さんが亡くなった後は、息子の二川由夫さんが後を引き継ぎ、父親とは違う視点をもちながらも、建築に対するこだわりが貫かれた誌面づくりは引き継がれています。最近は、「建築がいかにして生まれるのか」という発想の秘密に迫った「Plot」という特集を組み、西沢立衛さんの「Plot」をまとめた本が、発売されました。

熱風

スタジオジブリが発行する雑誌。nishi19 breaking newsでは、毎月特集記事の書評記事を掲載しています。「熱風」は外部広告も掲載していないだけでなく、料金は無料です。そこには、収益性を度外視してでも、自分たちの伝えたいことを伝えようとする、スタジオジブリの姿勢が感じられます。

2013年7月号では、「憲法改正」をテーマに、宮﨑駿、高畑勲、鈴木敏夫が、憲法第9条改正に反対するメッセージを熱風に掲載しました。過去の熱風には、宮﨑駿が「原発反対」というプラカードを掲げた写真が掲載されたこともありました。

こうした政治的なメッセージだけでなく、メジャーな雑誌が取り上げない「尊厳の芸術展」「人口減少社会」「グローバル企業とタックス・ヘイヴン」といった現代社会の問題点や、落合博満の映画評論「戦士の休息」、ドワンゴ川上会長のインターネット論をまとめた「鈴木さんにも分かるネットの未来」など、独自の視点をもったコンテンツ作りを貫いています。

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