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「チームで1番力のある選手と監督がいい関係にあるチームは強い」-中村憲剛と大久保嘉人と風間監督の関係。そして現在-

   

アーセナルの監督を20年以上にわたって務めるアーセン・ベンゲルが、チームをマネジメントする秘訣として、「チームで1番力のある選手と監督がいい関係にあるチームは強い」と語っていたことがあります。チームで1番力のある選手といい関係にあることがなぜ重要なのか。それは、1番力のある選手が結局チームの雰囲気を作っているからなのです。

「チームで1番力のある選手と監督がいい関係にあるチームは強い」理由

1番力のある選手が監督のいうことを信頼していれば、他の選手が「監督の言うことが理解出来ない」「監督が信頼出来ない」と語っても、1番力のある選手が監督説得しなくても、説得してくれます。1番力のある選手は、練習の雰囲気を作り出す存在でもあります。1番力のある選手が前向きに練習に取り組んでいれば、他の選手も自ずと真似をするようになります。前向きな声をかけていれば、雰囲気も自然と前向きなものになります。そして、監督としては全ての選手を平等に掌握しようと労力を割くより、1番力のある選手を上手く掌握することに心を砕いたほうが、結果的に上手くチームを掌握出来るというわけです。

そして、1番力のある選手がレベルアップすれば、自ずとチーム内の基準が引き上げられます。チームの力を底上げしようと思ったら、実力が下のメンバーを鍛えることも必要ですが、それ以上に、1番力のある選手をいかにレベルアップさせるかが重要だと僕は思います。1番力のある選手は、力があるので、練習で全力を出さずにセーブしがちです。いかに力をセーブさせず、レベルアップさせるか。監督含めたコーチングスタッフのスキルが問われるところだと思います。

1番力のある選手が監督がいい関係にあれば、チームの外に対して、チームの考えやチームの状況を、前向きな言葉を用いて発信してくれます。サポーターは、メディアを通して、選手の発言をチェックし、チームの状況を推測します。1番力のある選手がどう考えているかは、サポーターは皆気にしています。

風間監督と中村憲剛と大久保嘉人の信頼関係

僕は風間監督が就任後の川崎フロンターレのチーム作りを追いかけているのですが、風間監督は一貫して、チームで1番力のある選手とよい関係にあることに、気を配ってきたように感じます。川崎フロンターレというチームで1番力のある選手というのは、中村憲剛です。他に影響力のある人物としては、大久保嘉人もいます。この2人と風間監督は、一貫して良好な関係を築いてきました。

中村と大久保が風間監督を信頼するようになった要因は幾つも考えられますが、僕は「この人ならレベルアップさせてくれる」と思ったからではないのでしょうか。経験を積むと、自分の技術を引き上げていくのは簡単ではありません。体力も20代に比べると落ちてきます。20代の時以上の努力が必要になるのですが、風間監督は中村と大久保にとって、レベルアップさせてくれるヒントを与えてくれる監督だったのではないのでしょうか。

中村と大久保は、時にチームの考えを代弁し、時にチームの問題点を指摘してきましたが、彼らの発言と風間監督の発言がブレたことは、ほとんどありません。特に中村は、風間監督が語っているんじゃないかというくらい、同じ表現を用いて、川崎フロンターレが目指すサッカーについて、語り続けました。風間監督にとって、中村がチームにいたことはこの上ない幸運だったと思います。

チームを支える選手との信頼関係も重要

ただ、中村と大久保といい関係を築ければ、チームを完全に掌握できるというわけではありません。中村と大久保は、日本代表にも選ばれているので世間にもよく知られていますが、チームには「チームメイトに信頼されている力のある選手」という選手もいます。イングランドでは、試合に出る「ゲームキャプテン」とは別に、「チームキャプテン」と呼ばれている選手。あるいは「選手会長」に就任している選手です。こういう選手ほど、チームの雰囲気を左右するので、きちんと掌握しておく必要があります。

川崎フロンターレには、2013年までは伊藤宏樹という選手がいました。選手にもスタッフにもサポーターにも愛された選手ですが、風間監督は伊藤とも良好な関係を築いていました。キャリアの晩年にさしかかっていたので、不動のレギュラーではありませんでしたが、風間監督の考えを理解し、高いレベルで実行してくれるので、チームが傾きかけた時、失点を減らして手堅く勝ちたい試合では、必ず伊藤が起用されました。2013年Jリーグ最終節の横浜F・マリノス戦で、1-0で勝っている場面で、このシーズンで引退した伊藤が交代出場した時、風間監督の伊藤への信頼の高さを感じました。

伊藤が引退したことによる問題は、少なからず川崎フロンターレのチーム作りに影響を及ぼしました。中村と大久保は実力があるので、チームメイトに対して厳しく要求します。当然要求はあってしかるべしなのですが、要求がエスカレートした時もあったのかもしれません。2人の言葉と、他の選手との言葉に、微妙な距離を感じる時がありました。井川は伊藤の立場に近い選手でしたが、中村と大久保を抑えられるほどじゃないように思えました。2015年はチームのムードメーカーである登里が怪我で試合に出場出来なかったことも影響していたと思います。

リーダーが変わりつつある

川崎フロンターレは、この問題を他の選手がリーダーシップを取れるようになったことで、解決しました。日本代表にも選ばれるようになった小林悠、オリンピック代表の大島、そして2015年シーズンに全試合フルタイム出場してみせた谷口といった選手が台頭し、中村や大久保の考えを理解した上で、チームのリーダーとして振る舞えるようになってきました。

谷口は2016年シーズン序盤は、上手く振る舞えずに苦労していましたが、最近はようやくリーダーとして、チーム全体を見渡した上での発言が増えてきました。また、2016年シーズンについては、チョン・ソンリョンという中村と大久保より実績のあるリーダーも獲得したことも、チームに良い影響を与えています。こうした選手の台頭によって、中村は彼らをサポートするような発言が増えてきた気がします。大久保は中村が厳しく言わない分、逆に厳しく言い続ける役割を担っているフシがあります。

名古屋グランパスは「チームで1番力のある選手」と良い関係を築いていたのか?

最近、名古屋グランパスの問題が世間を賑わしていますが、僕は小倉監督は「チームで1番力のある選手」との関係づくりに失敗したんじゃないかという気がしています。チームのキャプテンは田口が務めていましたが、名古屋グランパスで「チームで1番力のある選手」は、多少衰えていたとしても楢崎です。楢崎と良い関係を築けていたのかというと、そうではなかったような気がします。

「チームで1番力のある選手と監督がいい関係にあるチームは強い」。これはチーム作りの鉄則だと思います。応援しているチームの状態をチェックするとき、チームで1番力のある選手と、監督の発言を比べるとよいと思います。ぜひやってみてください。

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