イチローのキャッチコピーは”イチロー”。書評「Number イチロー不滅の4000本。~最強打者と数字の美しい関係~」

2014/07/22

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 9/19号 [雑誌]

「記録にも、記憶にも残る選手」。それは、日米通算4000本安打という記録を達成したイチロー選手そのものだと思います。そんなイチロー選手の凄さを、4000本安打という記録達成を機に、様々な記録から振り返ろうと試みたのが、本書です。

本書に様々な記録が載っています。通算安打数、10年連続200本安打といった誰もが知っている記録から、216打席連続無三振やイチローが出演した古畑任三郎の視聴率が27%だったということまで、よくもまあここまで調べたものだと感心します。こうした数々の記録からも、イチローという選手の凄さが分かります。

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道

イチローという選手の凄さを1つだけ挙げろと言われたら、僕は「小さいことを積み重ねられること」と答えます。イチローという選手の行動は、全て「続ける」ということが基準になっています。ヒットを打ち続ける、そのために試合に出続ける、試合に出続けるために日々同じリズムで生活をする、同じリズムで生活するために食事の時間や食べるものも気を配る、等。以前、イチローが朝にカレーを食べ続けている、ということが話題になりましたが、こうした小さいことを積み重ね続けられるのが、イチローという選手の凄さなのだと思います。

1シーズン262安打のシーズン最多安打を更新した後、イチローは「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と答えましたが、4000本安打も、最初の1本から積み重ねてきたからこそ生まれた記録です。改めてイチロー選手が積み上げてきたものの大きさを実感させられます。

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三谷幸喜が驚いた「俳優・イチローの実力」

個人的に最も興味深く読ませてもらったのは、三谷幸喜さんに「俳優・イチロー」の実力を伺うというインタビューです。昨年放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」のオープニングにも古畑任三郎を観るイチローというシーンが流れるほど、イチローの古畑任三郎好きは有名です。

古畑任三郎が好きなイチローがドラマに出演するということで、苦労もあったようです。古畑任三郎に出演する前に、イチローの俳優としての実力を試すために、ホテルの1室で台本の読み合わせを行ったこと、犯人役となるイチローに配慮して台本を書くのに苦労したことなど、当時語られなかった苦労が語られています。

インタビューの最後に、三谷さんがこの回の脚本で「悔いが残っていること」について語っています。どんな悔いが残っているのか。これはぜひ誌面を読んで確認してみてください。

「イチロー」って名前に全部入ってる。

イチローという人物についての記事を読んでいると、必ず思い出すのが、糸井重里が「イチローにキャッチコピーをつけるとしたら、どういうキャッチコピーをつけますか?」という質問に対する答えです。最後に糸井さんの答えを紹介したいと思います。

「イチロー」って名前に全部入ってる。
イチローのイチは1です。順番の1番でもあるし、1人の1でもありますよね。
ローというのは男の子です。
(中略)
ある日、当時の監督だった仰木さんが、
みんなが、「鈴木」ってよんでいた人のことを「イチロー」って名前に変えた。
その時、本当の舞台が用意されたんだと思うんです。
だから、イチローのキャッチコピーは”イチロー”なんです。
(BRUTUS特別編集 合本今日の糸井重里 より)

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