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書評「Number(ナンバー)926号[雑誌]」-2017年の松坂世代-

   

1980年生まれに僕にとって、彼は特別な存在だ。時代の先頭を走り、常に陽のあたる場所を歩いてきた。栄光も、挫折も、人一倍経験し、同じ年の自分にとって、自分自身の立ち位置を確認する。そんな存在でした。そんな彼が苦しんでいる。2011年にトミー・ジョン手術を受け、右肘にメスを入れた。2015年には右肩を手術。2015年に加入したソフトバンクでは、ほとんど活躍する姿を見せられずにいる。

Number926号の特集は、1980年生まれのプロ野球選手たち。すなわち、「松坂世代」の選手たちの現在を特集しています。松坂大輔、杉内俊哉、和田毅といった松坂世代の先頭を走ってきた選手たちのインタビューだけでなく、木佐貫洋、新垣渚といった引退した選手たちの声も掲載し、松坂世代の現在を、ストレートに、ありのままに伝えている特集です。

松坂本人としては、本当は活躍したタイミングで取り上げられたかったのかもしれません。でも、僕はこのタイミングで取り上げてくれたことが素直に嬉しかったし、今このタイミングでこの特集を扱ったNumberという雑誌は凄い。そう思います。ちなみに僕は、この特集の基になっている「マツザカジェネレーション」という記事も読んでますし、矢崎良一さんの「松坂世代」という本も読んでます。自分の世代の話だから、当然です。

オセロの駒をひっくり返す

本書の中には、いきものがかりの水野良樹さんのエッセイが掲載されている。奇しくもテーマは「逆風を跳ね返す男」だ。本田圭佑を題材に、逆境を跳ね返し続けてきた男について書いているのだが、このエッセイが素晴らしい。水野さんは、エッセイの中で、秋元康さんのこんな言葉を引用している。

「ある程度の仕事をしているひとは、誰だって陰でいろいろ言われているんだよ。だから、中傷でも何でも全部受けとめて、何かの仕事で完全にオセロをひっくり返すまで闘うしかない。」

水野さんは、何度も人生の駒をひっくり返そうとする秋元さんのバイタリティを「凄い」とたたえつつ、他人事のように友人に話したところ、友人にこう突っ込まれたそうだ。

「いや、本当にすごいのは、ひっくり返さねばならない黒い駒を持ったということなんだよ。まず普通のひとは、駒さえ持てないんだ。黒も白もないんだよ。

水野さんのエッセイを読み終えた時、僕はこう考えた。これは、今の松坂大輔そのものじゃないか、と。

最後にあえてこの特集に注文をつけるなら、今の松坂大輔について、この人がどう思うか聞いてみたかった。この人とは、松坂大輔との初対戦で三打席連続三振し、松坂から通算100号ホームランを打った、イチローだ。イチローは今の松坂大輔をどう思っているのだろうか。たぶん、イチローはコメントしないだろうけれど、でも、イチローはこう思ってるんじゃないだろうか。

目の前のオセロの駒を引っ繰り返してみろ。お前なら出来るだろう、と。

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