コミュニケーションスキルは、競技力の一部である。Number795号「心をつかむ対話術。~最強アスリートが明かすコミュニケーションの極意~ 」

2012/11/19

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 1/26号 [雑誌]"

Number795号のテーマは「~最強アスリートが明かすコミュニケーションの極意~ 」。
近年のアスリートは、活躍の舞台が国内だけではなく海外に広がったこともあり、スポーツの技術・体力だけではなく、「自らの意図を伝える」「相手の意図を理解する」能力、すなわち「コミュニケーション」能力が重要視されるようになってきました。(最近Numberでも「読書」「非エリートの思考法」など、ビジネス書でも取り上げられるようなテーマで、雑誌が作られています。)
本記事では、雑誌の記事の中で、気になるテーマを3本ピックアップしてみました。

本田圭佑 「対話はいつでも真剣勝負」

今回のインタビューは、本田がリハビリ中のバルセロナで行われた。(インタビューは木崎伸也(@skizaki)さん)。印象に残ったのは、本田圭佑がコミュニケーションを取る上で前提としている「他人は自分でないのだから意見が違って当たり前」という考え方です。

インタビューを読んでいると、本田圭佑はこの考え方を前提に、相手の意見と自分の意見を照らし合わせ、お互いの考えと問題点を明確にし、双方のコミュニケーションを通じて、問題を解決しようと試みているのだということがわかりました。

このコミュニケーション方法は、実に合理的で無駄がなく、効果的・効率的に問題点を解決することが出来る。こういったコミュニケーションの考え方と方法から、本田圭佑という選手は非常に問題解決能力が高いプレーヤーなのだと、改めて実感しました。

それは、本田圭佑というプレーヤーが壁にぶつかった時に、試行錯誤していく中で身につけたスキルなのだろう。ビジネスの世界でも、問題解決能力の高い人物はリーダーとしてリスペクトされ、必然的に組織の中でも中心となる役割を与えられるのでしょう。

本田圭佑がVVV Venloでキャプテンを務め、日本代表でも中心人物として、周囲にポジティブな影響を与えているのは、彼のコミュニケーション能力に要因があるとこの記事を読んで感じました。

福原愛 「中国語と母とダブルスと」

今回興味深かったのが、福原愛と中国語の関係を書いた「中国語と母とダブルスと」。(インタビューは生島淳さん。「気仙沼に消えた姉を追って」の著者。)外国語を身につけるメリットとして、「外国語をしゃべる人物とコミュニケーションが取りやすくなる(必ず”取れる”わけではない)」ことが挙げられています。

福原愛は10代で中国語を習得し、メールや電話などの会話はもちろん、喧嘩や寝言まで中国語で話せるレベルだそうです。ただし、福原愛はアスリートなので、異文化コミュニケーションのために中国語を習得したわけではありません。自らの競技力を高めていく手段として、中国語を習得していったのです。

中国は卓球では世界一の国です。福原は世界一の国の言語を習得したことによって、中国側が得ている最新の技術や情報を入手することが可能になりました。また、中国語には「スマッシュ」の強弱を説明するにあたって、5つもの表現があるそうです。

技術を説明する言葉を理解することによって、自身の技術を高めることにつながっていく。この福原愛の事例からは、「外国語を習得する」ということは、単に外国人とのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、競技力の向上にとても有効なスキルである、と感じます。

宮本恒靖 「グッドバイ」

今回のNumberのテーマとは別に、先日現役引退を発表した宮本恒靖のインタビュー記事が掲載されていました。(インタビューは佐藤俊さん)宮本は体格や身体能力に恵まれた選手ではなかったたが、ボールを扱う技術と、周囲に的確な指示を与え、組織的なディフェンスを構築する能力に長けたDFでした。

また、宮本は幼年期に受けた両親の教育によって、英語をしゃべることができます。そういう意味では、「コミュニケーション」を武器に世界と戦った先駆者といえます。

例としては、2004年のアジアカップ準々決勝のレバノン戦で、審判に交渉しPKを行うゴールを変更させ、チームを勝利に導いた出来事は、宮本恒靖という選手が持っている、コミュニケーション能力の高さを印象づける出来事でした。

引退は早い気もするが、FIFAマスター受講を含めた欧州で本場のサッカーを学ぶ、という第二の人生を有益なものにして欲しいと思うし、彼が持っている、知性、経験、コミュニケーション能力を、必ず日本サッカー界にとって活かしてほしいと思います。

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