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全体を通してコンテンツの質は高かった。
書評:「Number 807 EURO2012 FINAL ~スペイン無敵の2連覇~ 」

      2012/11/19

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 7/19号 [雑誌]

今日発売のNumber 807号は、先日終わったばかりのEURO2012特集でした。Numberのヨーロッパサッカー特集はすごく面白い記事とそうでない記事にはっきりと分かれているので、内容によっては買わないこともあるのですが、今回は全体を通してコンテンツの質は高かったと思います。その中でも興味深く読ませてもらった3本の記事を紹介します。

動きの質にこだわって観戦する佐藤寿人

今回の特集では、「JリーガーはEURO 2012をどう観たか」という記事が2つありましたが、1つ目は今シーズンのJリーグで得点ランキングを独走する「佐藤寿人のストライカー論」。佐藤寿人は自身のプレースタイルでもある「マークを外す時の動きの質」に注目してEURO 2012を完成んしていたといいます。特にディ・ナターレの動きの質に刺激を受けたとのこと。なお、佐藤寿人は、記事の中でストライカーの動きについて、こう語っています。

「パスを引き出すには、DFがどこにいて、味方がどんな状態でボールを持っているかを観察しておく必要があります。さらに、どのタイミングでどこに走ればシュートにつながるのか、イメージすることも重要。」
(中略)
「一見、感覚的なようで、みんな理詰めで考えているはずです。」

その他にも自信を失った”師匠”フェルナンド・トーレスについて、クリスティアーノ・ロナウドのあまり報道されない動きの質の高さ、はたまたゼロトップに対する憤りなど、2ページの見開きですが、興味深いテーマが書かれた記事でした。

フリーになる動きとパスのアイディアに注目する中村憲剛

もう一つの記事は、Jリーグ屈指のゲームメーカーである「中村憲剛のゲームメーカー論」。中村憲剛が「シャビ&イニエスタ」「ピルロ」「エジル」について語っています。共通して語っていたのは「フリーになる動き」と「パスのアイディア」の2つ。

特に「フリーになる動き」については、現在風間フロンターレで取り組んでいる「相手を外す」「ポジションを取り直す」という考え方にも共通するところがあるようで、特に「スペインと風間サッカー」というテーマのところで、中村憲剛は「川崎フロンターレで取り組んでいるスペインに近いスタイル」について、以下のように語っています。

「川崎フロンターレも今、風間監督のもとでスペインに近いスタイルに挑戦中です。練習で「やり直そう」「ポジションを取り直せ」といった声が飛び交っているのは、マイボールを大切にする考えが浸透してきた証です。」

ほかには、「ピルロの影響力」の項で以下のように語っています。

「風間監督のもと、今は僕もシャビやイニエスタのように、マイボールを大切にプレーしているんですが、かつてはピルロのように裏を頻繁に狙っていました。」
(中略)
「今もたまにロングレンジのスルーパスを狙いたくて、ウズウズすることがある(笑)。風間監督も禁止しているわけではありません。「独りよがりは止めろ、狙うなら成功させろ」というわけです。

その他にもイタリアの3-5-2に関して言及している箇所や、気になったFWの意外な名前など、サッカーオタク中村憲剛らしいマニアックな見方がうまくまとめられている記事です。

質が高かったEURO 2012のレフェリー

個人的の面白かったのは「福西崇史のユーロ・マニアックス」で語られていた「EURO 2012のレフェリーのレベルの高さ」について。特に今回のEURO 2012から導入されたアディショナル・レフェリー(ゴール横に立っているレフェリー)の存在が、副審の負担を減らし、正しい判定の増加に結びついているという分析はとても興味深かったです。

なお、今大会はイエローカードの数は前回大会の1117から、準々決勝終了時点で776まで減少。レッドカードにおいては、大会で1枚(しかも開幕戦のシュチェスニーの退場)のみ。この理由として、福西さんはレフェリーの試合運びのうまさについても言及し、レフェリーのことを意識しなくてよいから、サッカーのレベルも高くなっている、と指摘しています。

たしかによく考えてみると、今大会気になる判定は、イングランド対ウクライナ戦の疑惑のゴールくらいで、他には審判が話題になったゲームはなかったと思います。そう考えると、審判のレフェリング向上の要因を担ったアディショナル・レフェリーは、一定の成功を収めたと判断できるので、今後大きな大会では常識になっていく気がします。

その他のおすすめ記事

上記3つの記事以外にも「EUROをほとんど観なかった岡田武史」「”持ってない男”細貝萌」の記事などは、とても深く掘り下げられていて、面白かったです。個人的にはマニアックな記事の方が好みなので、今後もヨーロッパサッカーの特集をするのであれば、専門誌がやらないようなマニアックな記事を期待しています。

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