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書評「今までにない職業をつくる」(甲野善紀)-新しい時代は「今までにない職業」が切り開く-

   

「今までにない職業をつくる」甲野善紀

「武術研究家」という職業があると聞いて、このブログを読んでくださった方は、どんな職業を思い浮かべるでしょうか。武術研究家の甲野善紀さんは、「人間にとっての自然とは何か」を自らの身体を使って研究を重ね、今や研究成果を、各種スポーツ、介護、楽器演奏といった分野に応用し、「武術研究家」という職業を確立しました。

35年前に、甲野さんが「武術研究家」を志して「武術稽古研究会松聲館(2003年に解散)」を設立した時、もちろんそんな職業はありませんでした。試行錯誤を続けて、35年。桑田真澄さん、卓球の平野早矢香さんなどが、甲野さんの指導を受けたことで、大きくパフォーマンスを向上させ、話題になりました。

では、甲野さんはいかにして、「武術研究家」という今までにない職業を確立したのか。自身の考えをまとめたのが、本書「今までにない職業をつくる」です。

成り上がりの7つのステップ

僕は、ロックバンドでも、ラッパーでも、武術研究家でも、ベンチャー企業でも、小説家でも、ブログを書くことでも、何か今までにないことを作ったり、実現させたりしようと思ったら、以下の工程を繰り返すのだと思っています。題して「成り上がりのステップ」とでも、いいましょうか。

  1. 自分の周りにある疑問、問題を見つける(たいてい、「貧困」という問題が一般的)
  2. 自分で実現させたいことを決める(例:「お金持ちになりたい」)
  3. 実現させるために技を磨いたり、知識を得る
  4. 自分の実現させたいことを認知してもらう
  5. 認知され、人の役に立つようになる(対価を得られる)
  6. 対価と共に信頼も得られるが、誹謗・中傷も受ける
  7. 1から6を繰り返す

好きなこと、実現させたいことは、簡単に上手くいかない

甲野さんの職業「武術研究家」だって、35年前にこれで食べていけるかどうかなんて保証は、どこにもありませんでした。甲野さんだって、自分で実現させたいことがあったに過ぎません。実現させたいことがどうやったら実現出来るのか。その試行錯誤を繰り返していたら、あっという間に35年経っていたのだと思います。

僕の好きなライムスターの「K.U.F.U」という曲の中に、こんな歌詞があります。

オレにも出来ると思って始めた。アイツよりマシだと思って始めた。
始めてしばらくは天狗だった。しばらく経って面食らった。
甘くないぞこのライムってのは。軽くないぞこのマイクってのは。
通らないのかこの声は。実らないのかこの恋は?

そう、始めて誰もは「自分なら出来る!」と思って始めます。でも、世の中そんなに甘くはありません。全然受けない。全然認められない。鼻であしらわれる。お金も、人も、何もかもなくなって、何もやる気が失せる。そんな気持ちにさえなることがあります。

ただ、ライムスターの「K.U.F.U」という曲では、歌詞はこのように続きます。

そうか、オレは天才じゃないんだ。
逆に俺には限界はないんだ。

そう。自分は天才じゃない。全く受けない。全然認められない。ゆえに、自分には限界はないのだ、と。だから自分の目で見て、感じたことをもとに、ひたすら試行錯誤を続ける。1回の失敗でめげずに、何度でも立ち上がる。目的を達成するために、いくつもの選択を続けていれば、人はどこかにはたどりつく。その事を、本書では著者の実体験を通じて教えてくれます。

今までにない職業が、新しい時代を切り開いてきた

ペイパルの創業メンバーで、Facebookの外部投資家としても知られるピーターディールは、自身の著書「Zero to One」の中で、必ず採用面接で、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と聞くそうです。

この質問の答えは、一つではありません。人によって様々です。ライムスターにとってのヒップホップであり、ピーターディールにとっては起業家、投資家であり、甲野善紀さんにとっては、それは武術研究です。そして、それらも大切な真実の一部であり、一言で語れるものではないと僕は思います。

ただ、自分で選んだ仕事なんだから、いつも楽しいだろう。そんなはずはありません。むしろ、本人たちにしてみれば、「やめるわけにもいかないし」とか、「他のことよりは、ちょっとうまくできるから」とか、そんな理由かもしれません。

ヒップホップで生きていく、起業家として生きていく、ミュージシャンとして生きていく、そして武術研究家として生きていく。それは、彼らが志した時代のことを考えれば、文字通り「今までにない職業をつくる」ことを意味します。ソニーだって、ホンダだって、いつだって時代は「今までにない職業」が切り開いてきたといえるかもしれません。

本書は、武術研究家の方が書いた本ですが、新しい何かを始めたい人、起業したい人、ミュージシャンになりたい人、ドローン操縦士になりたい人、鍼灸師で世界を旅したい人、そんな人が読んだら面白い1冊だと思います。

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