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先頭に立ち、誰よりもチャレンジするリーダー。書評「岡田武史というリーダー」(二宮 寿朗)

   

先日「革命前夜-FC今治が日本サッカーを変えるか-」というタイトルで、前編と後編の2回に分けて、FC今治の取り組みを紹介しました。FC今治のオーナーは、元サッカー日本代表監督の岡田武史さん。岡田武史さんがどんな指導者だったのか。FC今治のオーナー就任をきっかけに、改めて振り返ってみようと思い、本書を手にしました。

本書「岡田武史というリーダー」は、Jリーグの監督時代から南アフリカワールドカップまで、岡田武史さんを取材し続けてきたジャーナリストが、岡田武史さんのマネジメント力について書いた1冊です。

日本代表監督時代、そしてFC今治のオーナーになった現在でも、岡田さんが変わらず実践していることが3つあります。

専門家の話を聞くこと

1つ目は、「専門家の話を聞くこと」。日本代表監督時代、マルチェロ・リッピ、アーセン・ベンゲル、カルロ・アンチェロッティといった交流のある監督に、ワールドカップでの戦い方や、チーム作りの課題について意見を聞いて回っていました。また、コンサドーレ札幌時代は、帝京高校の古沼監督にチーム作りについて相談しています。FC今治のオーナーになった現在も、SAPジャパンの馬場渉さんに会って、スポーツテクノロジーの最先端について、意見交換しています。様々な専門家から忌憚なく意見を聞き、自らの糧にしているのです。

有能なスタッフを起用する

2つ目は、「有能なスタッフを起用する」。日本代表監督時代は、ヴァンフォーレ甲府で独特なサッカーを展開していた大木武さんをヘッドコーチに起用したり、高地対策の専門家として、三重大学の杉田准教授に帯同してもらい、選手のコンディショニングを徹底的に管理しました。体幹トレーニングが必要だとわかれば、現在アメリカ代表のコンディショニングコーチを務める咲花正弥さんに、体幹トレーニングのメニューを作ってもらい、選手にはDVDを渡し、クラブに戻っても実践してもらうようにしました。

FC今治のオーナーになってからも、元U-17代表の吉武博文さん、大木武さん、JFA指導者養成ダイレクターを務めていた眞藤邦彦さんを招聘。その他にも、Jリーグチームで指導経験のあるコーチをアカデミーのコーチとして起用するなど、有能なスタッフを招聘、起用しています。

「コンセプト」「フィロソフィー」の導入

3つ目は、「コンセプト」「フィロソフィー」の導入。日本代表監督時代、「攻守におけるサポート」「前線からの激しいプレッシング」など、戦術の基本方針「コンセプト」を作りました。このコンセプトをつなげれば、戦い方の全体像が分かるようにしたのです。そして、チームとしてどう振る舞うかの「フィロソフィー」を導入します。「ENJOY」「OUR TEAM」「DO YOUR BEST」「CONCENTRATION」「COMMUNICATION」「IMPROVE」という6項目のフィロソフィーをチームに伝え、選手の意識を変えようとしました。そして、この「コンセプト」「フィロソフィー」が徹底された後に、臨機応変に対応することを選手に求めたのです。

これは、FC今治のチーム作りにも共通しています。

具体的には育成からトップまで同じトレーニングメソッドを用い、同じプレースタイルを貫いて独自のサッカーを作り上げる。クラブチームでは、トップの監督が変わるとガラリとサッカーが変わることがあるけど、今治はそうではなく常に同じサッカーを目指します。そのためにはまず、FC今治の『型』をしっかり作り上げる。
<代表監督からオーナーへ> 岡田武史 「今治から日本を変える」(Number Web)

岡田さんが語っている「型」は、日本代表時代の「コンセプト」です。FC今治でも、岡田さんのチームの作り方は、根本的には変わらないと考えて良いと思います。

失敗から多くを学んだ指導者

改めて本書を読み直してみると、岡田武史という人は、人一倍チャレンジし、失敗から多くを学んだ指導者なのだと、実感しました。決して、最初から岡田武史さんは、今の岡田武史さんだったわけではありません。しかし、数多くの失敗にめげず、失敗から学んだことを活かし続けたからこそ、今の岡田武史さんがあるのだと思います。

本書を読んでいると、失敗から学ぶことがいかに大切か、実感します。失敗にめげず、チャレンジし続ける人でなければ、成功もないのだということを、本書は教えてくれます。

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