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客観的な視点と熱い気持ちを併せ持つ人生のファイター。書評「101%のプライド」(村田諒太)

   

101%のプライド

2012年のロンドン・オリンピックで、ボクシングミドル級において日本人初の金メダルを獲得した村田諒太さん。その村田諒太さんのこれまでの半生と人生で心がけていることをまとめた著書が「101%のプライド」です。

金メダリストがもつ客観的な視点

本書の中で紹介されていた「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」という言葉はチャップリンの言葉だそうですが、この言葉は著者の半生を表現するのにぴったりの言葉だと思います。そして、この言葉は自分自身の人生を、長い目でみる重要性をよく現していると思います。

著者はグレていた中学時代にボクシングに出会いますが、高校までの間に2回も逃げ出してしまいます。高校、大学と素晴らしい成績を収めたものの、北京オリンピックの出場権を逃し、引退。ボクシングから距離をおきます。その後、カムバックしてロンドン・オリンピックの金メダル獲得しますが、一時期休養をとった後、プロ転向を決意。振り返っても、順風満帆のボクシング人生をおくってきたわけではありません。

本書で印象に残ったのは、著者が自身の事なのにどこか客観的に語っている事です。読み進めていると、関西出身らしくちょこちょこ笑えるエピソードが出てくるのですが、エピソードの紹介の仕方も自分のことというよりは、他人の面白いエピソードを紹介するように書かれています。

著者は幾多の挫折や苦難を乗り越えてきました。乗り越えてきたのは本人の努力もありますが、自分自身の現状を客観的に分析し、何が必要なのかを考えられる頭を持っていたからこそ、誰も成し得なかったことを達成できたのだと、本書を読んでいて感じました。

強い相手と戦って、勝ちたい

本書の内容とは関係ないのですが、一言。ボクサーってカッコイイなぁって思います。男が拳1つで戦って、どっちが強いかを決める。シンプルなルールですが、それゆえに奥が深い競技です。先日「アナザースカイ」という番組で、世界スーパーバンタム級名誉王者の西岡利晃さんがゲスト出演していたのですが、チャンピオンを取るまでの苦労をまとめたVTRにぐっときました。

また、番組中に西岡さんが最後の試合に戦ったドネアが登場し、西岡さんと語り合う場面が登場します。ドネアは4月の試合で12年ぶりの黒星を喫しましたが、現在も軽量級に君臨する最強のボクサー。そんな2人が観客席に座ってお互いの事をたたえ合う姿は、純粋にカッコイイいいものがありました。

西岡さんは最強の相手を倒して、自らの強さを証明するために戦い続けたボクサーでした。5度目の挑戦でようやく世界チャンピオンになったように、諦めずに戦い続ける姿も印象に残っています。海外で防衛戦を2度行い、7回目の防衛戦ではボクシングの殿堂であるMGMグランドで試合を行うなど、海外のファンにも評価の高かったボクサーでもありました。

アナザースカイを観ていると、著者も西岡さんと同じような気持ちをいだいたからこそ、プロ転向を決意したのかなぁなどと思いました。本書には著者、の「金メダルにだけぶら下がって生きたくはない」という言葉が書かれています。

強い相手と戦って、勝ちたい。ボクサーの本能に従い安定した道を捨てた、著者の勇気ある挑戦に拍手をおくり、この記事を締めたいと思います。

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