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人と人が作りだす奇跡の話。書評「オルゴールワールド」(にしのあきひろ)

   

本書は、にしのあきひろさんによる「Dr.インクの星空キネマ」「ジップ&キャンディ―ロボットたちのクリスマス」に続く、3作目の作品です。

僕は、処女作の「Dr. インクの星空キネマ」を書店で見たとき、あまりにも精密でモノクロだからこそ描ける絵の世界観に感動し、「子供が出来たら絶対に買ってあげよう」と思ったのを娘が3歳の誕生日を迎える直前で思い出し、より子供向きなんじゃないかと思えた本書をプレゼントに購入しました。

空中帝国に住む少年と、地上の森に住む女の子の物語


この物語は、こんな一言ではじまります。

どれ、奇跡の話をしようじゃないか。

この物語は、人間が作った空中帝国に住む「カンパネラ」という少年が、ふとしたきっかけで地上の森に住む女の子「ヨナヨナ」を発見したところから始まります。大人になったカンパネラは、地上の森に住むヨナヨナに会いに行きます。そこで、お互いのことを話し合った二人は、「なぜ、別々の世界に分かれてしまったのか」や、「好き」という言葉の意味について、考えます。

空中帝国に戻ったカンパネラは、地上のヨナヨナとつながるために、50年かけて巨大なラッパを作ります。そして、そのラッパが完成したとき、奇跡が起こる・・・。というお話です。

”見えない壁”を超えて、人と人をつなぐのは”感動”

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このお話の背景にあるのは、今我々が住んでいる世界を覆う”見えない壁”です。あとがきに作者が書いていますが、我々が住んでいる地球という星には、「宗教」「国家」「戦争」といった見えない壁がたくさん存在します。身近なところでは「会社」「身分」なども、見えない壁として扱うべきなのかもしれません。

しかし、作者はそんな壁があることを承知の上で、壁を飛び越えて人と人とが繋がる瞬間がある、と物語を通じて訴えます。物語の中に出てくる長老パッヘルベルは、「世界をつなげる魔法はなんですか?」というカンパネラの質問に対して、こう答えます。

「感動じゃよ。ヒッヒッヒッ」

この物語では、”感動”と表現されていますが、人と人がある感情を共有した時、そこには「宗教」も「国家」も「戦争」といった人と人とを隔てる壁なんて関係なく、感情を共有したもの同士の距離が縮まることがある、とファンタジーの世界を通して伝えています。

最近の例で言うと、PSYの「江南スタイル」という曲は、コミカルなダンスばかりが目につきますが、最新のダンスミュージックの音で、世界中の誰もが抱えている富裕層への感情を共有できたからこそ、言葉の壁を超えて、世界中に伝わったのだと思います。

僕自身、サッカーというスポーツをつつけているのも、サッカーが世界中の人々に愛されていることももちろんですが、ゴールやパスが通った時に味わうお互いが通じ合ったような感覚が、他の出来事では味わえないからです。

見えない壁を超えて、人と人が繋がることは簡単ではありませんが、それが出来ると信じて行動することで奇跡は起きるのだ、と。原案者や作者は、そんなことを信じている人達なんだな、とこの本を読んで感じました。素敵な大人たちです。

そんな大人たちの事を、この本ではこんな言葉で表現されています。

「いつの世も、夜明けの鐘を鳴らすのは、阿呆のしわざと決まっとる」

3歳の娘は、この本を初めて読み終わった時、泣いてました。(眠かったのかもしれませんが)それ以来、この本は娘にとって最もお気に入りの本になりました。

この本を読んだ子どもたちが、見えない壁を超えて、人と人とが繋がる”奇跡”素晴らしさを理解してくれたら、嬉しいです。

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