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スポーツでもっと楽しい未来を作る

「知の高速道路」が導く「身体の高速道路」の時代

   

以前、「スポーツにウェアラブル端末が不可欠な時代」という記事にも書いたのですが、今後走行距離、スピード、心拍数などのデータを計測するウェアラブル端末は、スポーツに必須のアイテムになっていくと思います。実際、プロスポーツの現場では、ウェアラブル端末を使ったトレーニング負荷の把握は、当たり前になっています。計測したデータを元に、選手の披露やパフォーマンスを分析し、日々のトレーニングメニューの作成や、戦術分析に役立てているのです。

ただ、データがなぜスポーツに不可欠になるのか、分かっていない人もいます。NBAのスーパースターだったチャールズ・バークレーは、最近NBAのデータ主義について、「あんなのはバスケをやったことのない、オタクの連中の言い分だ。」と批判しました。

ただ、バークレーの発言を気にすることなく、NBAではオールスター期間中に、「NBA Technology Summit」というイベントを開催。オールスター期間という世界中の注目が集まるタイミングで、NBAがいかにテクノロジーに力を入れているか、世界中にアピールしました。

データがパフォーマンスを底上げする

なぜ、プロスポーツチームがデータ計測に力を入れるのでしょうか。それは、データによって、課題の解決方法が具体的に分かるようになったからです。今までのプロスポーツでのデータ活用は、プロ野球で野村克也監督が提唱していたID野球が有名ですが、「どの選手がどのカウントで、どこに投げる可能性が高い」というおおまかな傾向値を把握するために活用されるものでした。

ところが、現在はテクノロジーが発達し、複数のデータを組み合わせ、解析することで、より深いレベルで、人の行動や無意識の考えが、分析出来るようになりました。

例えば、amazonで表示されるおすすめ商品エリアのように、商品を買った人の行動を分析することで、より関連性の高い商品を紹介することが、出来るようになりました。データを計る「測定」ではなく、データを調べて活用する「解析」が出来るようになったことで、データを効果的に使ったサービスを提供することが可能になったのです。

データ解析技術が発達し、ウェアラブル端末の普及で様々なデータが測定できるようになったことで、スポーツの現場でも、データ活用が急速に浸透しています。データにもとづいて、怪我をしないようにトレーニングメニューを決めたり、より選手の課題にそったメニューを決めたり、身体の動きを分析したりすることが出来るようになっています。つまり、データを活用することで、より選手のパフォーマンスを引き出そうと試みているのです。

「知の高速道路」の先にある「身体の高速道路」

こうしたスポーツでのデータ活用について調べていると、思い出すのが、羽生善治さんが語っていた「知の高速道路」という言葉です。羽生善治さんは、ITを活用して学習することで、人に直接対面して教わらなくても、急激に知識やレベルを上げられる学習環境を、「知の高速道路」と表現しました。

これを、スポーツの現場で起こっていることに例えると、既に敷かれていた「知の高速道路」を活用した上で、その先に敷かれつつあるデータを使った効果的なパフォーマンス向上の方法、つまり「身体の高速道路」とも言える新たな道が開かれていいるのではないかと、感じるのです。

「身体の高速道路」の先に待ち受ける「大渋滞」

「身体の高速道路」が敷かれると、どんなことが起こるのか。羽生善治さんは、「知の高速道路」が出来たことによって生まれた変化について、このように語っています。

ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、
将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。
でも高速道路を走りぬけた先では大渋滞が起きています。

(梅田望夫「ウェブ進化論」より)

これは、「身体の高速道路」についても、同じことが言えるのではないかと思います。世界中に、効果的なトレーニングメニューやデータ解析が普及するということは、より短期間でパフォーマンスを上げる道が出来るということでもあります。ただ、当然ながら、勉強したメニューやデータ解析をどう活用するかどうかは、その人次第です。

為末大の未来対談「機械と人間が作る「ハイブリッド」な関係とは?」という記事には、「コンピュータは、問題を設定することは出来ない」という言葉が出てきます。つまり、「身体の高速道路」を抜けた先の大渋滞を抜け出すのに必要なのは、「適切な問題を設定する能力」だと思うのです。それは、高速道路を活用するのとは、全く別の能力だと、僕は思います。

日本のスポーツが発展するために、「身体の高速道路」をどのように活用していけばよいのか。そして、高速道路を抜けた後の大渋滞をどう抜ければよいのか。僕自身も、ブログを書き続けながら考えていきたいと思います。

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