書評「勉強の哲学 来たるべきバカのために」(千葉 雅也)

本書「勉強の哲学 来たるべきバカのために」は、なぜ人は勉強するのか?勉強嫌いな人が勉強に取り組むにはどうすべきなのか?というテーマに対して、哲学者が独学で勉強するための方法論について、自身の考えをまとめた1冊です。

勉強とはどういうことか

本書の冒頭では、「勉強とは、これまでの自己破壊である」と書かれています。著者は、勉強するまでの自分は、環境の中で保守的に生きてきた状態だったという説明した上で、勉強は保守的に生きてきた自分自身を、別の考え方をする環境に引っ越すための手段だというのです。

別の考え方をする環境に引っ越すという事は、保守的な環境で「ノリ」「あうんの呼吸」でコミュニケーションをとっていた自分自身や周囲の環境と距離を置く、という事を意味します。当然、距離を置くことによって、人との関係が悪くなるということもあるけれど、著者はその状況を「皮肉や批判」ではなく、「ユーモア」を用いて乗り越えて欲しいと書いているのが、とても興味深い。

勉強を開始する方法も面白かったです。著者によるとまず手始めに必要なのは、「身近なところから問題をみつけ、キーワード化し、ふさわしい『専門分野』を探す」という事なのだそうです。専門分野が見つかったら、入門書を複数比較して、専門分野の大枠を知り、そこから深く学んでいく。学ぶにあたっては、信頼できる文献を読み、学んだ事を記録する。そして、学んだ事は公開し、フィードバックを得られる環境を持っているとなお良いというわけです。

勉強法はどの本を読んでも大きな違いはない

読み終えて、本書の書評を書き始めてから気がついたのですが、本書に書かれている事は、以前読んだ「たいていのことは20時間で習得できる」に書かれていたことと同じでした。「たいていのことは20時間で習得できる」には、「超速スキル獲得法10のルール」と「効果的学習のための基本ルール」が記されています。

超速スキル獲得法10のルール

  1. 魅力的なプロジェクトを選ぶ
  2. 一時に一つのスキルにエネルギーを集中する
  3. 目標とするパフォーマンスレベルを明確にする
  4. スキルをサブスキルに分解する
  5. 重要なツールを手に入れる
  6. 練習の障害を取り除く
  7. 練習時間を確保する
  8. すぐにフィードバックが返ってくる仕組みを作る
  9. 時計のそばで一気に練習する
  10. 量と速さを重視する

効果的学習のための基本ルール

  1. スキルとそれに関連したトピックについて調べる
  2. わからなくてもやってみる
  3. 心的モデルと心的フックを知る
  4. 望んでいることの「逆」を想像する
  5. 実際にやっている人の話を聞いて予想を立てる
  6. 環境から気が散る要素を取り除く
  7. 覚えるために間隔をあけて反復と強化をする
  8. チェックリストとルーティーンを設ける
  9. 予測を立て、検証する
  10. 自分の生物学的欲求を大切にする

様々な勉強に関する本を読んでいると、技術や知識を深めていくプロセスについて、様々な方が様々な考えを語ってますが、言葉は違うけれど、ほぼ同じじゃないかと思うのです。自分自身、最近勉強をサボっていたので、改めて知識や技術を学んでいこう、という意欲を高めてくれた本でした。面白かったです。

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