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絶体絶命のピンチやプレッシャーが、正しい判断に導く。書評「勝負哲学」(岡田 武史,羽生 善治)

   

最近、岡田武史さんの著書を読み直しています。FC今治のオーナー就任をきっかけに、岡田さんが元々どんな考えをもっている人物なのか、どんな考えがFC今治のオーナー就任と壮大なプロジェクトを企画するきっかけになっているのか。岡田さんの著書を読みなおすことで、少しでも考えが理解できればと考えたからです。

本書「勝負哲学」は、岡田さんと羽生善治さんが、熾烈な勝負の世界で勝つこと、そして勝ち続けることとは、何か。サッカーと将棋、それぞれの戦いにおける、勝負勘の研ぎ澄ませ方、勝負どころでの集中力の高め方、そしてメンタルの鍛え方について、2人の考え方をぶつけあった1冊です。

日常生活が心の停滞を防ぐ

本書には、2人の勝負に関する考え方が、あますところなく収められています。僕が特に印象に残ったことは2つあります。1つ目は、岡田さんのこんな言葉です。

精神の安定に重要なのは生活なんですよ。
メンタルコントロールにはふつうの生活が何より大事なんです。

岡田さんが、コンサドーレ札幌の監督に就任した当初、単身赴任でホテル暮しをしていたそうです。ホテルの部屋で試合のビデオなどを観ながら、打開策を研究していたそうですが、食事をしている間も、風呂に入っているときも、考え続けていたら、次第に煮詰まってきたそうです。そんなとき、奥様のアドバイスでマンションに引っ越します。マンションに引っ越して、自分で掃除したり、選択したり、ご飯を作ったりしたら、気分転換になったのだそうです。

羽生さんも「勝負とは無関係の日常生活が片方にきちんと担保されている」ということが重要だと語っています。なにげない日常が心の停滞を防ぎ、メンタルコンディションも上向いていくのだというのです。僕自身も、仕事が上手くいかなくて家に帰ってきた時、家族の顔を見ると、ホッとして、嫌なことを少し忘れられます。これは、結婚した大きなメリットですし、自分自身忘れがちだった家族のありがたみを、改めて感じました。

大ピンチのときには、人間は意外に正しい判断をする

2つ目は、重すぎるプレッシャーにどう対峙するか、です。勝負の世界では、プレッシャーに心や体が縛りつけられている感じを覚えることがあるそうです。ただ、岡田さんも羽生さんも「重圧がかかった状態のほうが感覚が研ぎ澄まされ、集中力が高まることが多い」と語ります。

たしかに、重圧に押しつぶされるような感覚は、本当に苦しいものです。緊張感から身体が硬くなることもあります。ただ、2人によると、苦しい時はまだどん底まで落ちきってないからで、底まで落ちて地に足が着けばほんとうに落ち着くというのです。開き直ることによって選択肢が絞りこまれ、絞りこまれれば直感も冴え、迷いも見切れて正解に近づく。羽生さんいわく「絶体絶命のときとか大ピンチというときには、人間は意外に正しい判断をするもの」なのだそうです。

苦しさから逃げようと重圧を感じているときは、つまらないミスを犯したりすることがあります。ただ、苦しさを感じているときは、まだまだどん底まで落ちているわけではない。ひどい時でも、粘り強く投げ出さずに頑張っていれば、むしろ、ピンチの時にこそ大正解に近づくのだというのです。

プレッシャーを感じている人や苦しんでいる人におすすめの1冊

僕自身も、プロジェクトが終わりに近づくと、労働時間も長くなり、押しつぶされるような重圧を感じることがあるからです。今、仕事で少し重圧を感じていたのですが、2人の言葉に勇気づけられました。上手くいかない時でも、粘り強く、投げ出さずに頑張ろう。そう思うことが出来ました。

岡田さんの考えを知るために読み始めた本ですが、今の自分自身の境遇と重なる部分もあり、凄く勇気づけられた1冊です。仕事にプレッシャーを感じている人や、仕事で結果が出せずに苦しんでいる人におすすめの1冊です。そして、岡田さんはつくづくプレッシャーが好きな勝負師なのだと思いました。岡田さんが新たな勝負の場として選んだFC今治が、どのように進化していくのか。楽しみです。

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