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「サッカーのピリオダイゼーション」理論 ベーシックコース セミナー受講レポート

   

2014年12月28日に筑波大学東京キャンパスで行われた、「サッカーのピリオダイゼーション」理論ベーシックコースのセミナーを受講してきました。「サッカーのピリオダイゼーション」とは、オランダ代表やロシア代表のコンディショニングコーチを務めたレイモンド・フェルハイエンが提唱しているコンディショニング理論で、過密スケジュールの中でもシーズンを通してチームの全選手が怪我なく、すべてのトレーニング、すべての試合で100%の力を発揮させるためのトレーニングプランを考えるために必要な理論のことを指します。

「サッカーのピリオダイゼーション」セミナーは、「ベーシックコース」「アドバンスコース」「スペシャリストコース」の3コースに分かれています。今回はベーシックコースを受講してきましたので、レポートさせて頂きます。なお、ベーシックコースは、オランダでコンディショニングコーチをしている相良良平さんが講師でした。

サッカーのパフォーマンスを向上させるための理論

ピリオダイゼーションとは、「トレーニング計画」という意味です。「サッカーのピリオダイゼーション」は、「サッカーのパフォーマンスを向上させる」ための理論です。決して、1500mが速く走れるようにとか、重量挙げで重い重量が持ち上げられるようにするための理論ではありません。当たり前のようですが、「サッカーのピリオダイゼーション」理論では、この考え方に基づいてトレーニングを組み立てます。

例えば、ある選手が「90分継続してよいプレーが出来ない」という問題を抱えていたとします。この問題を解決するために、よく用いられるのが「5kmのランニング」などの、長い距離を、長い時間走るためのトレーニングです。しかし、このトレーニングは、サッカーにおける「90分継続してよいプレーが出来ない」という問題を解決するための手段として、よい方法ではないと、「サッカーのピリオダイゼーション」では考えています。「5kmのランニング」は、あくまでフィットネスの向上には役立つが、サッカーのプレーレベル向上には役立たないというわけです。

もう1つ「サッカーのピリオダイゼーション」で重要なのは、自分のチームを前提にして、トレーニングを組み立てることです。FCバルセロナがやっていたトレーニングを実施しても、自分のチームの問題を解決することにはつながらないというわけです。

ピリオダイゼーションで改善できる点

では、「サッカーのピリオダイゼーション」で改善すべき点は何か。セミナーでは、以下の4点を挙げています。

  • Better Football Actions
  • More Football Actions
  • Maintain Many Football Actions
  • Maintain Good Football Actions

「Better Football Actions」とは、カウンター攻撃の時にゴール前に走ったり、相手のマークを外したり、ドリブルする時に相手を抜く時の、瞬間的な動き(Maximum Explosive Football Action)のことを指します。「More Football Actions」とは、瞬間的な動きの頻度を増やすことです。「Maintain Many Football Actions」とは、瞬間的な動きの頻度を増やし継続させることです。「Maintain Good Football Actions」とは、瞬間的で質の高い動きを継続させることです。

「Better Football Actions」を改善するために必要なトレーニングは、「Football Sprint」と呼ばれるトレーニングです。「Football Sprint」とは、ボールを前方に転がし、その2人の選手がダッシュして追いかけるというトレーニングです。これは、ただダッシュするより、ボールを追いかけるトレーニングを実施したほうが、より効果があるからです。「Football Sprint」で重要なのは、実施した後「Maximum Rest」を与えること。きちんと回復させてからトレーニングを行わないと、怪我のリスクが高まるので注意が必要です。通常、「5mダッシュ+30秒の休憩」という組み合わせでトレーニングは行いますが、距離を伸ばす場合は、その分休憩も増やしてやることが必要です。

また、「Maintain Good Football Actions」という問題を改善させるには、「Football Sprint」を実行し、休憩時間を短くして、連続してトレーニングすることで、改善を促すことが出来ます。ただし、負荷の高いトレーニングなので、ダッシュの回数はコントロールする必要があります。

では、「More Football Actions」と「Maintain Many Football Actions」を改善するためには、どんなトレーニングをしたらよいのか。「サッカーのピリオダイゼーション」では、「11対11」「4対4」「3対3」というトレーニングを実行すべきだというのです

「サッカーのピリオダイゼーション」では、「11対11」というゲーム形式のトレーニングが、サッカーのトレーニングのスタートだと考えています。「4対4」「3対3」など、人数を減らすほど、人数間のパスの反復回数が増え、爆発的な動きを実施する局面も増えます。したがって、「More Football Actions」を改善するには、「4対4」「3対3」といったトレーニングを実施し、「Maintain Many Football Actions」に繋げるためには、「11対11」や「8対8」といったトレーニングを実施します。

したがって、「90分継続してよいプレーが出来ない」という問題は、「More Football Actions」「Maintain Many Football Actions」に対するトレーニングを実施することで改善できます。トレーニングを実行する際、疲れてきた時にし「切り替え!」や「集中」といった声掛けをすることで、トレーニングの効果を高め、問題を解決するというわけです。そして、トレーニングの効果をテストするのは、実際の試合です。試合の動きを改善するためにトレーニングを行っているのですから、トレーニングの効果をはかるのは、試合で行います。

スケジュールの原則

ピリオダイゼーションは、どのようなスケジュールで行えばいいのでしょうか。例えば、毎週土曜日にゲームがある場合のスケジュールは以下になります。

土曜:試合
日曜:リカバリートレーニング
月曜:休み
火曜:技術or戦術トレーニング
水曜:コンディショニングトレーニング
木曜:技術or戦術トレーニング
金曜:技術or戦術トレーニング
土曜:試合

ここまで紹介してきた、「サッカーのピリオダイゼーション」で行うトレーニングは、コンディショニングトレーニングの日に行います。「サッカーのピリオダイゼーション」の原則は、試合の翌日はリカバリーを行い、翌日に休みを入れること、試合の2日前は負荷の低いトレーニングを行うこと、の2点です。重要なのは、原則を基に、状況に応じてメニューを組み合わせ、長い目で考えて、披露を溜めないように回復をきちんと考えてメニューを組む必要があります。

コンディショニングトレーニングの強度は、シーズン前に決めます。コンディショニングトレーニングの強度の基準となるポイントを、「Zero Point」と読んでいます。11対11のトレーニングを10分1セットで2分休憩するトレーニングを行い、例えば36分行った時に動きが落ちた場合、「12分3セット」を基本とし、2週間目は「13分3セット」といった具合に、セットや時間を増やし、負荷を上げていきます。これを6週間分繰り返し、コンディショニングの向上を測っていくのです。

こうした原理原則を基に、個人個人の体力も考慮した上で、最適なメニューを組み、怪我なくトレーニングをこなすためのメニュー作りを行っているのが、「サッカーのピリオダイゼーション」です。トレーニングの強度を測るために、GPSや心拍計といった機械を使うと、より高い効果が期待出来るのではないかと感じました。

強度を決める「Zero Point」

セミナーを受講して、強く印象に残ったのは、「Zero Point」という考え方です。

トレーニングの強度を決めるためには、基準となるポイントが必要です。そのポイントを11対11のパフォーマンスが継続できなくなった時間で決めるというのは、サッカーのパフォーマンス向上を目的とする、ピリオダイゼーションならではだと思います。

普通、強度の目安を決めるのは、フィットネスプログラムのパフォーマンスを測る体力測定です。ただ、体力測定で分かるのは、フィットネスのパフォーマンスであり、サッカーのパフォーマンスではありません。フィットネスのパフォーマンスから、サッカーのトレーニング強度を決めるというのが、よく考えると変な話だったのだなと感じましたし、プロサッカークラブでも、こういう考え方でトレーニングメニューを考えているチームは、少ないのかもしれないと思いました。

ただ、「Zero Point」を測定するにあたって、人の目による判断だと、正確な判断が出来ないのではないかとも思いました。心拍計を用いたり、休憩中に脈拍を測るなど、「いつパフォーマンスが落ちたのか」判断する指標を決めておかなければ、理論をきちんと活用することは出来ないのではないかと思いました。

部分最適は全体最適にはならない

「サッカーのピリオダイゼーション」理論の講義を受講して、「サッカーのパフォーマンスを上げるために、サッカーをする」という当たり前のことが、なぜ浸透していないのか、考えさせられます。

サッカーのパフォーマンスを上げるために、走る行為だけ取り上げて、必要以上に走ったところで、当初意図していたパフォーマンス向上に結びつくか、疑問です。何か問題が起きた時、特定の部分だけ最適化しようとして、結果的に上手くいかなかったということは、よくあります。

「サッカーのピリオダイゼーション」理論が広く浸透し、この考えが当たり前になった上で、更にパフォーマンスを向上させるための考え方が出てくることを期待したいと思いますし、自分自身も何か考えてみたいと思います。

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