覚悟を持った頑固一徹の職人。プロフェッショナル 仕事の流儀「パン職人 成瀬正」

2014/04/11

プロフェッショナル 仕事の流儀 パン職人 成瀬 正の仕事 不満足こそが、極上を生む

”ジャムおじさん”ではなかったパンの職人

今週のプロフェッショナル仕事の流儀は、子供が一度は憧れるパン職人のプロフェッショナル。それも、飛騨高山という都会から離れた土地にお店を構えながら、超一級品のパンを街の人たちに提供し続ける、街のパン屋さんのプロフェッショナルです。
パン屋さんというと、我が家では娘がよく観ている影響もあって、アンパンマンに出てくる”ジャムおじさん”のような、温厚で優しそうな方を想像してしまうが、成瀬さんは違う。成瀬さんは、”ジャムおじさん”とは似ても似つかない、むしろ建築現場にいそうな頑固一徹なパンの職人です。

常に不機嫌そうな顔でパンと向き合い、自らのパンをもっとより良くしようと、改善点がないか考え、新しいアイディアを考えつけば試す、汗にまみれて必死に働く仕事人の顔をしています。パン職人に対して、勝手なイメージを抱いていた僕は、画面に映る成瀬さんの表情に思わず見入ってしまいました。

特殊な仕事環境が産み出した”緊張感”

成瀬さんは、仕事中は、緊張感から常に険しい顔をしています。僕が成瀬さんの顔を観て疑問に思ったことは、「なぜこれほどまでに、緊張感を持って仕事に取り組んでいるのか」か、でした。街のパン職人が持つ緊張感としては、異質なものに感じられたからです。

その緊張感が何故生まれたのかを考えると、彼の環境が原因ではないかと思いました。彼の店は、岐阜県の飛騨高山にあります。都会のように、人口が多いわけでもなく、交通の便がよいわけでもない飛騨高山でお店を維持していくことは、都会でお店を維持していくこととは、別の苦労があるのだと思います。

「好きな事を仕事にしていきたい」という気持ちだけでは、とてもお店を維持することもできるとは思えません。日々単純な作業を繰り返しながら、お客を呼び込むための改善を繰り返し続けなければいけないのです。それがどれだけ大変なことかは、パンに関しては素人の僕でも分かります。

これは推測だが、彼にはお店に来てくれるお客様とは別のお客様を相手に、パンを作っているような雰囲気さえ感じます。そのお客様は、自分ということでもなさそうです。正直言うと”誰”なのかは番組からはわかりませんでしたが、成瀬さんからはそれほどの緊張感が伝わってきました。

職人に必要な”眼”を持つには、覚悟が必要

成瀬さんが職人として、長年お店を続けられているのは、彼が”おいしいパンはどういうものか”判断できる眼を持っているからだ、と思います。おいしいパンを作るためには、どういったパンが”おいしい”のか、わかっていなければなりません。パンのおいしさを判断する”眼”とは、どういうものなのか。そのことを番組では、昨年入社した33歳の新人を育てる過程に密着し、探りあてようと試みていました。

ただし、結果としてはこの試みは、失敗だったと思います。なぜなら、新人の取り組みを伝えると、番組を観ている者は自ずと彼の失敗の内容に注目するようになってしまい、本来伝えたかった「職人の眼」とは何かが、結果的にわかりづらくなってしまった、と感じたからです。少なくとも僕は、そう感じました。

ただし、確実に伝わったこともあります。それは、「職人に必要な”眼”を持つのは、簡単なことではない」ということです。当たり前の事だが、一朝一夕で成瀬さんのようなパン職人になれるわけではありません。番組で取り上げられていた、33歳の新人は、見るからに不器用で動きも固く、成瀬さんのようなパン職人になるには、長い年月が必要になることが、映像から伝わってきました。

成瀬さんも失敗を重ね、苦難の日々を経て、今の成瀬さんがあるのでしょう。その覚悟が新人の彼にはあるのか?と問い続けている成瀬さんの顔からは、職人の覚悟がこれでもかというほど伝わってきました。

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