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ネットでも店舗や営業マンと同じサービスが求められる時代。書評「リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略」

   

リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略

本書は「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」の著者が、これからのネットで求められるマーケティングの考え方、事例、実践するための仕組み作りの方法について書いた1冊です。

リアルタイムで対応せずに損をしたユナイテッド航空

本書は、ユナイテッド航空にギターを壊されたあるミュージシャンの話から始まります。

カナダ人ミュージシャンのデーブ・キャロルは、2008年バンドのメンバーとともにシカゴのオヘア空港からユナイテッド航空に乗ることになっていました。ところが、バンドメンバーが、自分達のギターやベースを滑走路でほうり投げている手荷物係を目撃したのです。手荒い扱いでキャロル氏の所有する3,500ドルのTaylorのギターが演奏できないほどに壊れてしまいました。彼は損傷の責任をユナイテッド航空に負わせようと9ヶ月間も戦ったのですが、ユナイテッド航空からは良い反応はありませんでした。そこで、彼は航空会社の無責任さ歌にし、音楽ビデオを作り、YouTubeで公開しました。それが「United Breaks Guitaras」という曲です。

United Breaks Guitars

公開直後からこの曲は大きな話題になり。TwitterやFacebookなどのツールを使って拡散されました。そして、動画が公開された数日後には壊されたギターのメーカーであるTaylorが、YouTube上で「ギターを飛行機で運ぶ時の梱包方法」を公開。この動画も大きな話題を集めました。

Taylor Guitars Responds to “United Breaks Guitars”

また、デーブ・キャロルがギターケースとして使っていたCalton Caseというメーカーは、YouTubeで動画を観て「デーブ・キャロル ギターケース」の製作にとりかかり、動画公開の数日後には、製品の販売を開始。こちらも話題となりました。

一方、デーブ・キャロルに訴えられたユナイテッド航空は、動画が話題になってからようやく彼に謝罪と賠償金の支払いに応じると回答しましたが、デーブ・キャロルは拒否。デーブ・キャロルのアクションに即座に対応したTaylorとCalton Caseはこの機会にブランド価値を高めることが出来ましたが、即座に対応できなかったユナイテッド航空は、大きくブランド価値を下げる結果となりました。

このように、現在のネット上では顧客の声に対して、企業がリアルタイムで対応できなければ企業のブランド価値を下げてしまう時代だと、本書では語られています。

震災時にリアルタイムに対応したNHK

日本でリアルタイムに柔軟な対応をしたことが評価された事例を、2点紹介したいと思います。
まず、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後に、NHKが広島の学生がUstreamで公開していたNHKの放送のリンクを発見します。普段なら違反として咎められるべきなのですが、緊急時にテレビが見れない人にもNHKを観てもらいたいと考えたNHKの広報担当者は、なんとTwitter上でリンクをシェアします。

 

結果的に、数時間後にはNHKは緊急時用にUSTREAMとニコニコ動画で放送が閲覧できるようにしたと発表。1人の担当者が思い切って実行したことが、結果的に会社を動かし、柔軟な対応ができないというイメージがあったNHKの信頼度を高める結果となりました。

ツイートにリアルタイムで反応したエステー化学

もうひとつは、西川貴教さんが出演したエステー化学のCMについてです。
それは、こんなツイートがきっかけでした。

それを見たエステー化学の担当者が、以下のようにツイートします。

 

西川さんもエステー化学の担当者のツイートに対して、以下のように反応します。

 

西川さんがCMについてツイートした後、ネット上で「CM観たい!」と盛り上がり、結果的に西川さんが出演したCMが制作されました。これも何気ないツイートに、企業の担当者がリアルタイムで反応したことが、ネットのユーザーも巻き込んで大きな反響を生み出し、もともと遊び心のあるCMを作っていたエステー化学は、この件を機にブランド価値を高めることが出来たのです。

ネットでも店舗や営業マンと同じサービスレベルが求められる時代

リアルタイム・マーケティングが意味するものとは何か。それは、ネットでもリアルの店舗や営業マンと同じサービスレベルが求められる時代になったということです。店舗で顧客が来た時、顧客の要望にあわせて商品をおすすめしたり、店の奥からとっておきの品を出してきたり、あるいは世間話をしたり、といったことは当たり前のように行われてきましたが、今後はネットでもTwitterやFacebookなどのツールを使って、リアルと同じように商品をおすすめしたり、世間話をしたりする必要があるのです。

そう考えると、Web担当者に求められるスキルも変わってきます。従来のWeb担当者は、社内から提供されたコンテンツを元にコンテンツの更新だけをすればよかったのですが、これから求められるのは、ある時は広報のようにサービスの強みをさり気なくPRしたり、ある時はお店の店員のように、顧客に商品を紹介する必要があります。これからはネットの窓口を大企業でなくても、部署ごとに儲ける会社が出てくるかもしれません。

大切なのは、リアルと同じような対応を、顧客との接点を持っている現場の担当者がネットでも対応することです。ただし、リアルだと対応している相手の姿を見て対応出来ますが、ネットでは相手がどんな素性の人なのか、慎重に判断しなければなりません。相手が酔っ払ってるのか、強面なんだけど優しい人なのかを、ネットで判断するのは簡単ではありません。だからこそ、現場の担当者に責任をもたせ、対応させることの重要性を、本書の中では繰り返し説いているのです。

これからのWebマーケティングをどのように取り組めばよいのか知りたい人や、企業の広報担当者にオススメの1冊です。

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