レッドブルブランドの秘密。書評「レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか」

最近、コンビニでレッドブルを見かけるようになりました。レッドブルといえば、F1のチームをスポンサーしていることでも知られ、2012年に世界165か国で52億本も販売されたと言われていますが、実際はどんな企業なのかあまり知られていません。それは、レッドブルが徹底的に秘密主義を貫き、仕事の進め方や会社の内幕を公にしてこなかったからです。

そんなレッドブルが、なぜ52億本も売れたのか。その秘密を取材や関係者の証言をもとにまとめたのが、本書「レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか」です。

市場の創造=マーケティング

レッドブルという企業の活動は、創業者のディートリッヒ・マテシッツのこの一言に集約されます。

「レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ」

この言葉は、ピーター・ドラッカーの「顧客の創造こそが企業の究極の目的」そのものです。レッドブルは、生産・流通部門は社外の提携会社に委託しています。(ちなみに、提携会社との間には契約書は存在せず、口約束で取引が成立しているというのですから、驚きです。)レッドブルという企業で抱えているのは、製品のPR・マーケティング部門です。つまり、「市場を創造する」ための活動に、自社を特化させているのです。

体験を売る

レッドブルのWebサイトを見てもらうとわかるのですが、レッドブルのWebサイトには、飲料製品の情報は殆ど掲載されていません。飲料製品の情報は、申し訳程度に奥の階層に掲載されているだけです。Webサイトに掲載されているのは、モータースポーツ、バイクといったスポーツに関する情報や、音楽、ダンス、ゲームといったカルチャーに関する情報です。

レッドブルが販売しているのは飲料製品ですが、実際に売っているのは、スポーツやカルチャーから得られる「エキサイティングな体験」です。レッドブルは製品を売ることより、徹底的に「エキサイティングな体験」を作り出すことに注力します。そのことが、製品を売るための市場の創造につながっているのです。

自社でPRする

レッドブルの活動で興味深いのは、自社に映像チームを抱えている点です。レッドブルで企画したイベントを撮影するのは、自社のチームです。レッドブルが企画するイベントは特殊なので、普通にイベントを企画しただけだと、既存のメディアであるテレビ局やマスコミには取り上げてもらえません。しかし、自社でイベントの企画からPRまでを一括で手がけることで、伝えたいメッセージや体験が、きちんと伝わるような体勢を整えているのです。

近年、ソーシャルメディアなどの情報発信ツールの発達により、企業は自分たちの力で、自社の魅力や強みを顧客に伝えることが求められています。「企業のメディア化」と言う人もいますが、レッドブルはまさしく「企業のメディア化」の最先端をいく企業だといえます。そして、レッドブルが伝え続けている「エキサイティングな体験」の積み重ねが、今日のレッドブルブランドを作り上げたといえるのです。

本書には、他にもレッドブルの経営の秘密が掲載されています。
レッドブルという企業のブランドが、いかにして高まったのか。その秘密が知りたい方には、おすすめの1冊です。

Red Bull Air Race World Championship Returns in 2014

街中に立てられたスラロームを飛行機が走り抜けるレッドブルエアレース。初めて見た時は度肝を抜かれました。

Red Bull X-Fighters 2013 Season Recap

モトクロスライダーが様々な技を披露する「X-Fighters」。

Red Bull BC One World Final 2013 Seoul

今年ソウルで行われたレッドブルが主催するダンスバトル。

Red Bull Street Style World Final 2013

今年東京で開催された、華麗なテクニックを競い合うフリースタイルフットボールの大会。日本代表として出場した徳田耕太郎さんは、レッドブルの支援を受けています。

関連記事

今年読んだビジネス関連本で1番。書評「小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則」
すべてはお客様の満足のために。書評「ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛」(リチャード・ブラント)
セミナー「メディア化する企業はなぜ強いのか? ~フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識」

関連商品