2017年J1第33節 浦和レッズ対川崎フロンターレ プレビュー「技術を追求することが、長く勝ち続けられるチームを作る」

2017年Jリーグ第33節、川崎フロンターレの対戦相手は浦和レッズです。

「技術」を教える風間監督のチームづくり

2012年シーズン途中から、2016年シーズンまで監督を務めていた風間八宏さんは、徹底して選手の技術を上げる事に注力してきました。

ボールを「止める」、ボールを意図した場所に「運ぶ」、ボールを「受ける」、相手の守備を「外す」、そして相手の守備の陰にボールを隠して見えなくし、ゴールキーパーが跳ぶタイミングを外して打つシュートなど、サッカーというスポーツを構成する技術を、細かく噛み砕き、より上手くプレーする方法を、粘り強く指導し続けました。

大抵の監督は、技術ではなく、今やるべき事や、パターンに基づいた動きが出来るように、指導します。なぜなら、やるべき事や、パターンを教える方が、すぐに結果がわかるからです。

しかし、技術を教えて成果を出すのは、時間がかかります。技術を教えて成果を出すのに時間がかかる理由は、求められている技術のレベルを理解して、身体で表現出来るようになるには、たくさんの失敗を経験し、自分で考え、試行錯誤しなければ、技術は上がっていきません。だから、時間がかかるのです。

なぜ風間監督は「技術」を教えて結果が残せるのか

ただ、サッカーは残酷なスポーツで、結果が出なければ、監督は職を失ってしまいます。選手が上手くならなかったので解任されてしまいましたでは、監督という職業は続けられません。

では、どうするか。サッカーは「得点の多いチームが勝つ」スポーツです。サッカーで得点が入る確率が高いのは、ゴール近くのエリアです。したがって、ゴール前の技術を高め、いかに得点を奪うか、いかに失点を防ぐか。ゴール近くのエリアの技術を高める事から始めれば、技術があるレベルまで上がるまでの間の影響を最小限にしつつ、技術のレベルが上がってきたら、勝つ確率が増えるチームになるのではないか。そう考えたのだと思います。

風間さんの思惑どおり、チームは少しずつ勝つ確率が高いチームに変わり始めました。ただ、風間さんは「自分たちがボールを保持する」事を前提にして考え、選手に強調して伝える監督です。大抵の人は、「守備も攻撃も」と、全てを伝えようとしますが、人には極端なくらいある1点を強調しないと、物事は伝わりません。それも、飽きるくらいしつこく伝えなければなりません。

風間さんは攻撃に関する指導を強調する監督ですが、守備に関してアイディアがないわけではありません。ただ、攻撃に比べると守備を指導するのは得意ではないのだと思いますし、守備を強調して指導すると、せっかく築いてきた攻撃が疎かになる。そう考えたのだと思います。

2017年シーズンから監督に就任した鬼木監督は、風間さんが足りなかった部分を補ってくれました。風間さんが足りなかったのは、「セットプレーの攻撃と守備」「ボールを奪う守備、相手にボールを運ばせない守備」です。鬼木監督はチームに不足していた点を上手く補うような指導をしています。鬼木監督は「攻守で相手を圧倒しよう」と選手に言い続ける事で、攻撃を損なう事なく、チームに守備の技術を植え付けました。

スムーズに引き継ぎが出来た理由

スムーズに移行が進んだのは、2016年シーズンから、既に移行を進めていたからだと思います。2016年シーズンから、風間さんが鬼木さんに試合中に意見を求める場面を何度も見かけました。2016年シーズンから失点が減ったのは、選手の努力、チョン・ソンリョンやエドゥワルドや奈良といった選手の影響もありますが、少しずつ鬼木さんが指導に関わる割合を増やしていたのではないか。僕は、そう考えています。

思い出すのは、読売ジャイアンツの長嶋監督の最後のシーズンで、次期監督を任せる予定だった原辰徳ヘッドコーチ(当時)に采配を任せ、失敗を経験させながら引き継ぎをしたというエピソードです。

原さんは失敗を経験し、試行錯誤を繰り返しながら、読売ジャイアンツをリーグ3連覇へと導きました。鬼木監督は原さんと比較しても、上手く引き継いでいると思います。

長くなりましたが、リーグ戦で優勝するには、川崎フロンターレが2連勝して、鹿島アントラーズが最終節で引き分けるか、負ける(鹿島アントラーズより川崎フロンターレの方が得失点差が11差あるので)、という条件でしか、優勝出来ません。

正確なプレーの積み重ねが速さを生む

今になって特別何かが出来るわけではないので、今やるべきは「基本に立ち返る事」だと思います。「止める」「「運ぶ」「受ける」「外す」という技術を活かして、正確にプレーする。これだけだと思います。

正確なプレーの積み重ねが速さを生み、違いを生み出す。攻撃、守備、セットプレーで、いかに正確にプレー出来るか。休養十分で臨む試合なので、コンディションも良いはずです。楽しみです。