2017年J1第31節 柏レイソル対川崎フロンターレ プレビュー「柏レイソルの特徴をデータで分析」

2017年Jリーグ第31節、川崎フロンターレの対戦相手は柏レイソルです。

データから分かる柏レイソルの特徴

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は11.5%でリーグ7位。攻撃回数は129.6回とリーグ2位。1試合平均のシュート数は14.9回でリーグ3位。攻撃回数が多いというデータからは、「ボールを奪う回数が多いのではないか」という点が想像されます。つまり、ボールを奪った後にシュートチャンスを作り出す「ショートカウンター」というプレーが得意なチームです。

実際、Football-LABのプレースタイルを示すデータからは、ショートカウンターからのシュートチャンスを作り出す確率が20.5%とチーム平均の11.5%より高い事が分かります。ただ、この「ショートカウンター」のデータで興味深いのは、ショートカウンターでシュートチャンスを作り出す確率が最も高いのは、1試合平均のパス数が最も多い川崎フロンターレで22.5%なのです。

チャンス構築が他のチームより低いのは、攻撃回数が多いからだと思います。攻撃回数というデータは、ボールを奪ったらカウントされる数値ですが、ボールを奪って、奪われて、という数値が増えると、攻撃回数が増えていきます。柏レイソルは、パスをつなぐのが上手いチームですが、1試合平均のドリブル回数が14.9回でリーグ4位とボールを奪われやすい「ドリブル」というプレーを選択する回数が多い選手が多いため、攻撃回数が多くなっていると思われます。クリスティアーノ、伊東、ハモン・ロペスといったドリブルの得意な選手と、パスを「出して、受ける」のが得意な選手と、ポジションと選手ごとに役割が明確に別れているのが、柏レイソルというチームの特徴です。

柏レイソルは「パスをつなぐのが上手い」という印象があるかもしれませんが、柏レイソルの「出して、受ける」は川崎フロンターレとは全くやり方が違います。川崎フロンターレは選手同士の距離を短く保ち、「出して、受ける」を繰り返し、ボールを受ける選手が守備者の間に動いたり、相手が届かない場所に動いたり、パスを出した後、パスを出した相手に近づいて数的優位を作ったりといった、選手同士の「出して、受ける」という動きのパターンを組み合わせて、ボールを運んでいきます。

柏レイソルの場合は、「フリーになりやすい場所」に選手を配置することで、パス交換しやすい状況を作り出し、相手陣内にボールを運んでいくのが特徴です。柏レイソルは、攻撃時に選手はサイドの選手がタッチラインに近い位置まで広がり、選手間の距離を広く保つのが特徴です。広く保つことで、相手の守備者同士の距離を広げ、中川、小林、キム・ボギョンといったMFの選手は、守備者の間でボールを受けられるようにしています。そして、ボールを受ける選手、運ぶ選手、相手を崩す選手と、選手の役割がポジションごとに決まっているのも、柏レイソルの特徴であり、チームと個人の強みを上手くミックスして戦っているチームだと言えます。

柏レイソルの特徴は、「サイドにフリーになれる選手」を作って攻撃していることなのですが、サイドからボールを運ぶのが上手いというは、データでも示されています。柏レイソルのデータを分析すると、1試合平均のスローインの回数が25.9回でリーグ1位。スローインの回数が多くなるのは、サイドからドリブルでボールを運んで、相手にタッチラインに蹴り出される回数が多いからです。

また、1試合平均のコーナーキックの回数も6.5回でリーグ1位。コーナーキックはシュートがGKにはじき出されてゴールラインをわるか、DFにパスがカットされてゴールラインを割ると発生するプレーなのですが、最も多いのはサイドからゴール前へのパスをカットされた時です。柏レイソルがいかにサイドからの攻撃が多いか、こうしたデータからも読み取れます。

課題があるとすれば、得点の数をシュート数で割った「シュート成功率」は、10.1%でリーグ10位。チャンス構築率の割には、シュート成功率が高いとはいえません。チームトップの12得点を挙げているクリスティアーノが、シュートを133本打っていますが、シュート成功率は9.0%とチーム平均より低いというデータが、シュート成功率が低い要因の1つだと思います。ただ、シュート成功率を高める要因となる、セットプレーからの得点の割合は高く、総得点の42%を占めます。柏レイソルのセットプレーの攻撃は要注意です。

守備のデータを分析すると、シュートを打たれた数を攻撃を受けた数で割った「被チャンス構築率」は9.0%でリーグ2位。攻撃を受ける回数は126.4回でリーグ17位と多いのですが、被シュート数が11.回%でリーグ3位と、シュートを打たせない守備が上手いチームです。

ただ、シュートの被成功率は9.1%でリーグ8位とそこまで高いわけではありませんが、被チャンス成功率を少し上回る程度なので、シュートを打たせない守備、ゴール前の守備が共に上手いチームだと思います。

柏レイソルのデータで興味深かったのは、1試合平均の間接フリーキックの回数が、3.7%でリーグ1位。間接フリーキックは、ほぼオフサイドを取る回数と同じです。FWとDFの距離を短く保ち、オフサイドを奪うのが上手いチームであることが読み取れます。ただ、川崎フロンターレには、DFの背後を狙うのが上手い小林がいます。柏レイソルのDFが小林にいかに対応するのか注目です。

阿部の不在を補えるか

川崎フロンターレの最近のデータを調べていると、気になるのは失点が多いことです。天皇杯、ルヴァンカップ含めた直近5試合で、無失点だったのはリーグ戦第30節のサンフレッチェ広島戦だけです。失点が増えている要因を考えると、ある選手の重要性について気づかされます。ある選手とは、阿部の事です。

阿部の凄さは攻撃時より守備時により発揮されます。パスコースの消し方、相手選手へと寄せるスピード、ボールを奪う技術、そして時にはファウルしてでも相手の攻撃を止めるプレーは、川崎フロンターレが失点を減らす要因になっていたと思います。しかし、阿部が怪我をかかえパフォーマンスが落ち、怪我で欠場が続いている最近の試合では、阿部と同じ役割を担える選手がいないため、なかなか守備時の動きが連動しなかったり、最後まで追いかけて奪い切るようなプレーをする選手がいないので、簡単に相手にゴール前までボールを運ばれる試合が増えています。

阿部と同じ役割を担うのは簡単ではありませんので、チームとして「いつ」「どこで」ボールを奪いに行くのか、整理して試合に臨む必要があると思います。最近の試合と同じような守備をしたら、柏レイソルには勝てません。

柏レイソル、ルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪、ガンバ大阪、浦和レッズ、そして、残留争いをしている大宮アルディージャと、一筋縄ではいかない相手が続きます。小さなミスが勝敗に直結するような試合が続く中、阿部のような選手がいないのは痛いですが、代わりに出場する選手がどのようなプレーを披露するのか楽しみです。