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今さらながら「山賊の娘ローニャ」の素晴らしさを語る

   

2014年10月から2015年3月までの半年間、NHK BSプレミアムで「山賊の娘ローニャ」というアニメーションが放送されました。原作は、「長くつ下のピッピ」などの作家で知られる、アストリッド・リンドグレーン。「山賊の娘ローニャ」は、スタジオジブリの宮崎吾朗さんが、ポリゴン・ピクチュアズと組んで、3DCGアニメーションで作ることでも話題になりました。

「山賊の娘ローニャ」が他の3DCGアニメーションと違うのが、セル画風の絵で書かれているという点です。「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」のような、CG独特の強い色ではなく、セル画風の優しい色づかい3DCGアニメーションで実現しています。背景美術は手描きで描かれた絵を元に、作られています。今まで見たことない絵は、慣れてくると凄くきれいで、思わず引き込まれました。

人間関係がもたらす感情の機微を表現したストーリー

でも、この作品が素晴らしいのはストーリーです。

山賊の娘に生まれたローニャは、両親や仲間たちの寵愛を受けてすくすくと成長します。しかし、山賊の娘であることに対する疑問が大きくなり、もう1つの山賊団、ボルカ山賊の一人息子ビルクと共に家出し、森のなかの洞窟で2人で暮らすようになります。優しくも、厳しくもある森の中で、2人の子供は大きく成長していきます。そして、山賊団を取り巻く環境にも変化がおとずれます。親子の関係、夫婦の関係、男の子と女の子の関係など、人間関係がもたらす感情の機微が、上手く表現されている作品です。

最初の頃、ローニャはただの元気な女の子で、幼さすら感じます。しかし、様々な経験を得て、だんだんと表情も変化し、女の子が本質的に持っている強さが作品にも現れてきます。逆に、ビルクは物語の最初の頃は、大人びた少年なのですが、次第に子供っぽさが出てきて、だんだん情けなくなっていきます。「山賊の娘ローニャ」では、女たちが強い存在として描かれています。男は身勝手で情けなく、女は強い存在。これは、現代の男女関係にも通じる感じがします。

大きな事件が毎回あるわけではありません。テンポもゆったりとしたテンポで進行します。でも、思わず引き込まれてしまう作品です。

子供らは好きなようにする。親はそれに慣れるのにありゃしない。

個人的に最も印象に残っているのは、ビルクが「僕は山賊にはならない」と発言し、残念がるボルカに対して、ローニャの父、マッティスが言った言葉です。

オレも物事になれてこなきゃならなかった。あんたもそうしなきゃならないんだ。
(中略)
子供らは好きなようにする。親はそれに慣れるのにありゃしない。
だけど、そいつは楽なもんじゃねぇぜ。

個人的には、宮崎吾朗さんがこの作品で最も強調したかったことが、このセリフに込められている気がしました。なぜなら、このセリフには、宮崎吾朗さんの境遇に通じるものを感じたからです。このセリフを聞いた時、宮崎吾朗さんは、未だに父親の影と戦っているのだなと、実感しました。

「山賊の娘ローニャ」でも、ところどころ「アルプスの少女ハイジ」を思わせるような表現も登場します。これはよい意味で遊んでいるんだろうなと感じる表現なのですが、宮崎吾朗さんと父親との関係性が感じられて、興味深かったです。

宮崎吾朗は父親関係なく素晴らしい映画監督だ

僕は、宮崎吾朗さんは、本当に素晴らしいアニメーション監督だと思います。父親と異なり、芝居がきちんと演出出来る監督で、こういう監督はあまりいません。もっと、高く評価されていいアニメーション監督だと思います。そして、後日DVDで発売されるであろう「山賊の娘ローニャ」を観て頂き、この作品がもっと世の中に知られて欲しいなと、思います。

最後に、2015年4月号の「熱風」に宮崎吾朗さんと、「山賊の娘ローニャ」のプロデューサーを務めた川上量生さん、NHKの土橋圭介さんの座談会が掲載されています。「山賊の娘ローニャ」がどういう作品だったのか、詳しく紹介されている記事なので、こちらも併せて読んで頂きたいと思います。

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