日本トップスポーツにおけるアナリティクス事例。千葉洋平(日本スポーツアナリスト協会理事/JSCマルチサポート事業 パフォーマンス分析スタッフ)受講メモ

2014年12月21日に開催された、「スポーツアナリティクスジャパン2014(SAJ2014)」というカンファレンスに行ってきました。スポーツに関するデータや数値を分析する「スポーツアナリティクス」。この聞き慣れない領域が欧米のスポーツ界で今、大きな存在感を示し始めています。そして、この波は間違いなく日本スポーツ界にもやってきています。SAJ2014は、スポーツアナリティクスに関する日本で初めてのカンファレンスです。

今回は、日本スポーツアナリスト協会理事/JSCマルチサポート事業 パフォーマンス分析スタッフで、フェンシング男子日本代表のスタッフとして活動されている、千葉洋平さんの講演「日本トップスポーツにおけるアナリティクス事例」の受講メモをご紹介します。

千葉さんは、Keynoteを使って、非常にテンポよく、動画と図版を組み合わせて、見ている人を惹きつけるプレゼンをされてました。プレゼンはSAJ2014のセッションの中で、一番上手かったと思います。アナリストには、データを解析するだけでなく、選手に納得してもらうための、プレゼン技術も必要なのだと、千葉さんのプレゼンから感じました。

印象に残ったのは、「どんなプロセスを経て結果が組み上がってきたのが、未知の局面に出会った時の対応力を作る」という言葉です。羽生善治さんの言葉だそうですが、情報も同じことが言えるのではないかと、千葉さんはおっしゃってました。

情報そのものに価値があるのではなく、どのようなプロセスを経て、その情報があるのか。情報の質を高めていく過程で、どんな情報を捨てて、どんな情報を残しているのか。情報そのものより、むしろプロセスの方が重要であり、プロセスがなければ未知の局面に出会った時に対応できないし、情報を活用することは出来ない。そう千葉さんは考えているようです。この言葉は、凄く印象に残りました。

なお、同じテーマで、卓球男子日本代表チームのアナリスト、池袋晴彦さんも講演されてましたが、「講演内で話した情報は、ここだけの話しにしておいて欲しい」というお話があったので、千葉さんのお話だけ、受講メモを残させていただきます。

情報の活用で優位を作る

  • 情報を収集する
    • 量を集める
  • 情報を分析
  • 情報の提供
    • 情報の質と確実性を高めていく
  • 常に情報の検証を行う

フェンシングのルール

  • フルーレ
    • 攻撃方法:突く
    • 有効面:胴体面
    • 試合形式:3分3セットの15点マッチ
    • 優先権がある
      • ランプが同時に光った時、得点が「優先」して認められる権利
      • 「有効面へのつき」+「優先権}=得点
      • 相手より攻撃態勢に入る
      • 優先権が変わる時→相手が攻撃を失敗するとき
      • 一瞬の内に「優先権」を奪い合うスポーツ
    • エペ
    • サーブル
  • 体格
    • 日本人選手は他の国より10cm以上平均身長が低い

情報収集

  • フェンシングのワールドツアー
    • アジア:2〜3大会
    • ヨーロッパ:6〜7大会
    • アメリカ:1大会
  • 日本人、海外強豪選手の情報収集
    • 約11大会、約2000試合
    • iTunesに格納

分析

  • 分析→「見える化」
  • 不確実なものを「確実」にする
  • 「誰が」「いつ」「どこで」「何をして」「どうなったのか」
  • 徹底的にタグ付けする
  • SPORTSCODEというソフトウェアを使用
    • タグ情報はカスタマイズ出来る
    • STATSと映像がリンクしている(タグが映像に紐付いている)
  • 「世界」と「自分」の位置を知る

提供

  • フィードバックの「場所」と「時間」を制限したくない
  • iPadを選手・コーチ全員に配布
    • Smart System
      • 映像データシステム
    • Handbook
      • マルチデータ共有システム
    • FPAD
      • SPORTSCODEの閲覧版のソフトウェア
  • 「情報に触れる機会」が増えた
    • 団体戦、選手村でSMARTを使ったミーティング

情報の活用で優位に立てた事例

 

  • ロンドン五輪の準々決勝中国戦
    •  相手のエースLEI選手のAttackで8割近く得点されている(平均45%)
      •  彼に勝つための情報を作る必要があった
  • LEIの「失点」パターンを抽出
    • 日本人に似た選手のパターンを抽出
    • 連続失点のパターンを抽出
    • ステップワークで距離をコントロールし攻撃
    • フェイントを入れながら、Attackのタイミングを外す
    • ふとした油断に付け入る
  • 結果
    • ロンドン五輪では、Attackからの失点を47%に下げた

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