2017年J1第30節 サンフレッチェ広島対川崎フロンターレ プレビュー「エドゥアルドとハイネルは少ないチャンスを活かせるか」

2017年Jリーグ第30節、川崎フロンターレの対戦相手はサンフレッチェ広島です。サンフレッチェ広島は、第15節に川崎フロンターレと戦った後に、監督が代わりました。監督が代わって、何か変わった事があるのか、ないのか。データから読み解いてみたいと思います。

2016年や2015年と比較して分かったサンフレッチェ広島の課題

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は13.0%でリーグ2位。攻撃回数は112.1回とリーグ18位。1試合平均のシュート数は14.6回でリーグ4位。サンフレッチェ広島は、元々「チャンス構築率が高い」チームです。

第15節時点のデータを振り返ると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は13.7%でリーグ1位。攻撃回数は115.4回でリーグ18位でしたが、1試合平均のシュート本数は15.3本でリーグ3位。攻撃回数は少なく、シュートは多く。これが、サンフレッチェ広島の攻撃の特徴です。この特徴は変わっていません。

2017年シーズンの問題は、「シュート成功率が低い」事です。得点の数をシュート数で割った「シュート成功率」は、6.6%でリーグ17位。シュートチャンスは効率よく作れているけれど、得点を挙げられない。あまり好きな言い方ではありませんが、「決定力不足」なのです。ちなみに、2016年シーズンのシュート成功率が10.2%、優勝した2015年シーズンのシュート成功率が13.2%であることからも、2017年シーズンのシュート成功率がいかに低いかが分かります。

攻撃のデータを分析すると、枠内シュートの本数が少ないことが気になります。1試合平均の枠内シュート本数は4.0本でリーグ10位。2016年シーズンが5.5本、2015年シーズンが5.1本であることを考えると、いかにゴールの枠内にシュートが打てていないかが分かります。実は、1試合平均のボール支配率と30mライン侵入回数は、2016年や2015年と比較すると、数字は増えています。

2017年シーズンのボール支配率が53.0%でリーグ5位、30mラインの侵入回数は45.6回でリーグ6位。2016年のボール支配率が52.9%、30mラインの侵入回数は44.4回、2015年のボール支配率が50.0%、30mラインの侵入回数は40.6回というデータだけ比較すると、2017年の方がデータだけは良くなっている事が分かります。しかし、1試合でボールを保持する割合が増え、敵陣深くに侵入する回数が増えても、得点が奪えなければ意味がありません。

守備のデータを分析すると、シュートを打たれた数を攻撃を受けた数で割った「被チャンス構築率」は12.0%でリーグ17位。攻撃を受ける回数は113.1回でリーグ17位なので、ボール支配率の割には攻撃を受ける回数が多く、シュートを打たれる確率も高いと感じると思いますが、2016年が12.3%、2015年が12.3%という事を考えると、あまり変わりません。

問題なのは、失点をシュートを打たれた回数で割った「被シュート成功率」が高い事です。「被シュート成功率」は10.5%でリーグ12位。前節戦ったベガルタ仙台(11.2%)よりはよいデータなのですが、2016年は8.8%、2015年は6.5%と考えると、シュートを打たれると失点する確率が年々高くなっている事が分かります。

データを読み解いた限りでは、サンフレッチェ広島は得点を奪えなくなったことが、守備にも悪い影響を及ぼしているのではないかと思います。2015年はドゥグラス(シュート成功率:18.6%)と佐藤寿人(シュート成功率:25.5%)、2016年はピーター・ウタカ(シュート成功率:16.0%)がいましたが、2017年はシュート成功率が15%を超えているFWとMFの選手がいません。

シュートを打っても決まらないので、さらに確実なシュートチャンスを作ろうとした結果、ミスをして相手の攻撃を受けて失点する。そんな試合をしているのではないかと思いますし、監督が代わっても基本的な戦い方は変わっていないと感じました。

エドゥアルドとハイネルに注目する理由

川崎フロンターレは現在2位ですが、首位鹿島アントラーズとの勝ち点差は5。残り5試合で、鹿島アントラーズより2勝分多く勝利しなければなりません。川崎フロンターレが5試合全て勝利し、鹿島アントラーズが3勝2敗で、初めて逆転できる勝ち点差です。力がある柏レイソル、浦和レッズ、ガンバ大阪といったチームだけでなく、残留争いをしている大宮アルディージャとサンフレッチェ広島というチームとの対戦が残っており、簡単に勝てるような試合は残っていません。

前節はベガルタ仙台の戦い方に対応出来ず、前半に家長が退場しただけでなく失点。0-2から逆転できたのはよかったですが、同じ試合を繰り返すわけにはいきません。

僕がこの試合で注目しているのは、エドゥアルドです。最近の試合ではベンチ外が続いていましたが、今節はエドゥアルド・ネットが出場停止のため、スタメンでの出場が予想されています。

エドゥアルド・ネットに代わって、谷口が中央のMFで起用される事も予想されています。谷口が中央のMFを務める時は、空けてはいけない場所から動いたり、「止めて、蹴る」プレーのテンポが遅かったりするので、注目したいところではありますが、敢えてエドゥアルドに注目するのは、理由があります。それは、ルヴァンカップの決勝が控えているからです。

ルヴァンカップの決勝は奈良が出場停止。舞行龍ジェームズと武岡が怪我で離脱中、井川はベンチにも入れない日々が続き、板倉は試合によって良い日と悪い日があり、決勝で起用するのはちょっと怖い。そう考えると、現実的なのはエドゥアルドの起用です。

ただ、エドゥアルドは試合出場から遠ざかっており、コンディションや試合でどのくらいプレー出来るのかは未知数です。負けられない試合ではありますが、このタイミングでエドゥアルドがどのくらいプレー出来るのか判断しておきたい。そんな鬼木監督の意図も読み取れます。

そして、エドゥアルドと共に注目したいのはハイネルです。相変わらずボールを持ってから次のアクションに移るのが遅く、次のアクションでドリブルを選択する事が多いので、川崎フロンターレの他の選手の「出して、受ける」というプレーのテンポに適応出来ているとは言い難いのですが、最近の試合で途中出場した時は、ハイネルのドリブルでボールを運ぶプレーによって、相手の守備が崩れ、得点が生まれる場面がありました。ベガルタ仙台との3連戦でハイネルが果たした役割は小さくなく、日に日に重要度が増しています。

これまで川崎フロンターレのブラジル人の出場枠は、エドゥアルド・ネットとエウシーニョがスタメンを務め、残り1枠をハイネルとエドゥアルドが争ってきました。エウシーニョはチームに欠かせない存在ですが、エドゥアルド・ネットは前節かなり酷いプレーをして前半で交代させられている事を考えると、ハイネルとエドゥアルドの2人がエドゥアルド・ネットの代わりを務め、今後出場機会を増やしていく可能性は小さくありません。

ブラジル人選手同士の競争が少しずつ熱を帯び、激しさを増しています。活躍し続けなければ、ルヴァンカップの決勝に出ることは出来ません。エドゥアルドはチャンスを活かせるのか。そして、ハイネルは継続して与えられつつあるチャンスを活かせるのか。攻守でゴール前に課題を抱えるサンフレッチェ広島というチームとの対戦を抱えると、2人の活躍は試合に大きく影響するのではないかと思います。楽しみです。

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