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伝わるコピーにはワケがある。書評「「売り言葉」と「買い言葉」―心を動かすコピーの発想」(岡本 欣也)

      2014/03/05

言葉の意図を「伝える」ことと、言葉で相手の心を「動かす」ことは違います。

本書「「売り言葉」と「買い言葉」―心を動かすコピーの発想」は、人の心を動かす広告コピーを数多く手がける著者が、コピーにかぎらず、あらゆる場面でのコミュニケーションに役立つ言葉の発想法を紹介するとともに、長年の経験から導き出した自らのライティング法について記し、人の心を捉えて行動へと結びつける「動かす言葉」の秘密に迫った一冊です。

著者によると、広告の言葉は企業側の目線にたった言葉を「売り言葉」、ユーザーの目線にたった言葉を「買い言葉」に分けられるのだといいます。本書では「売り言葉」「買い言葉」に過去の名作コピーを分類して、紹介しています。

売り手目線の「売り言葉」

  • セブン-イレブン いい気分(セブンイレブン)
  • ベンザエースを買ってください。(武田薬品/仲畑貴志)
  • 日本を休もう(JR東海/生出マサミ、角田誠)
  • そうだ、京都、行こう(JR東海/安西俊夫、佐々木宏、太田恵美)
  • 最高金賞のうまさです。(サントリー「プレミアムモルツ」/小西利行)

買い手目線の「買い言葉」

  • くうねるあそぶ(日産セフィーロ/糸井重里)
  • 恋を何年、休んでますか。(伊勢丹/眞木準)
  • ただ一度のものが、僕は好きだ。(キャノン販売/秋山晶)
  • 恋は遠い花火ではない。(サントリー/小野田隆雄)
  • きれいなおねえさんは、好きですか。(パナソニック/一倉宏)

コピーが伝える日本語の豊かさ

本書には、著者が考える「コピー作法の基本」として、「ど真ん中の価値を探す」「自分にしつこく取材すること」「100案書くこと」といった考えも紹介されていて、とても参考になるのですが、本書に紹介されているコピーを斜め読みで読んでいるだけでも、楽しめます。

過去の名作のコピーから伝わってくるのは、日本語の豊かさです。形容詞が多く、言い回しも豊かな日本語は、つくづく繊細で、多彩で、面白い言語だと感じます。

現代は「売り言葉」の時代

本書を読んでいて、ふと思い出したことがあります。最近Webを見ていると、「○○な理由」「○つのワケ」といった言葉を使ったタイトルをよく見かけます。これは、本書の分類によれば、売り手の立場にたって作られた「売り言葉」です。本書にも、ユニクロの「ユニクロのフリース 1,980円」を例に、現代のコピーは、商品の強みを売り手の立場にたって伝える「売り言葉」の時代だと書かれています。

裏返せば、現代は「売る人」より「買う人」の立場の方が強いといえるのかもしれません。コピーを「売り言葉」と「買い言葉」で分類していくと、その時代の消費者と企業の関係性まで見えてくる気がします。

コピーを通じて、言葉の豊かさと、現代社会の変化の2点を深く理解させてくれる1冊です。

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