HIP HOPへの愛は、女性を愛でるかのように、深く熱い。Shing02+DJ $HIN「1200 WAYS(Single)」

2013/12/06

1200 WAYS

僕は普段HIP HOPはあまり聴きません。特に、日本のHIP HOPシーンにはお世辞にも詳しいとは言えません。そんな僕が聴く数少ないHIP HOPが「Shing02」の作る楽曲です。Shing02は、以前ロッキン・オン・ジャパンに掲載されていたインタビュー記事をきっかけに聴くようになりました。ちなみに、ロッキン・オン・ジャパンをきっかけに聴くようになったHIP HOPに「Tha Blue Herb」がいます。僕はこの2組とKREVAくらいしか、日本のHIP HOPを知りません。

Shing02も最近聴いていなかったのですが、先日出席した友人の結婚式の2次会の客出しの音楽にShing02が使われていて、凄くカッコイイと思ったので、家に帰ってから最近の作品を調べたら、以前購入した「歪曲」以降、いくつもアルバムが発売されていることを知りました。

Shing02の楽曲はWebサイトから無料でダウンロード出来たり、「Soundcloud」というアプリから聴くことが出来ます。特に最近聴いているのが、DJ $HINとのコラボレーションアルバム「1200 WAYS」の中の1曲、「1200 WAYS」です。

HIP HOPを志す人の必須アイテムだった「SL-1200」

「1200 WAYS」という楽曲で歌われているのは、ある機材への愛情です。それは、SL-1200というターンテーブルです。「Technics」というパナソニックが製造していた高級音響機器のブランドのラインナップだった同製品は、ある時代まではDJを目指す人にとっては、必須アイテムでした。

僕は、どうやってCDの音が作られているか知りたくて、サウンド&レコーディングマガジンを読んでいた時期があるのですが、DJの機材を紹介する時、SL-1200をよく見かけました。他にはAKAI MPC2000も印象に残っています。Shign02やDJ $HINも、SL-1200を使って、HIP HOPの素晴らしさを幾度も味わったんじゃないかと思います。

SL-1200は2010年にパナソニックの撤退に伴い、生産を終了してしまいました。近年、ソフトウェアや機材の充実によって、DJもターンテーブルを使うのではなく、CDを使ったり、パソコンを使う人が増えたと聞きます。ターンテーブルもその役割を終えつつあるのかもしれません。

巧妙に使い分けられる「君」という対象

「1200 WAYS」は、Shing02とDJ $HINがSL-1200という機材への想いを通して、自身のHIP HOPへの想いを歌った曲です。トラックには、よく聴くとスクラッチの音やレコードに針を落としたことで生まれるノイズが入っていて、トラックからも機材への想いが感じられます。しかし、ただSL-1200の事を歌うだけに終わらないのが、2人の凄いところです。

この曲の歌詞をよく読んでみると、単に機材のことを歌っているわけではないということが、よくわかります。
例えば、こんな歌詞があります。

i wanted to get to know you inside and out
turned me into somebody that wants to feel you
everyday in my sight, even when i sleep tight

(君の中の隅々まで知りたくなった
君を近くに感じたい人になってしまった
毎日眺めて、ぐっすり眠っている間も)

こんな歌詞もあります。

i was amazed how you were so grounded,
touched your colorful wires, and sounds bled,

(君を裏返しても文句を言わなかった
君は地に足が着いていて
色とりどりのワイヤーを触ると、音が漏れた)

この曲ではSL-1200の事を「君」という二人称で表現しています。しかし、二人称で「君」と表現することで、別の意味合いが生まれているのが、この曲の妙味です。歌詞をよく読むと、「君」とは機材ではなく、特定の女性のことのように思えてくるのです。「君」が女性だとすると、「君の中の隅々まで知りたくなった。君を近くに感じたい人になってしまった」や「君を裏返しても文句を言わなかった。君は地に足が着いていて、色とりどりのワイヤーを触ると、音が漏れた」という表現は、凄く官能的な表現に思えてきます。こうした表現を「ダブルミーニング」といいます。有名なのは、RCサクセションの「雨上がりの夜空に」です。歌に合わせて歌詞を聴くと、ドライブの事を歌っているように聴こえるけど、よく歌詞を読むと、実はセックスの事を歌っているといった具合です。

たぶん、Shing02もDJ $HINも女性を愛するのと同じくらい、HIP HOPを、SL-1200という機材を愛していたのではないのでしょうか。その事が、楽曲からよく伝わってきます。

この曲を聴いて、久々にアルバムが欲しくなりました。近いうちに買って、じっくり聴きたいと思います。

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