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時間は止まらない。資生堂のCMに矢沢永吉の「時間よ止まれ」が36年ぶりに復活。

      2015/06/11

水原希子が出演している、今年の資生堂の企業CM「一生も、一瞬も、美しく」。このCMの音楽には、矢沢永吉さんの「時間よ止まれ」が使われています。

実は、矢沢永吉さんの「時間よ止まれ」が資生堂のCMに使われるのは、初めてではありません。最初に使われたのは、今から36年前の1978年。矢沢永吉さんが日本のアーティストとしては初めて日本武道館でコンサートを始めたのが、1977年。矢沢永吉さんのコンサートをすると会場を壊されるため、コンサートの会場が使用拒否をしている時代でした。

それだけに、資生堂のCMに矢沢永吉さんの曲が使われたのは、当時非常に大きなインパクトがありました。

矢沢永吉起用のきっかけになったダウン・タウン・ブギウギ・バンド

矢沢永吉さんの曲がCMに使われたのには理由があります。資生堂は前年に宇崎竜童さんのダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲を使用したCMをつくりました。

当時ダウン・タウン・ブギウギ・バンドは、ツナギを着て、サングラスにリーゼントという恰好で、化粧品のCMに楽曲が使われるのは、大きなかけでもありました。しかし、CMは大きな反響を呼び、使われた楽曲「サクセス・サクセス」も大ヒットしました。

翌年もダウン・タウン・ブギウギ・バンドに依頼する予定だったのですが、既にダウン・タウン・ブギウギ・バンドはコーセーのCMに楽曲を提供していたため、他のアーティストを検討する必要がありました。

そこで、名前が挙がったのが、矢沢永吉さん。インパクトだけでいえば、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド以上でした。

「時間よ止まれ」と坂本龍一

「時間よ止まれ」というキャッチコピーを考えたのは、コピーライターの小野田隆雄さん。資生堂側が考えたものです。矢沢永吉さんにはコピーとCMの絵コンテが届けられ、それを元にCMの楽曲が作られました。数日後、制作プロデューサーを担当していたONアソシエイツの大森昭男さんに、矢沢自身のメッセージが入ったデモテープが届きました。

「ギター一本で自分でメロディーを歌われていたんです。
作詞は山川啓介さんにしてほしいと指定もされていて、
テープの最初の部分で作詞のイメージを
言葉で話してるんですよ。
絵コンテから想像して、こういうイメージなんだって。
その中にパシフィックという言葉は
もうあったと思いますね。
プロデューサー感覚のある人なんだなって
ちょっと驚いた記憶があります」

(田家秀樹「みんなCM音楽を歌っていた」より)

「時間よ止まれ」のレコーディングが行われたのは、1978年1月7日。メンバーは、エンジニアが吉野金次。ミュージシャンは、坂本龍一(KEY)、後藤次利(B)、高橋幸宏(DR)、斉藤ノブ(PER)、木原敏夫(FG)、相沢行夫(G)。今、考えると凄いメンバーです。

「時間よ止まれ」のレコーディングで大きなポイントなのは、坂本龍一さんが参加している事です。、当時の印象を坂本龍一さんはこのように語っています。

糸井:永ちゃんのバック、坂本くんがやってたって絵としておかしいよね(笑)。
坂本:こうやって(顔をうんと近づけつつ、口に手をあてて)しゃべるんだよ、永ちゃんって。こうやって(笑)。
糸井:ほんと(笑)。
坂本:自分で唾飛ぶこと知ってるからさ(笑)。
── 優しいですね、なんか(笑)。
坂本:優しいんだよ。
糸井:あの人は、優しいんですよ。うん(笑)。
坂本:いい人だよ。熱い人だって言うけど、その通り熱ーい感じの人だよ。

(ほぼ日刊イトイ新聞「矢野顕子について、坂本龍一くんと話そう」より)

坂本:要するに勘だけであそこまでやってる人だから。
自分は別に何‥‥、ま、ベースは弾けますけど、ピアノなら、こういう風に弾いてほしい、っていうことをね、うまく言えないわけ。
だから、すごいじれったいのね。彼自身がね。だから、たくさん色んなこと言うわけ(笑)。
こう近づいてきて。篠山(紀信)さんみたいにどんどん近づいてきて(笑)、
糸井 :笑)。
坂本:僕は、まあ、そうかそうかそうかって思って。
糸井:引き出しをあっちこっち開けるわけだ。
坂本:で、頭の中でさ、こんなこと言ってるからこういうことかなって返す。だから、ほとんど言葉では何にも言えないよね。
コミュニケーションのしかたがわからないから(笑)。音で返すって感じで。
糸井:そんなのを、贅沢な話だけど、もし誰かがカメラ回してたらおもしろかったろうなぁ!
売れる前の人々のやりとりっていうのは、本当に貴重だね。
坂本:うん。それで、何時間もそういうことが行なわれてて、矢沢ってのもおもしろいなと思ったのは、意外とそれでね、繊細っていうかさ、ピンポイントで、
全員をそこまで持ってくわけ。何時間もかかって。1曲を。
糸井:ああ。
坂本:「時間よ止まれ」ってやつ。シングルだったけど。けっこう時間かかってる。
僕もだから、うわーって来られて、こうかなこうかなって、「だけど、ちょっと違うんだよな」ってまた来るんだよね(笑)。
糸井:うーん。
坂本:でね、ちゃんとそこに持ってくの。

(ほぼ日刊イトイ新聞「矢野顕子について、坂本龍一くんと話そう」より)

「時間よ止まれ」はオリコンチャートの1位を獲得。矢沢永吉さんにとって、初めてのチャート1位であり、最大のヒット曲となりました。

「時代を一歩先に行っている人たちとの異種交配」

大森昭男さんは、CM音楽の面白さについてこう語っています。

CM業界って何が新しくて
何が本物かということについては貪よくなんですよ。
時代を一歩先に行っている人たちとの異種交配。
それが出来ている時が一番の妙だと思います

過去のリバイバルもよいのですが、時代を一歩先に行っている人達との異種交配。
これをもっと観てみたいと思うのです。

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