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「スポーツビジネス最強の教科書」に学ぶスポーツビジネス。第3回:欧米のリーグ構造と特徴

   

スポーツビジネス最強の教科書

ビジネスの世界でここ数年右肩上がりで成長している業界があります。それは、スポーツビジネスです。スポーツビジネス市場は2014年には1460億ドルを超えると推計されるなど、メディア、スポンサー企業、広告マーケティング、スタジアム、スポーツ用品などの産業を巻き込みながら、巨大なビジネスへと成長しています。

スポーツビジネスの現状を踏まえて、改めてスポーツビジネスについて勉強してみようと考え、手にとったのが平田竹男さんの著書「スポーツビジネス最強の教科書」です。

平田さんは通産省を経て、日本サッカー協会の専務理事を務めたかたで、現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授を務めてらっしゃいます。平田さんが教えた生徒には、あの桑田真澄さんがいらっしゃいます。

平田さんの著書「サッカーという名の戦争-日本代表、外交交渉の裏舞台-」が面白かったので、「スポーツビジネス最強の教科書」も楽しみにしていたのですが、非常に読み応えがある本なので、自分が興味をいだいた箇所はメモとしてブログに残しておこうと思います。

今回は欧米のリーグ構造と特徴について、書かれた箇所の読書メモをご紹介します。
※データは2012年10月の出版当時のものです。

昇降格システムの有無

  • アメリカ型のリーグには昇降格システムがない。このようなリーグを「クローズドリーグ」と呼ぶ
  • 下位リーグに降格するリスクが無いため、チームの経営者はスポンサーを募ることが容易になり、企業の投資を促進することにつながる
  • ヨーロッパ型リーグの特徴は昇降格システムがあること。昇降格があり、チームの入れ替えがあるリーグを「オープンリーグ」と呼ぶ
  • 昇降格システムには優勝争いに加わるチームのみならず、リーグに所属するほとんどのチームがシーズン最終戦まで全力で戦うインセンティブがある

チャンピオンの決定

  • アメリカ型リーグは国内を2つにわけてレギュラーシーズンを戦う。そして、レギュラーシーズン終了後のプレーオフシーズンでそれぞれのリーグチャンピオンを決め、両リーグのチャンピオンを戦い、国内チャンピオンを決める
  • ヨーロッパ型リーグでは、国内チャンピオンをリーグ戦の中で決定し、リーグ戦を1位で終えたチームが優勝
  • 2009〜2010シーズンのチャンピオンズリーグで優勝したインテルの獲得賞金総額は約4876万ユーロ
  • グループリーグを最も悪い成績最下位で敗退したクラブでも約710万ユーロを獲得している
  • 2004シーズンのチャンピオンズリーグでは、ポルトが優勝したが、ベスト16のマンチェスター・ユナイテッドの方が多く賞金を獲得していた
  • チャンピオンズリーグの賞金は、賞金額が大きいことに加え、独特な配分方式があるため、各クラブの自国のTVマーケットの市場規模などに応じて収益金が振り分けられている
  • ヨーロッパ型は、勝つことで収入が増大していくインセンティブという利点がある一方で、降格の可能性があり、チームのスポンサーに不安を与えている
  • アメリカ型は、戦力格差を縮小し、どのチームにも優勝する可能性を持たせる一方で、降格がないため下位チームが危機感を持たない

収益の分配システム

  • NFLではレベニューシェアリングと呼ばれる収益の分配制度によって、徹底して各チームの戦力を均衡させる意図があり、TV放映権料、入場料収入、グッズ収入、スポンサー収入の4つの収入をリーグ全体で管理し、分配金として32チームに均等に配分。
  • 各チームの分配金の割合は70%であり、リーグによる管理が強く、特定のチームが突出して収益を確保することを抑制している
  • ヨーロッパのリーグの場合は、分配金制度は存在するが、リーグによる管理がアメリカ型に比べると弱い
  • プレミアリーグの場合、分配金が最大のクラブでも収入に占める分配金の割合は20%程度

経営組織の形態

  • アメリカ型リーグには、シングルエンティティ(単一事業体)という経営手法がある。NFLとMLSが採用している。
  • シングルエンティティとは、1つの会社に人事部や経理部があるのと同様に、リーグ機構とチームを実質的に1つの会社とし、そしてリーグに所属するチームを各部署とみなす運営方法。そのため、社員が部署ではなく会社と契約するのと同じように、選手はチームではなくリーグ機構と契約する
  • 日本においては、bjリーグや大相撲が実質的にシングルエンティティを形成している
  • ドラフト制のように書く球団が統一して選手を獲得することを法的に認められたMLB以外のNFLなどが、法的な工夫として1つの会社組織を構成して運営するという意味合いがある
  • 近年、NFLでは、リーボックとの契約が独禁法(反トラスト法)違反であるという訴訟が起こるなど、シングルエンティティ制度にもゆらぎが見える
  • アメリカのスポーツリーグを考える上で、オーナーの存在は欠かせない。莫大な資金力だけではなく、企業を経営してきたビジネスノウハウをスポーツチームの経営に活かしている
  • ニューヨーク・ジェッツのオーナーのロバート・ウッド・ジョンソンはジョンソン・エンド・ジョンソンの創業一族
  • ダラス・カウボーイズのジェリー・ジョーンズは1970年代にエネルギー会社を立ち上げ、食品加工会社や放牧場も経営している
  • タンパベイ・バッカニアーズのマルコム・グレーザーはショッピングモールの経営など不動産への投資事業で財をなし、プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドのオーナーも務めている
  • ヨーロッパ型リーグでは、リーグ機構とクラブは対等、もしくは独立した関係にある
  • クラブは、FCバルセロナやレアル・マドリーが採用している非営利団体形態(総合型地域スポーツクラブ)と、一般的な株式会社形態との2種類に大きく分けることが出来る
  • 非営利団体形態(総合型地域スポーツクラブ)はヨーロッパ型リーグでしかみられない。クラブはサッカーチームのほかにもバスケットボールといった他競技のプロ・アマチームを幾つか擁していることがあるが、サッカーチームの一部門でしかない
  • 一般的にはそのクラブのオーナーが会長などの役職名で経営トップを務めていることが多く、このような経営形態のクラブでは経営トップを自身のソシオ(会員)による定期的な会長選挙によって選出している
  • 非営利団体形態のクラブは、年1回総会などを開催して、定期的に年度会計を自身のソシオに報告する義務がある
  • 株式会社の形態で経営されているクラブでは、株式を非上場にしている場合が多いが、一般の株式市場に上場しているクラブもある
  • バイエルン・ミュンヘンのように、OB選手が経営者となるクラブもある。OB選手が経営者となる事例から学ぶことは、選手が現役を引退しても、クラブの経営に関わることができるということ

人件費抑制と戦力均衡

  • アメリカ型リーグの場合、各チームの年俸のアンバランスによる戦力の偏りを防止し、戦力の均衡を図ることが目的
  • ヨーロッパ型の場合は、選手の獲得が自由競争であるがゆえに起こる人件費高騰をを抑え、経営破綻を防止することが目的
  • アメリカでは選手年俸に上限を設ける「サラリーキャップ」制度によって人件費の高騰を抑制している
  • アメリカ型は、選手年俸に上限を設ける「サラリーキャップ」制度によって人件費の高騰を抑制している
  • サラリーキャップとは、選手年俸(サラリー)に上限(キャップ)を設けるもので、チームの選手年俸に一定の上限を設けることで人件費の高騰を防ぎ、選手獲得競争における格差を是正して戦力均衡を保つ制度
  • NFLでは実際のサラリーキャップ額はシーズン終了後、選手会とリーグとで共同で決定。リーグ収入(プレシーズン、レビュラーシーズン、ポストシーズンの入場料、レギュラーシーズンとポストシーズンのTVの放映権料とラジオの放送権料からの収入)
  • MLBでは「ラグジュアリータックス(ぜいたく税)」という制度が施行されている
  • ラグジュアリータックスはMLBと選手会との間で決められた労使協定にもとづき、戦力均衡と選手年俸抑制のために設けられた制度。チームに所属する40人の総年俸が一定額を超えた球団に課徴金を課す
  • 課徴金のほとんどをヤンキースが払っている。約1800万〜3400万ドルの課徴金を支払っているヤンキースに対し、その他3球団の課徴金額は100万〜600万ドル程度
  • NBAはサラリーキャップ制度を崩さない一方で、ラグジュアリータックスも導入している
  • MLBと違い、NBAに加盟する30チームのうち、1/3以上のチームが課徴金を課されている
  • NBAに上限を超過し、課徴金を支払うチームが多いのは、チームの保有できる選手数が15名しかおらず、他のスポーツと比べてチームに与える影響が大きい。
  • 例外もある。ラリーバード条項とよばれ、3年間同じチームに所属している選手は、上限額に制限されずに契約することを認めている
  • MLSは「ベッカム・ルール」と呼ばれる特別姿勢選手制度があり、オーナーが年俸を自由に設定する選手を3人まで獲得出来る
  • ヨーロッパのサッカー界では、欧州連合(EU)圏内の選手の移籍の自由を認めた1995年のボスマン判決後、選手の移籍金が高騰し、トッププレーヤーを獲得するためには巨額の資金が必要となった
  • 収入に対する人件費の比率が70%を超えていたクラブも多数ある
  • UEFAは各クラブに支出を収入以内に抑えることを求める「フィナンシャル・フェアプレー」を導入し、クラブ経営の健全化に「クラブファイナンシャル・コントロールパネル」を設けた
  • ルールに適合できないクラブは、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場できないなどの厳しい規定が設けられている
  • UEFAは妥協案として、2014年までに最大4500万ユーロまでの損失を計上でき、2014年から2017年にかけては3000万ユーロまでの損失を認めることになっている
  • マンチェスター・シティは選手の補強に約1億1000万ユーロを費やし、2010年に約1億4000万ユーロの赤字を計上した

アマチュア選手との契約システム

  • アメリカはプロチームは若手選手の育成を自らが行わず、大学を卒業する選手を中心にドラフト制によって獲得している
  • ヨーロッパでは、地域活動の中心としてクラブが存在し、幼少からトッププロ選手に至るまで、クラブ自らが育成する
  • MLB、NFL、NBAはウェーバー制ドラフトを導入している。プロを志望する高卒・大卒新人選手を獲得する際に、前年度のリーグ成績が悪いチームから優先的に選手を獲得できるという仕組み
  • アメリカでは、大学スポーツ自体にプロ顔負けの収入があり、大学スポーツも大きなビジネスとして成り立っている
  • アメリカンフットボールの各カンファレンスの平均収入を比較すると、トップのSECは約5000万ドルの収入を上げ、Big Tenが約4000万ドル、Big 12が約3500万ドルとなっている
  • テキサス・ロングホーンズの収入は9600万ドル
  • 大学スポーツの放映権料は高騰しており、NCAAとCBS、タイム・ワーナーの両TVネットワークとの間では、男子バスケットボールの全米選手権の放映権契約が2011年から2024年までの14年総額で108億ドルとなっている

フランチャイズ

  • フランチャイズとは、スポーツチームが本拠地とする地域に独占的に営業権を持てる制度のこと。特にMLBの各球団には、フランチャイズ制度による「地域独占営業権」が与えられる
  • ヨーロッパのサッカークラブの本拠地は「ホームタウン」と言い、MLBのフランチャイズのように地域独占営業権を定めているわけではない

諸外国のサッカーリーグ

  • アルゼンチンのリーグでは、降格するチームの選定条件として。過去3シーズン分の成績の平均を見る。これは突然の降格を防ぐためのリーグシステムであり、このシステムを導入することで、クラブに対してスポンサードしやすくなる
  • ブラジルのリーグは、1週間にほぼ2試合、年間60〜70試合をこなす
  • メキシコのリーグでは、ユース育成を重視しており、若い選手の出場機会を規定している。1部リーグでは、22歳以下の選手の出場時間を年間で最低1000分確保しなければならず、2部リーグでは、23歳以上の選手を5人以上出場させることができない
  • ロシアのプレミアリーグは発足当初の予算1億2000万円から10年間で48億円にまで上昇している
  • ロシアでは外国人選手の出場がピッチ上の11人のうち6人までに制限されているが、外国人選手の獲得は自由

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