「スポーツビジネス最強の教科書」に学ぶスポーツビジネス。第4回:欧米のプロスポーツグラブ

スポーツビジネス最強の教科書

ビジネスの世界でここ数年右肩上がりで成長している業界があります。それは、スポーツビジネスです。スポーツビジネス市場は2014年には1460億ドルを超えると推計されるなど、メディア、スポンサー企業、広告マーケティング、スタジアム、スポーツ用品などの産業を巻き込みながら、巨大なビジネスへと成長しています。

スポーツビジネスの現状を踏まえて、改めてスポーツビジネスについて勉強してみようと考え、手にとったのが平田竹男さんの著書「スポーツビジネス最強の教科書」です。

平田さんは通産省を経て、日本サッカー協会の専務理事を務めたかたで、現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授を務めてらっしゃいます。平田さんが教えた生徒には、あの桑田真澄さんがいらっしゃいます。

平田さんの著書「サッカーという名の戦争-日本代表、外交交渉の裏舞台-」が面白かったので、「スポーツビジネス最強の教科書」も楽しみにしていたのですが、非常に読み応えがある本なので、自分が興味をいだいた箇所はメモとしてブログに残しておこうと思います。

今回は欧米のプロスポーツグラブについて、書かれた箇所の読書メモをご紹介します。
※データは2012年10月の出版当時のものです。

NFL:ニューイングランド・ペイトリオッツ、グリーンベイ・パッカーズ

  • ペイトリオッツのジレットスタジアムは6万8000人収容で、87の豪華なスイートを備えている
  • ペイトリオッツが優勝した2001年から10年間の人件費を見ると、2001年の6600万ドルから2010年1億7000万ドルへと高騰している。
  • ただし、収入も2001年の1億3600万ドルから3億3300万ドルへと増加しているため、人件費比率を50%程度に抑えることができている
  • パッカーズは一般市民が保有する株式会社(パブリック・オーナーシップ)であることで、アメリカ4大スポーツで唯一パブリック・オーナーシップを実現している球団
  • かつて3回倒産の危機に瀕したパッカーズを、市民が株を買って支えてきた
  • パッカーズの株は、一般企業の株と違い、配当金もなければシーズンチケットの優先購入権もない
  • 1923年に資金難に陥り、創設者兼ヘッドコーチ兼選手だったカーリー・ランボーと4人の地元ビジネスマン(ハングリー・ファイブ)が株式会社グリーンベイ・フットボールを設立し、1株5ドルの株を1000株販売したことが始まり
  • パッカーズは数回の株式公募を行っているが、株主数は11万を超える。グリーンベイ市の人口が約10万人であることを考えると、驚くべき数字
  • 2011年の株式公募の際には、株式発売後2日間で18万5000株以上を販売し、4630万ドルを調達
  • パッカーズはいざというときにも球団が存続して競争力を保てるように”Packers Franchise Preservation Fund”(パッカーズ存続維持基金)という基金を設け、将来の危機に備えている
  • スタッフは球団社長以下全員無給ながら、企業価値は上がっており、2009年度の収入は2億48000万ドル、利益も2001万ドルを計上
  • グリーンベイ市は、大都市のようにスタジアムの命名権に多額な契約金を払ってくれる企業も、契約を結ぶ地元の大企業スポンサーもない

MLB:ニューヨーク・ヤンキース

  • ヤンキースはNBAのニュージャージー・ネッツとともに持株会社「ヤンキース・エンターテイメント・スポーツネットワーク(YES)」を設立。YESではヤンキースやニュージャージー・ネッツの試合を放映
  • ヤンキースは株式の34%を保有しており、ニューヨークの膨大な世帯人口によって、約8800万ドルの受信収入を得ていると言われている。さらにニューヨーク市外の200万世帯以上からの受信収入、試合中の広告販売も見込まれる
  • ヤンキースは2009年に新スタジアムをオープン。15億の資金が投入されたと言われている
  • 座席数を減少させ、「供給(客席総数)を減らし、相対的需要を上げることで単価を上げる」狙いがある
  • スイートボックスやクラブシートなどの高価格座席を大幅に増加。スイートボックスは19室から56席、クラブシートは15席から410席に増加
  • こうした座席は高価なだけでなく、長期継続購入が原則であり、安定した入場料収入の確保が可能
  • ヤンキースのスタジアムでは、スイートボックスについては最低5年継続が購入の条件

NBA:ロサンゼルス・レイカーズ

  • 2009〜2010シーズンのレイカーズが選手に支払う給料は9100万ドル
  • 2009〜2010シーズンにおけるレイカーズの総収入は2億1400万ドル
  • レイカーズのチケットはNBAチームの中で最も高額な113ドルとなっており、全チーム平均の2倍以上、最も低下なグリズリーズの4倍以上の価格。入場料収入も全チーム平均の約2.5倍の9600万ドルでリーグ最高
  • レイカーズの人件費比率は43%

MLS:ロサンゼルス・ギャラクシー

  • 2007年シーズンの収入は3600万ドル。2位のトロントFC(1700万ドル)に2倍以上の差をつけている。続いてシカゴ・ファイアーの1600万ドル、FCダラスの1500万ドル、ニューヨーク・レッドブルズの1000万ドルとなっている
  • MLSの選手平均年俸は、その他アメリカスポーツと比べて、著しく低い10〜15万ドル

ヨーロッパのサッカークラブの収入規模

  • 最も収入の大きなクラブは、レアル・マドリーの4億3900万ユーロ、次いでFCバルセロナが3億9800万ユーロ、3意がマンチェスター・ユナイテッドで3億5000万ユーロ、4位がバイエルン・ミュンヘンの3億2300万ユーロ、イタリアセリエAでは、7位にACミランが2億3600万ユーロ、8位にインテルが2億2500万ユーロ
  • UEFAチャンピオンズリーグでは、2009〜2010シーズンの場合、放映権収入の1億8260万ユーロ、商業収入の1200万ユーロを出場クラブに分配している
  • 2009〜2010シーズンに、インテルはUEFAから4860万ユーロを受け取った。その内訳は、グループリーグ以降の成績にもとづく賞金が2900万ユーロ、TV放映権料の分配金が1960万ユーロとなっている
  • 準優勝のバイエルンは、賞金2500万ユーロとTV放映権料の分配金1900万ユーロの計4486万2000ユーロを獲得
  • グループリーグ出場32クラブに分配された約7億4600万ユーロの賞金は、4億860万ユーロの商業収入と3億3780万ユーロのマーケットプールがもとになっている。全32クラブが最低710万ユーロを受け取った
  • グループリーグ出場各チームは出場賞金380万ユーロのほか、1試合ごとに55万ユーロで、6試合行われるので計330万ユーロのボーナスを受け取る。加えて、成績に応じたボーナスが設定され、1勝するごとに80万ユーロ、引分けの場合は40万ユーロ

レアル・マドリー

  • 2011年の入場料収入が1億2900万ユーロ、放映権収入が1億5800万ユーロ、商業収入が1億5000万ユーロと、30%、36%、34%とほぼ均等に分かれている
  • レアル・マドリーはMediaproから1億5870万ユーロの放映権収入を得ている(リーガエスパニューラは2010〜2011シーズンにリーグの一括管理からの分配に移行)
  • スポンサー収入としては、ユニホームのメインスポンサーである「bwin」とシーズン当たり1500万ユーロから2000万ユーロの契約がなされている
  • 収入規模も2006年では2億9200万ユーロだったが、2010年では約1.5倍の4億3900万ユーロに拡大

マンチェスター・ユナイテッド

  • 入場料収入が35%、放映権収入が37%、商業収入が28%の構成
  • 営業収入は2006年には2億4300万ユーロから2010年には3億5000万ユーロに拡大

チェルシー

  • 2010シーズンの人件費は、約1億7000万ポンドでプレミアリーグの中では最も高くなっており、人件費比率は80%を超えている。
  • プレミアリーグのクラブ平均人件費比率は67%

バイエルン・ミュンヘン

  • 2006年の2億500万ユーロから2010年には3億2300万ユーロまで収入を1.6倍まで拡大している
  • 収入構造を見ると、商業収入が53%、放映権収入が26%、入場料収入が21%

ACミラン

  • 入場料収入が12%、放映権収入が60%、商業収入が27%
  • 2006年の2億2000万ユーロから2010年には2億2600万ユーロまで収入を伸ばしているものの、他の4つのクラブのなかでは成長率が1番低い

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