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「スポーツビジネス最強の教科書」に学ぶスポーツビジネス。第6回:Jリーグの収入と支出

   

スポーツビジネス最強の教科書

ビジネスの世界でここ数年右肩上がりで成長している業界があります。それは、スポーツビジネスです。スポーツビジネス市場は2014年には1460億ドルを超えると推計されるなど、メディア、スポンサー企業、広告マーケティング、スタジアム、スポーツ用品などの産業を巻き込みながら、巨大なビジネスへと成長しています。

スポーツビジネスの現状を踏まえて、改めてスポーツビジネスについて勉強してみようと考え、手にとったのが平田竹男さんの著書「スポーツビジネス最強の教科書」です。

平田さんは通産省を経て、日本サッカー協会の専務理事を務めたかたで、現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授を務めてらっしゃいます。平田さんが教えた生徒には、あの桑田真澄さんがいらっしゃいます。

平田さんの著書「サッカーという名の戦争-日本代表、外交交渉の裏舞台-」が面白かったので、「スポーツビジネス最強の教科書」も楽しみにしていたのですが、非常に読み応えがある本なので、自分が興味をいだいた箇所はメモとしてブログに残しておこうと思います。

今回はJリーグの収入と支出について、書かれた箇所の読書メモをご紹介します。

リーグの理念とJリーグ百年構想

  • Jリーグは以下の3つの理念を提唱している
  • 日本サッカーの水準向上及びサッカーの普及促進
  • 豊かなスポーツ文化の進行及び国民の心身の健全な発達への寄与
  • 国際社会における交流及び親善への貢献
  • Jリーグ百年構想では、「緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設を作る」「サッカーを書くにさまざまなスポーツクラブを多角的に運営し、アスリートから生涯学習にいたるまであなたが今やりたいスポーツを楽しめる環境作りを目指す」「スポーツを通してさまざまな世代の人達が触れ合える場を提供する」ことを目的としている

リーグ構造の変化

  • Jリーグの歴史において、2回のリーグ構造の変化があった。1回めは1999年の昇降格システムの導入、2回目は、2005年の2ステージ制から1ステージ制への移行
  • Jリーグが開幕した1993年、翌1994年は1万8000人から2万人近くの動員を記録している
  • その後は観客動員数が減少し、1997年には1万人程度にまで減少
  • 昇降格システムが導入された1999年以降のJ1の観客動員数は、増加傾向にあり、2001年には約1万6000人まで動員数を回復している(個人的には1998年のワールドカップ初出場と、2002年の日韓ワールドカップの開催というファクトを加味して検証する必要があると思われる)
  • 2001年から比べると2011年には11〜18歳、19〜22歳の若年層の割合が減少し、40〜49歳、50歳以上の年齢層が増加している

リーグの収入規模と観客動員数

  • 2010年におけるJリーグの収入規模は、J1・J2クラブ総額で約720億円。プレミアリーグの約2500億円とは3倍位上の開きがある。ブンデスリーガ、リーガ・エスパニューラ、セリエAは約1600億円の規模なので、2倍位上の差がある
  • 2010年のJ1平均観客動員数は約1万8000人、ブンデスリーガは4万人を超えており、Jリーグの平均観客動員数とは2万5000人もの差がある。プレミアリーグとは1万6000人、リーガ・エスパニューラ、セリエAとは7000人ほどの差がある

J1クラブの収入

  • J1クラブの平均収入規模を見ると、1999年の約23億円から増加傾向となり、2001年には25億円を超え、2005年には30億円を突破した。ピーク時の2008年には、約33億円となったが、その後は減少。2010年には約30億円となっている
  • J1クラブの収入構造は、広告料収入の割合が最も大きく45%で約13億5000万円、次いで入場料収入が22%で約6億8000万円となっている。残りは、Jリーグ配分金が10%で2億9000万円、その他の収入が23%で約7億円

Jリーグ配分金

  • 1993年ではJリーグ配分金が6億円、翌1994年では6億8000万円でしたが、Jリーグの人気が低迷してくると、大きく落ち込んでいる
  • 1999年にJ2が創設されてからは、Jリーグ配分金が増加傾向にあり、日韓ワールドカップが開催された2002年には3億円を超えた
  • ところが、2003年をピークにして、Jリーグ配分金は減少傾向。2010年は約3億円。これは、J2クラブが増加し、1クラブ当たりが手にする配分金が減少したため

J2の収入

  • 1999年創設時のJ2の収入規模は約66億円でしたが、翌年には約89億円となり、その後増加を続け、2010年の175億円にまで増加。
  • J2の各クラブの平均収入規模は、2001年にわずかに減少しますが、2002年には約8億5000万円、2003年には約9億8000万円、2004年は約10億7000万円と増加を続け、2005年には8億円台にまで落ち込むが、翌2006年には約11億4000万円、2007年には約11億6000万円となっている
  • 2007年以降は収入規模が減少し、2010年には約9億3000万円の収入規模となっている

J2の選手年俸

  • 2010年のJ2クラブで最も人件費の支出が多いのは、柏レイソルで約15億円、次いで、ジェフ千葉で約13億5000万円。柏レイソルの人件費はJ1平均よりも高く、J2クラブでJ1平均を上回ったのは柏レイソルだけ。
  • 多くのクラブの人件費は5億円から1億5000万円程度。J2平均人件費は約4億3000万円
  • J1の平均年俸は約2000万円だが、J2の平均年俸は約600万円
  • FC岐阜の平均年俸は約300万円と言われている

J2の試合方式

  • J2は一貫して1年1ステージ制で優勝を争う方式
  • 1999年から2007年までは4回戦、2008年2009年は3回戦、2010年からは2回戦総当り制の試合方式になっている

Jクラブの収入規模

  • Jリーグクラブの中で最も収入が大きいのは、2010年の時点では浦和レッズの約56億円。J2平均以上、J1平均未満の収入規模のクラブの中には、Jリーグ開幕当時のメンバーである、サンフレッチェ広島や、ジェフ千葉も分類されている。2クラブともJ2降格経験がある

Jクラブの収入構造

  • 入場料収入の割合が最も大きなクラブは浦和レッズで、約56億円(2010年当時)の収入に対し、入場料収入が約22億円で、入場料収入の割合が40%
  • 収入がJ1平均以上のクラブの内、川崎フロンターレ、ガンバ大阪、大宮アルディージャ、ジュビロ磐田は、広告料収入の割合が50%を超えている
  • 収入がJ1平均以上のクラブの内、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、ガンバ大阪、大宮アルディージャ、ジュビロ磐田は入場料収入の割合が10%台になっている
  • J1平均未満の収入規模のクラブでは、アルビレックス新潟、ベガルタ仙台、大分トリニータの入場料収入の割合が大きく、30%台となっている
  • J1平均未満の収入規模のクラブでは、柏レイソル、セレッソ大阪、京都サンガ、ジェフ千葉、横浜FCは、広告料収入の割合が50%を超えており、柏レイソル、セレッソ大阪、京都サンガ、横浜FCは、入場料収入の割合が10%台となっている
  • 収入がJ2平均未満のクラブは、総収入に占めるJリーグ配分金の割合が高い。特に、ザスパ草津、ギラヴァンツ北九州、愛媛FC、水戸ホーリーホックは、Jリーグ配分金の割合が20%台

親企業型と地域型

  • 親企業型で最も収入が大きいのは浦和レッズで約56億円。次いで、住友金属サッカー部を設立母体とする鹿島アントラーズが約44億7000万円、トヨタ自動車を設立母体とする名古屋グランパスが約41億円
  • J2に参入しているクラブでも、徳島ヴォルティスは大塚製薬、ロアッソ熊本はNTT熊本サッカー部、カターレ富山は北陸電力サッカー部とYKK APサッカー部の統合、ギラヴァンツ北九州は三菱化成黒崎サッカー部といった具合に親企業を母体としているクラブがある
  • 清水エスパルスはJリーグ設立当初は資本金の1割が市民持ち株の運営会社で運営されていたが、1998年に経営破綻。鈴与を始めとした地元企業の出資による現在の運営会社(株)エスパルスがチームを継承
  • 京都サンガは1922年設立の京都紫光クラブを前身とする。1993年に将来のJリーグ参戦を目指すために分裂し、京セラ(株)を中心とした運営会社(株)京都パープルサンガにより運営されている
  • 東京ヴェルディは1991年にJリーグ開幕に備えて、読売新聞社、よみうりランド、日本テレビ放送網の読売グループ3社の出資による運営会社として設立。ところが1998年に読売新聞社とよみうりランドが経営から撤退し、読売グループはプロサッカークラブの運営から手を引いた
  • 地域型で最も収入が大きいクラブは、アルビレックス新潟で約22億円、次いで、大分トリニータで11億円、ヴァンフォーレ甲府が約10億6000万円

Jクラブの人件費

  • 選手や指導者といった才能への人件費支出を増加させることは、チームの勝率を上げるために十分なだけでなく必要な条件
  • 収入に対する人件費比率が60%を超えると経営的に危険
  • J1クラブの平均人件費を見ると、2001年では約12億円、2008年には約16億円、2010年は約10億円
  • J2クラブの平均人件費は、2001年では約4億円、2006年に6億円、2010年には約4億円
  • J1では人件費比率は45%から50%程度で推移している。J2も2006年に人件費比率が58%となったが、それ以外のシーズンは、45%から50%を推移している
  • J1では平均約6億8000万円の入場料収入に対して、約14億円の人件費となっており、入場料収入の2倍ほどの人件費をかけていることがわかる
  • 一方J2では、約1億7000万円の入場料収入に対し、約4億円の人件費となっている

Jリーグの選手寿命と監督在任年数

  • Jリーグにおいて、24歳で引退する選手がもっとも多く、次いで21歳、20歳となっている。ちなみに、野球の場合、一軍選手の平均選手寿命は約9年
  • 監督在任年数は1年未満の監督がもっとも多く、次いで1年から2年の監督が多い。つまり、Jリーグの監督の在任年数は1年前後
  • Jリーグは、2002年にキャリアサポートセンターを設置し、OB交流会や、ビジネスマナー・英会話などのスキル獲得のための金銭的補助、シーズンオフ期間中のインターンシップのコーディネートなどを行っている。こうしたJリーグの試みは、NPGやJOCにも活かされている

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