「スポーツビジネス最強の教科書」に学ぶスポーツビジネス。第15回:スタジアム

スポーツビジネス最強の教科書

ビジネスの世界でここ数年右肩上がりで成長している業界があります。それは、スポーツビジネスです。スポーツビジネス市場は2014年には1460億ドルを超えると推計されるなど、メディア、スポンサー企業、広告マーケティング、スタジアム、スポーツ用品などの産業を巻き込みながら、巨大なビジネスへと成長しています。

スポーツビジネスの現状を踏まえて、改めてスポーツビジネスについて勉強してみようと考え、手にとったのが平田竹男さんの著書「スポーツビジネス最強の教科書」です。

平田さんは通産省を経て、日本サッカー協会の専務理事を務めたかたで、現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授を務めてらっしゃいます。平田さんが教えた生徒には、あの桑田真澄さんがいらっしゃいます。

平田さんの著書「サッカーという名の戦争-日本代表、外交交渉の裏舞台-」が面白かったので、「スポーツビジネス最強の教科書」も楽しみにしていたのですが、非常に読み応えがある本なので、自分が興味をいだいた箇所はメモとしてブログに残しておこうと思います。

今回はスタジアムについて、書かれた箇所の読書メモをご紹介します。
※データは2012年10月の出版当時のものです。

ヨーロッパサッカーのスタジアム

  • ヨーロッパの多くのスタジアムはクラブが所有している
  • スタジアムを市が所有している例として、マンチェスター・シティの「シティーオブマンチェスター」、インテルやACミランのホームスタジアムであるサンシーロが挙げられる
  • ウェンブリースタジアムはイングランドサッカー協会が所有し、協会の子会社がスタジアムを管理している
  • ボルトン・ワンダラーズのスタジアム「リーボック・スタジアム」はクラブが所有し、クラブが管理している
  • リーボック・スタジアムでは、スタジアムの一部を利用してホテルを営業しており、スタジアム収入の約2割をホテル事業が占めている
  • ホテル事業を行うことで、試合の開催日以外にも、大規模な研修会やカンファレンスを開き、宿泊施設とセットで販売できる
  • リーボック・スタジアムでは、一部の客室がピッチに面しており、こうした部屋が試合日にはビジネスボックスとして販売されている。30〜50人程度を収容するラウンジもあり、招待客を着席のコース料理でもてなし、ハーフタイムや試合終了後にも、デザートやドリンクのサービスがある
  • スタジアムを市が所有し、第三セクターが管理しているのが、リコー・アリーナ。リコーアリーナはコヴェントリー・シティFCが2005年からホームスタジアムとして使用している
  • リコーアリーナを建設する際には、市が49億9000万円で購入した土地を、134億4000万円で民間に転売することで、建設資金を調達した。
  • スタジアムは公民折半出資で設立された管理会社によって運営され、はじめはクラブが出資していたが、現在は地元の基金が買い取っている

MLBのスタジアム

  • MLBのスタジアムの場合、球団に各種営業権が与えられている
  • MLBのスタジアムは、行政によって巨額の公的資金を導入して建設される。
  • 多くはスタジアム運営会社が行政の出資によって公社として設立されている。さらに、スタジアム運営会社がスタジアム周辺のコンベンションセンターの運営やスタジアム周辺に付随する駐車場などの他の関連事業の運営なども行っている
  • 行政がインフラ事業の運営権を与えることで、スタジアム運営会社は、多様な収入を得られる事業モデルを構築しており、スタジアム事業は他事業の中の一事業になっている
  • スタジアム建設費用の財源は、消費税の増税、ホテル税の導入、ボールパークフィーの導入など、さまざまな税金から回収されている
  • このような税の導入は住民投票によって決定され、スタジアム建設に至った例もあれば、建設に至らなかった例もある

プロ野球のスタジアム

  • 横浜スタジアムは第三セクターである(株)横浜スタジアムによって管理・運営されている。
  • 球団は球場使用料として毎年約8億円を支払い、「入場料収入」の25%、スタジアムにおける「物販収入(飲食・グッズを含む)」「看板広告収入」は横浜スタジアムの収入になる。したがって、スタジアム会社が優良企業にもかかわらず、球団が赤字に苦しむことになった
  • 福岡ソフトバンクホークスは年間48億円を支払っている
  • 東北楽天ゴールデンイーグルスは、スタジアムの管理・運営権を得て、スタジアムの収入が球団に入る仕組みづくりに成功した
  • 球団設立の際に、約90億円を投資し、県営宮城球場の球場改修を行い、宮城県に寄付したことで、スタジアムの管理・運営権を取得した。その結果、球場使用料を年間約5000万円に抑えることができている
  • 楽天は球団自らがスタジアムのデザインを手がけ、大型ラウンジや完全個室のボックス席など、顧客のニーズに応えるために付加価値の高い施設を提供している
  • フィールドの正面にプレステージゾーンがあり、中でもプレステージプラチナは、屋根がついているので雨に濡れず、バーラウンジがあり自由に飲食を楽しむことが出来る
  • 福岡ソフトバンクホークスは、ホークスタウンを管理しているアメリカの不動産投資会社であるコロニー・キャピタルから、チケットやグッズ販売などの鉱業権を150億円で買収する契約を結ぶとともに、30年間の福岡ドームの使用契約を結んだ。その後、ソフトバンクはこのスタジアムを870億円で取得した
  • 西武ライオンズは、グループ再編の際、球場のハード面は子会社である西武レクリエーションが担い、ソフト面である物販の販売や広告看板の営業などは球団が持つ

指定管理者制度

  • 指定管理者制度とは「各地方公共団体はチームを指定管理者に選定することでスタジアムの運営・管理権をチームに委任する事ができる制度」
  • この制度に選定されているのは、プロ野球では、千葉ロッテマリーンズ、広島東洋カープ。Jリーグでは、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノス、アルビレックス新潟
  • 千葉ロッテマリーンズは2006年に千葉市より指定管理者に選定された結果、球場使用料を減免され、入場料、自分たちの企画した事業の収入、飲食・物販の収入を自分たちの収入にできるようになった。また、球場場外での屋台・露店の営業、さまざまな企画シートなど場内で多様なサービスが提供可能になった
  • しかし、飲食・物販に関しては使用料の他に市に所定の使用料を支払わなければならず、企画においても市との兼ね合いが必要

収容人数と稼働率

  • 稼働率は収容人数に対する観客動員数のこと
  • プロ野球の平均観客動員数は約2万6000人で、稼働率は70%
  • Jリーグは約1万8000人で稼働率は約60%
  • 浦和レッズは平均観客動員数はJ1クラブのなかでも圧倒的だが、稼働率は60%ほど。80%のガンバ大阪や清水エスパルスとは大きな開きがある

入場料収入を高める工夫

  • 入場料収入を考える上では、シーズンチケットは大きな意味を持つ。キャシュフローに大きく貢献するだけでなく、入場料収入の安定化につながる
  • MLBではクラブシートやスイートボックスを増設することで入場料の増加を図っている
  • クラブシートやスイートボックスは富裕層や法人向けの長期契約席
  • ボストン・レッドソックスは座席数の1割にも満たないクラブシート、スイートボックスで入場料収入の4分の1を稼ぎだしていると言われている
  • 楽天は売れ行きの芳しくない座席を回収し、ホームチーム側のファンのために大型室内ラウンジを設けた

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