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「スポーツアナリスト」と「スコアラー」は違う

   

日本スポーツアナリスト協会

先日、女子バレーボール日本代表のアナリスト、渡辺啓太さんのお話を聴く機会がありました。

渡辺さんのお話は、ブログでは紹介できない話も多かったのですが、印象に残った点が1つあります。それは、今まで、渡辺さんはコートの背後から、コート上で起こったデータを記録する仕事をしていましたが、今回日本で開催されたワールドカップでは、ベンチに座っていたというのです。ベンチで座って、眞鍋監督と一緒にデータを分析しながら、対応策を考える仕事をしていたと、渡辺さんは語っていました。これは、僕にとって大きな驚きでした。

従来のスポーツアナリストはデータを記録することが仕事

なぜ、驚きだったかというと、今まではスポーツアナリストの仕事は、データをソフトに入力するのが主な仕事だったからです。スポーツの世界では、SAPの「Sports One」、「SportsCode」、「DataVolley」といったデータを録して解析するソフトの進化が著しいのですが、データをソフトに入力する作業が手作業だったため、データの入力作業に時間がとられていました。

しかし、NBAで使用されている「SportsVU」というカメラを使って、自動的に人の動きを測定し、データに変換できるシステムが構築されたことで、少しずつではありますが、競技によっては人がデータを入力する手間が減りつつあります。あるいは、データの入力だけを担当する人物は、アルバイトやボランティアといった人材で賄えるようになりつつあります。

野球に興味がある人は、「スコアラー」という言葉を聞いたことがある人がいるかもしれません。「スコアラー」とは、試合経過や得点を記録する人物のことで、文字通り「記録係」や「記録員」といった人物の事を指します。

従来、スポーツアナリストの役割は、「スコアラー」に非常に近いものでした。スポーツアナリストの仕事に、「スコアラー」の役割はもちろん含まれていますが、現在スポーツアナリストに求められているスキルとしては、より「アナリスト」という言葉の意味に近い、「解析」「分析」といった、可視化した事象をいかに分析し、問題点を見つけ出し、解決策を考えるか。この部分が求められているのです。

データから問題を導き出し、解決方法を考えるのが仕事

以前、データサイエンティストについて調べていた時、こんな記事を読んだことがあります。

未経験者はどうすればデータサイエンティストになれるか(銀座で働くデータサイエンティストのブログ)

この記事に書かれているのですが、ビジネスの世界でデータ分析を行うデータサイエンティストには、ビジネス部門のマーケッター・コンサルタント出身と、エンジニア部門のデータベースエンジニアやデータマイニングエンジニアの2パターンがいるそうです。

これをスポーツアナリストの世界にあてはめると、スポーツの技術に精通し、コーチとしての経験を積んだり、試合を通じた問題点の発見に秀でているタイプと、ツールの使い方やエンジニアとして解析の知識に秀でているタイプの2パターンがいるということが、考えられます。もし、僕をスポーツアナリストとして例えるならば、試合の分析記事を書いているので、前者でしょうか。なお、スポーツビジネスの世界でのアナリストのスキルとして考えた場合は、データサイエンティストのスキルパターンがそのまま当てはまります。

何が言いたいのかというと、「スポーツアナリスト」で求められているスキルは、「スコアラー」で求められているスキルとは、明確に違うということです。ただデータを解決する人と、データを元に問題を解決できる人との差は大きく、現在日本では、目の前で起こっている問題の解決策まで提案できる「スポーツアナリスト」はまだまだ不足していると思うのです。

そして、こうした「スポーツアナリスト」の人材不足は、そのまま競技力の差に現れつつあります。スポーツアナリストが活躍している分野では、著しい成果を上げつつあるものの、従来の指導法や記録程度にしかデータを活用していない競技は、明らかに成績が下がっています。

2020年の東京オリンピックまでに、優れたスポーツアナリストが何人誕生するか。もしかしたら日本代表のメダルの数は、そこで変わるのかもしれません。

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