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無観客試合で収益をあげる試み

   

スポーツビジネスにおいて、何よりも重要なのは、興行を行うスタジアム、アリーナ、ホールに来場してもらう事です。実際に試合を観てもらうチケット代だけでなく、来場してもらう事による飲食、グッズの売上も貴重な収益源だ。しかし、興行を行う場所に来場してもらうのは簡単ではありません。仕事、家庭、趣味、恋愛といった、様々な事項からスポーツ観戦を選択してもらわなければなりません。

しかし、最近はあえて観客に来場してもらわない「無観客試合」を行うことで、収益をあげようとしている団体があります。

プロレス団体「DDT」が行った画期的な試み

6月1日、プロレス団体「DDT」は、画期的な興行を行いました。高木三四郎対鈴木みのるの試合を実施したのですが、その試合の場所が行われたのは東京ドーム。それも、無観客試合で開催したのです。しかも、試合形式はリングを設けない、どこでも戦う「路上プロレス」。東京ドームのリングで闘うのではなく、マウンド、ブルペン、スタンド席といった東京ドーム「全体」で闘うという前代未聞の試合でした。

「DDT」はこれまでも、リングを使わず、書店やキャンプ場、工場など様々な場所で「路上プロレス」を行ってきました。路上プロレスの場合は、観客が移動しながら観戦するのですが、東京ドームでは観客が移動しながら観るわけにはいきません。したがって、無観客試合にすることにしたのです。

ただ、無観客試合だとこれまで興行における収益源だった、グッズ代や飲食代といった収益源は望めません。そして、観客がいなければ試合を行っても観る事は出来ません。DDTが考えたのは、運営している動画配信サービス「DDT UNIVERSE」で試合を生中継する事でした。動画を通じて試合を観れば、東京ドームの中を移動しながら行われる試合も移動しながら観なくてもよいし、なにより動画配信サービスの新規顧客獲得の目玉としてこの試合を開催すれば、会員の増加にもつながる。そんな事を考えたのだと思います。また、無観客試合とすることで、設営日、警備費、販売員を雇う費用が必要がないため、運営費を通常より削減して試合をすることができます。きちんと勝算があっての興行開催なのです。

観客を入れないことで収益を上げた競輪

無観客試合で収益をあげている団体は、他にもあります。競輪は2011年から「ミッドナイト競輪」と題して、21時過ぎのレースを開催しています。ただ、この21時過ぎのレースが「無観客レース」なのです。無観客にした理由は、多くのユーザーが帰宅後くつろぎながらネットにアクセスする時間帯に合わせてレースを始めれば、今まで競輪と縁のなかった層にもレースを見てもらうことができ、新規のファン開拓と車券販売拡大が見込めるのではないか。そう考えたからです。

ただ、障害もありました。最大の障害は、周辺環境の配慮です。競輪場の観客は、荒々しい方が多いイメージがあり、深夜の開催は地域の理解を得るのは簡単ではありません。また、風営法の問題もあったそうです。そこで、思い切ってネットのユーザーにターゲットを絞って開催することにして、観客は入れない「無観客試合」とすることにしたのです。

試合はWebサイトを通じて動画で配信されます。実際に開催してみると、売り上げは昼間の開催と同規模の1日あたり約8000万円にのぼったそうです。昼間の開催よりレースの本数も出場選手数も少ないにもかかわらず、売り上げは昼間と変わらなかったのだ。しかも無観客のため、接客や警備の係員なども不要でコストは抑えられ、収益の改善にも貢献したそうです。

いかに収益をあげるか

興行を開催し、観客に来場してもらうというのは、スポーツ興行の基本であり、今後も変わらないと思います。ただ、動画、VRといったコンテンツ配信サービスが充実し、スポーツコンテンツを楽しむ方法が増えています。こうしたコンテンツ配信サービスを上手く利用しながら、いかに収益化していくのか。今後のスポーツビジネスを考える上で注目していきたいと思います。

参考

「路上プロレス in 東京ドーム」大成功。DDTがブチ上げた“本気のデタラメさ”。
競輪がまさかの“無観客レース”で復活したワケ

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