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データ解析は監督の役割を変える

   

先日、Numberで「28歳の超若手監督が巻き起こす、ホッフェンハイムの蹴球IT革命。」という記事が公開されていました。この記事に書かれていたことが興味深かったので、僕なりの考えをつけくわえて、掘り下げて考えてみたいと思います。

「感覚」を徹底的に見える化するホッフェンハイムとSAPの取り組み

ドイツ・ブンデスリーガのホッフェンハイムでは、来シーズンからホッフェンハイムU-19の監督を務めている、ユリアン・ナーゲルスマンを監督に就任させることを発表しました。

ホッフェンハイムはオーナー企業であるSAPの協力を得て、本格的にサッカーのデータ解析に取り組み始めています。従来は選手の動きを、データとして可視化させるには、多大な労力が伴いました。しかし、今はウェアラブル機器や映像からデータが取得出来る機器が作られたことによって、データを取得する負荷が減りました。ホッフェンハイムはウェアラブル機器を活用した解析を、積極的に取り組み始めています。

走行距離、スプリント数、最大速度、パス成功率、タッチ数、ボール奪取数、ボール奪取から得点までの秒数といった基本情報を、リアルタイムで表示。グーグルグラスをかければ、まるで漫画『ドラゴンボール』のスカウターのように、選手のデータを見ることができる。

2D映像だけでなく、人工の3D映像が生成され、たとえば味方がパスを出そうとしているのに敵の背後に隠れてしまっていたら、「隠れている秒数」がカウントされる。パスコースに顔を出すのをさぼっていたら、すぐにバレてしまうのだ。

ホッフェンハイムは、従来は選手や監督の「感覚」で判断されていたことを、徹底的に目に見えるようにしようとしています。スポーツでデータを活用することによって、従来は選手、監督やスタッフを始めとする人の「感覚」に頼ってきた指導に、より正確に判断を下せるようになるのではないかということが期待されています。

練習メニューの考え方が変わる

データはチームの問題を分かりやすくするのには、大いに役に立つと思います。ソフトウェアが発達すれば、問題の解決方法をある程度示してくれるとも思います。ただ、どんな解決方法を選択するかだったり、従来の解決方法とは異なる方法を考えるのは、結局指導者の役割だと思うのです。

例えば、昨日川崎フロンターレの練習を観に行った時、ペナルティエリアの周辺にカラーコーンをいくつも横に倒して置いた状態で、シュート練習をやっていました。カラーコーンを相手DFの足だと想定して、相手の足に当たらないように、あるいは相手の足にボールを隠した状態からシュートを打つことが狙いでした。また、ゴールキーパーにとっては、ボールが見えづらい状態でも正確にシュートを止めるための練習でもあります。

こうした練習方法は、データからは導き出せないのではないかと、僕は思います。だから、ホッフェンハイムは分析だけでなく、データで導き出された解決方法を従来の競技の延長線上とは異なる切り口で考えようとしています。

メンタルトレーナーのヤン・マイヤーの監修の下、180度の巨大なスクリーンに囲まれたゲームのような設備をSAP社と開発中だ。

その名は「ヘリックス」。

いわゆる“ゲーミフィケーション(作業をゲーム化して楽しく進める方法論)”で、選手が中央に立ってスクリーンに映し出される仮想ピッチ上の課題をクリアし、判断速度を高める。たとえばどこにパスを出すべきか、オフサイドを取るためにラインを上げるべきか、といった判断だ。

また、立方体の中に選手が入り、4方向からボールが発射され、指定された枠にパスをする「フットボナウト」を所有している。

主にアカデミーの選手の技術向上に使われているが、今後はトップ選手もここでの自主トレを義務付けられるだろう。

監督はスタッフのまとめ役に徹する

今後、スポーツチームのスタッフは、データ解析担当者、技術指導者、練習メニューの考案者といった具合に、役割は明確に、細分化されてくると予想されます。従来の監督は、練習メニューを含めて、すべてを考え、すべて決断する人でした。コーチはあくまで、監督のサポート役にすぎませんでした。したがって、監督はこうしたスタッフの意見を吸い上げ、まとめ、決断する役割を担っていくことになっていくのだろうと思います。

現在、ドイツ・ブンデスリーガでは18チーム中、選手として代表経験がある監督は、わずかに8人。つまり、選手としての経験がなくても、成果を出している監督の方が多いということなのです。選手としての経験が問われないという考えが進めば、もしかしたら、将来スポーツチームの監督には、ビジネスの現場など、異業種で多種多様なスタッフをまとめ、成果を出した人が活躍する時代になるのかもしれません。

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