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書評「世界スタジアム物語:競技場の誕生と紡がれる記憶」(後藤健生)

   

「世界スタジアム物語:競技場の誕生と紡がれる記憶」は、「スタジアム」というスポーツが開催される場所にまつわる、「なぜ作られたのか」「誰のために作られたのか」「どう使われてきたのか」といった点だけでなく、スタジアムが紡ぎあげてきた歴史を丁寧に紹介しています。本書によると、スタジアムが本格的に建設されたのは、二十世紀に入ってからなのだそうです。したがって、スタジアムの歴史、スポーツの歴史というのは、そのまま二十世紀の歴史でもあるといえます。

戦争とスタジアム

本書は、「スタジアム建築の歴史」「スタジアムの立地」「建築としてのスタジアム」といったスタジアムの歴史やスタジアムが建てられた背景でなく、「戦争とスタジアム」というスタジアムという”舞台装置”をメッセージ発信の場として使おうとしたり、地域の象徴であるスタジアムが攻撃を受けてきた歴史についても丁寧に紐解かれている。特に、マンチェスター・ユナイテッドのホームスタジアムであるオールド・トラフォードが、第二次世界大戦時にナチス・ドイツからの空爆を受けていたという事実を、僕は本書を読んで初めて知りました。

スタジアムを運用する専門家がいない日本

本書には、「日本のスタジアムの将来像」というテーマで、現在の日本のスタジアム建築の現状が書かれています。新国立競技場問題でも明らかになったが、今の日本のスタジアムは「なぜ作るのか」「誰のために作るのか」「どう使うのか」という事が明確になっていないスタジアムが多い。当然スタジアムは建築する場所の影響も無視できない。コンセプトが明確になっていないスタジアムが多く、建設した後の運用をどうするのか、どうやって収益を得ていくのか、どんなコンテンツをスタジアムで実行するのか、考えられていないのも問題だと思います。スタジアムを建設することは出来ても、運用する専門家がいないというのが現状です。

スタジアムを拠点とした地域の活性化

近年建築されているスタジアムは、サッカー専用といった競技に特化するスタジアムが増えてきた。また、会議スペースやVIPルーム、ショッピングセンターなどを併設し、地域の人々が交流を深める場として、いかに稼働率を増やすか考えて設計されている施設も増えてきた。また、横浜DeNAベイスターズのように、地域に併設した「THE BAYS」やスタジアムを拠点に、横浜という地域をいかに活性化させていくか考えていこうという姿勢をみせているチームも出てきた。地域を活性化させる場として、いかにスタジアムを機能させていくかは、今後のスタジアム建築におけるポイントになると思います。

スタジアムとはどんな役割を担っているのか、スタジアムにはどのような歴史があるのか。「スタジアム」という施設について考えるには、とてもよい書籍です。ぜひ読んでみてください。

参考記事

「ライゾマ齋藤氏×IBM岡田」「建築」と「AI」が提示するスポーツの新たな体験価値(Business Reinvention)
書評「国立競技場の100年: 明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ」(後藤健生)-日本のスタジアムの歴史と未来を考えるのに最適な1冊-

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