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書評「小倉隆史の「観る眼」が変わるサッカー観戦術」-指導経験はなくても、小倉隆史にしか持っていない経験がある-

   

来シーズンの名古屋グランパスの監督には、小倉隆史さんの就任が確実視されています。僕にとって小倉さんは、サッカーを始めるきっかけを与えてくれた選手であり、憧れの選手です。小倉さんが監督になる。そのニュースを聞いた時、驚くと共に、とてもうれしい気分になりました。

小倉さんが監督に就任するにあたって、小倉さんの考えが知りたいと思い、本書を手に取りました。本書「小倉隆史の「観る眼」が変わるサッカー観戦術」は、小倉さんが「サッカー観戦」「日本代表」「ヨーロッパサッカー」のそれぞれで、サッカーを観戦するポイントについて書いた1冊です。

サッカー観戦に対する敷居を下げたい

幾つか出版されている、戦術分析や理解を深めるための本だと思って本書を手に取ると、サッカーに対する知識の深い人にとっては、物足りない書籍です。しかし、本書は「サッカーを詳しく知りたい」という人に対して、小倉さんがテレビで解説しているように、分かりやすくサッカーの見方を説明しようと書かれた本です。

小倉さんは、現役時代から「チームが何をすべきか」を考えてプレー出来る選手でした。チームの問題を把握し、その時々に応じた適切なプレーが出来る。そんな選手でした。だからこそ、スーパーサッカーでみせるようなコミカルな姿からは、人間としての小倉さんの魅力は伝わってきましたが、持っているサッカーに対する知識や経験をあまり披露することはありませんでした。僕個人は、そこが物足りなく思っていたのですが、本書を読み終えて、小倉さんは意図的にコミカルな姿を見せているところもあるのだと分かりました。たぶん、サッカー観戦に対する敷居を小倉さんは下げたかったのだと思います。

小倉さんしか持っていない経験がある

ただ、オランダでプレーし、膝に大怪我を負い、オランダのスポーツセンターでリハビリを経験している選手が、何の知識も経験もないわけがありません。むしろ、指導者として叩き上げの選手にはもちあわせていない知識と経験を持っている人物です。未経験の人物に監督を任せることをリスクだと思う人が多いと思いますが、僕は名古屋グランパスは非常に面白い人物を抜擢したなと思っています。

僕が本書で知りたかったのは、小倉さんが「どこを観ているのか」という点です。本書を読んでいて、小倉さんは「選手が何を考えているのか」「監督が何を考えているのか」といった、プレーや戦術の意図を読み取ろうとしているのだなと感じました。言い換えると、チーム作りに興味のある人なのだな、と感じました。

なお、小倉さんが指導者を目指すきっかけになったのは、ベンゲルとの出会いだそうです。ベンゲルがどんなサッカーを目指していたのか、どんなトレーニングをしていたのかを実際に体験しているのは、貴重です。

ちなみに、小倉さんは、S級ライセンスの研修先は、フェイエノールトだったのだそうです。研修を受けたのは、3年前。現在サウサンプトンを指揮するロナルド・クーマンが監督を務め、フェイエノールトが復活したシーズンです。

ベンゲルとクーマン。共通するのは、人と人との距離を一定に保ち、素早い守備でボールを奪い、素早く攻撃するサッカーです。小倉さんがどんなサッカーをするのか。本書を読み終えて、来シーズンの名古屋グランパスのサッカーが楽しみになりました。注目したいと思います。

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