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コンプレックスが人を成長させる。書評「竹下佳江 短所を武器とせよ―世界最小最強セッター」

   

竹下佳江 短所を武器とせよ―世界最小最強セッター

竹下佳江さんの身長159cmはバレーボールの選手としては低い。しかし、その低い身長をプラスに変えるために、竹下さんは「24時間練習」「朝4時からのコンビ練習」などの壮絶な練習を続けることで次々と課題を克服し、「世界最小最強セッター」の異名を得るまでになりました。

本書は、そんな竹下さんがいかにして短所を克服し成長してきたのかを、長年にわたる竹下さんや関係者に対する綿密な取材を基に描いた、ノンフィクションです。

「短所を武器とする」

人間が大きく成長するためには、短所(コンプレックス)を自覚することだと聞いたことがあります。本書では茂木健一郎さんの言葉として、次のような言葉が紹介されています。

脳は、欠点を意識するとそれを乗り越えようとする働きがあります。本人が人より劣っているとか苦手だと思い悩むことがあると、意識がそれに集中する。すると、変えようとする創造性が働き始めるんですよ。

凄く努力して乗り越えようとするし、なぜか普通の人を遥かに超えて、途轍もない領域にいってしまうんです。ただ、欠点に目を瞑ったり、逃げ出したりする人は、脳に意識がいかないので創造性は発揮できません。

短所やコンプレックスが人を成長させます。

何かの記事で、結果的に大きな成功を収めるのは、幼少期からトップを走り続けてきた人物ではなくその人物を追い続けてきた人物だ、と読んだことがあります。2番手以降の人物は、トップの人物に負けることで、自分の短所を意識せざるを得なくなります。

竹下さんの選手生活は「身長」という、バレーボールという競技をするには大きな短所との戦いでした。また、代表やチームに呼ばれるときも、常に誰かの代わりで呼ばれることが多かったそうです。

「身長」という短所、そこから派生する「身長の低い選手にはバレーボールはできない」といった評価。これらマイナスともいえる「短所」を意識し、克服しようとした結果が、現在の竹下さんを形作っているのだと、本書を読んで改めて感じました。

人が成長する最大の動機は、「コンプレックス」だと聞いたことがあります。いじめられ子だったマイク・タイソンは、いじめられている自分を克服しようとボクシングをはじめ、プロボクサーになるまでになりました。矢沢永吉さんの「成り上がり」にまつわるエピソードは、貧乏な自分というコンプレックスを克服した成長物語だと言えます。

「今の自分を変えたいけれど、何をしたいのかわからない」と考えている方は、自分のコンプレックスを自覚することが始めてみると、自分を変えるためのヒントがみつかるのではないか。本書を読んだ後、そんなことを考えました。

吉井妙子さんのバレーボール取材の集大成ともいえる1冊

本書の著者である吉井妙子さんは、道を究めたアスリートが魅せるすばらしいパフォーマンスの秘密が何か、追い続けているライターで、過去には清水宏保さんや松坂大輔さんに関する書籍を書いています。

バレーボールも継続して取材されていて、2004年のアテネオリンピック出場以降、継続して日本代表の戦いを追った、ノンフィクションを出版されています。今回の竹下佳江さんの書籍は、吉井さんが書き続けた「バレーボール」というテーマの集大成ともいえる書籍となっています。

したがって、竹下選手に関するエピソードも、吉井さんが長年にわたって綿密な取材を行ってきたからこそ、知りうる内容になっていて、非常に読み応えのある1冊です。

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