為末大が伝える「勝利のセオリー」とは何か

BS1で毎週日曜日20:00〜21:00に、為末大さんがナビゲーターを務める、「為末大が読み解く!勝利へのセオリー」という番組が放送されています。為末大さんがスポーツの指導者を訪ねて、それぞれの「勝利のセオリー」について聞く、という番組です。

番組で取り上げられる指導者は、普段あまりテレビでは取り上げられない指導者も多く、毎週放送を楽しみにしています。

勝つための方法を、”具体的に”、”丁寧に”指導する

最近印象に残ったのは、桜花学園高校女子バスケットボール監督を務める井上眞一さんの回です。桜花学園高校は全国制覇52回を成し遂げた名門中の名門。しかし、メンバーが毎年入れ替わる中で勝ち続けることは、簡単なことではありません。

井上監督の指導で特に印象に残ったのは、「勝つための方法を、具体的に、丁寧に、指導している」点です。桜花学園高校のバスケットボールに所属する生徒は、中学時代に全国でも指折りの実力をもった生徒ばかりです。しかし、井上監督は、そんな生徒にも基本的な部分を徹底的に指導しています。その指導が、とても具体的で丁寧なのです。

例えば、ボールの持ち方です。桜花学園ではボールを持つ時は、肘を前に出して相手からの距離を保つとともに、ボールを身体の近くに抱え、簡単に相手にボールを渡さないようにする、と指導していました。ボールの持ち方というのは、何気なくやっている行為なので、どの持ち方が正しいかなんて、普段は考えたりしません。

しかし、井上監督は選手が感覚で対応しそうなプレーの一つ一つについて、正しい方法を具体的に伝えるとともに、「こうしろ!」「ああしろ!」といった自分の考えを押し付けるようなものではなく、選手が正しい動きを実践できるまで、丁寧に繰り返し指導されていました。

井上監督が生徒を指導している映像を観ながら、僕は「指導する」ということはどういうことかが、少し理解できた気がしました。井上監督のように、具体的に、丁寧に、そして何度も何度も伝えるしか、人が人に何かを伝えたうえで、実践してもらうことはできないのだということを、心から実感しました。

勝負の神様は細部に宿る

「勝利のセオリー」を観ていると、いつも思い出す言葉があります。元サッカー日本代表監督で、現在は中国杭州緑城の監督を務める岡田武史さんの「勝利の神は細部に宿る」という言葉です。

岡田さんは、なぜ「勝利の神は細部に宿る」と言うのかについてこのように語っています。

選手にも話すのですが、何でそういうことを言うのかというと、運というのは誰にでもどこにでも流れているんです。
それをつかむか、つかみ損ねるかなんですよ。俺はつかみ損ねたくない。
だから常につかむ準備をしている。
自分でつかみ損ねていて、「運がない」と言っている人をいっぱい見てきました。
「俺はそれをつかみたい。お前がたった1回ここで力を抜いたおかげでW杯に行けないかもしれない。
運を逃してしまうかもしれない。お前がたった1回まあ大丈夫だろうと手を抜いたおかげで運をつかみ損ねて、
優勝できないかもしれない。俺はそれが嫌なんだ。パーフェクトはないけど、そういうことをきっちりやれ」と言います。

岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは

「勝利のセオリー」に出てくる指導者は、皆さん細かいことに気を配って指導をしています。指導している選手や競技によって、強調しているポイントは違いますが、岡田さんと同じように「勝利の神は細部に宿る」ことを認識しているのではないのでしょうか。

「勝利の神は細部に宿る」という考え方は、普段の生活やビジネスの現場でも応用出来ると思います。大体、人は何か成功した人がいたら、魔法のような方法を使って、劇的に何かを改善したからうまくいったんじゃないかと思うものです。

しかし、実際は細かいことの積み重ねを、長い時間続けられた人が、勝者になっているような気がします。「為末大が読み解く!勝利へのセオリー」という番組は、その事を短い時間内でうまく伝えている番組だと思います。ぜひ機会があったら観てください。

関連情報

為末大が読み解く!勝利へのセオリー

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