教育を受け、知識を身につける目的は、人生の選択肢を増やすこと。書評「グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」」(松田 悠介)

2015/04/24

アメリカの大学生にとって、GoogleやAppleという企業より、NPOへの就職の方が人気なのだそうだ。NPOの方が既に名が知られている売上規模の大きな企業より、自分のやりたい仕事が出来たり、自分の仕事が社会に対してどのように影響を及ぼしているのか、体感出来ることが大きいのだと思う。そして、アメリカだとNPOでも給料が高い仕事もあるのだそうです。

アメリカで学生に人気の高いNPOの1つが、「TFA(ティーチ・フォー・アメリカ)」。ハーバードやスタンフォードといったトップクラスの大学を卒業する学生や既卒生を集めて選抜し、独自のトレーニングをした後、貧困地域や教育困難校と言われる学校で2年間教師をするのだという。TFAで働いた人材は、過酷な状況で働くため、問題解決能力、リーダーシップなどが身につくのだという。TFAを経て、別の業界のリーダーとして活躍している人材も多いのだそうです。

本書「グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」」は、TFAのプログラムに感銘を受け、「TFJ(ティーチ・フォー・ジャパン)」を立ちあげた著者が、立ちあげまでの軌跡と、立ちあげる上で感じた日本の教育の問題点について書いた1冊です。個人的には、TFJのプログラムの目的と、日本の教育の問題点に関する記述が印象に残りました。

教育を受けることで生活を改善させる

なぜ、TFAは貧困地域や教育困難校に教師を送るのでしょうか。実際問題、まともに文章が読めない子供は、よい給料がもらえる仕事にもつけず、生活保護のような支援を受けるか、悪の道に手を染めるしかない。つまり、人生の選択肢も限られてしまうというわけです。

貧困地域や教育困難校に教師を送ることで、子供たちの教育レベルを高め、よい仕事につく手助けが出来るというわけです。行政にとっても、仕事につく人が増え、生活保護を受ける人が減れば、治安や財政の改善に繋がり、長期的に考えるとメリットも大きいというわけです。

日本にも貧富の差はある

では、日本でTFAのプログラムを実施するメリットは、どこにあるのでしょうか。識字率は99%で、日本は、アメリカに比べると貧富の差が少ないと言われています。しかし本書によると、学校のクラス45人の内、生活保護を受けなければ学校に通えない生徒が、5人はいるのだそうです。当然、日本にも貧富の差はあるのです。

また、東大の合格者のおよそ半数の家庭の年収が、1,000万円以上だということを聞いたことがあります。日本は教育については行政の支援が少ない国とも言われており、高いレベルの教育を受けたければ、家庭からの投資に頼らざるを得ません。当然、高いレベルの教育を受けられば、収入の高い仕事につく可能性が高まります。逆にいうと、低いレベルの教育しか受けられなければ、収入の低い仕事にしかつけないというわけです。

生活保護を受けているような人に、高いレベルの教育を受けられるキッカケを作る。そこに、TFJが存在する意味があるというわけです。

教育を受け、知識を身につけることで、人生の選択肢を増やす

本書を読んでいると、教育を受けることとはどういうことなのか、考えさせられます。

教育を受け、知識を身につけることの真の目的は、人生の選択肢を増やすことなのです。自分自身もその事を頭に入れた上で学び続ける必要がありますし、自分の子供にもその事を伝えたいなと、本書を読み終えて感じました。

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