イノベーションは弱者から生まれる。書評「「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー」(高橋 秀実)

2014/12/12

本書の書評記事は、2013年にHonzという書評サイトで、最も多くのPV数を獲得した記事なのだそうだ。本書で取り上げられているのは、開成高校という超進学校の野球部。超進学校の野球部が、東京都大会ベスト16まで勝ち進んだのだという。いったいどんな野球をして、勝ち進んだのか。開成高校はどんな選手がいるのか。長期にわたって密着し、監督や選手の声をまとめたのが、本書「弱くても勝てます」です。

強者と同じことはしない

開成高校の取り組みは、本書を読んでもらうとして、僕が読み終えて強く感じたのは、「イノベーションは弱者から生まれる」ということです。

開成高校は超進学校なので、勉強では強者ですが、野球では弱者です。弱者は強者と同じことをしていては勝てません。開成高校の野球部員は、エラーはするし、キャッチボールもまともに出来ません。送りバントのように、確実にランナーを進める攻撃も出来ません。エラーせずに守り、送りバントでランナーを進めるのは、強者の戦い方です。開成高校の戦い方は、こうした強者の戦い方と、真逆なのです。

開成高校の戦い方からは、強者と自分たちを比較して、足りない能力を補おうというのではなく、自分たちが持っている能力を最大限に活かして戦おうという意志が伝わってきます。自分たちの持っている能力を見直し、先鋭化させることで、強者に立ち向かい、あわよくば一矢報いる。こうした取組を続けることが、イノベーションにつながるのではないかと思います。

満ち足りていないから、改善する

人は、満ち足りていれば、何かを改善しようとは思いません。満ち足りていないからこそ、改善しようと努力します。開成高校の取組は、イノベーションがどんな状況から生まれるのか考えさせられるのとともに、強者であっても、ステージを変えれば弱者になり、イノベーションを生むきっかけを作ることが出来るのだということを、教えてくれます。

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