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「3-4-3」について考える。第1回:アヤックス/FCバルセロナの「3-4-3」

      2013/09/11

ヨハン・クライフ「美しく勝利せよ」

サッカーには様々なフォーメーションがあります。戦い方によって「4-4-2」「4-3-3」「3-5-2」といったフォーメーションを使い分けているのですが、この記事では「3-4-3」というフォーメーションについて、詳しく紹介したいと思います。

ザッケローニがウディネーゼ時代「3-4-3」を使って1997-1998シーズンにセリエAで3位になったことがあるので、日本でも「3-4-3」を使うのではないかと話題になりました。現在の日本代表は「4-2-3-1」というフォーメーションを採用することが多いですが、「3-4-3」も引続きオプションとして試していますので、今後も採用される可能性が高いフォーメーションですが、日本では、あまり使われたことがないフォーメーションなので、サッカーが好きな人でも、「3-4-3」というフォーメーションについてはよく知らないのではないかと思います。

一言で「3-4-3」といっても、いくつかパターンがあり、パターンによって強調している事は違います。そこで、僕が知る範囲で「3-4-3」のパターンと、それぞれの特徴について紹介します。

今回は「アヤックス/FCバルセロナ」の「3-4-3」について紹介します。

トータルフットボールが生み出した「3-4-3」

94-95シーズンのアヤックスのスタメン

94-95シーズンのアヤックスのスタメン

「3-4-3」の原点として忘れてはいけないのは、74年ワールドカップのオランダ代表と、オランダ代表の中核を担ったアヤックスです。ヨハン・クライフという天才と、リヌス・ミケルスという稀代の戦術家が作り出したサッカーは、「トータルフットボール」という言葉とともに、現代のサッカー界に大きな影響を与えています。当時のオランダ代表が採用していたシステムが「3-4-3」でした。

アヤックスは94-95シーズンに、UEFAチャンピオンズリーグを制覇するだけでなく、リーグ戦無敗という記録的な強さでシーズンを終えたことがあったのですが、その時のフォーメーションも「3-4-3」でした。リトマネン、カヌー、オフェルマルス、デ・ブール兄弟、ライカールト、ダービッツ、セードルフ、ファン・デル・サール、クライファートといった後々まで活躍する選手をルイス・ファン・ハールが率いて、実に魅力的なサッカーを展開しました。

FCバルセロナに引き継がれた「3-4-3」

ルイス・ファン・ハール退任後、アヤックスは「3-4-3」を採用しなくなるのですが、「3-4-3」を採用して魅力的なサッカーを展開したのが、FCバルセロナです。74年のワールドカップで「3-4-3」を世に送り出したヨハン・クライフの就任後、FCバルセロナも「3-4-3」を採用し、1990年以降リーガを4連覇し、UEFAチャンピオンズカップも制しました。

そのドリームチームでプレーしていたグアルディオラが、監督就任後にオプションとして採用したシステムが「3-4-3」です。2011-12シーズンの開幕戦となったビジャレアル戦で、就任後初めて「3-4-3」を披露して、5-0で勝利をおさめた試合は、衝撃的でした。

そして、グアルディオラはバイエルンミュンヘンの監督就任後にも「3-4-3」にトライしています。第3節のニュルンベルク戦のフォーメーションは、BS1では「4-3-3」と表示していましたが、実際にはラームを中盤に使った「3-4-3」でした。「3-4-3」はうまく機能せず、後半は「4-3-3」に戻してしまいましたが、グアルディオラが「3-4-3」をバイエルンでもトライしようとしていることがわかっただけでも、ニュルンベルク戦を観た価値がありました。今後のバイエルンに注目です。

ボールを保持して、ゲームを支配するための「3-4-3」

アヤックス/FCバルセロナが採用する「3-4-3」の特徴を紹介します。

パスを回すためのトライアングルが多く作れる


アヤックス/FCバルセロナが採用する「3-4-3」は、各選手同士を線で結ぶと三角形がいくつも出来ます。パスコースを作るときに三角形を作るのはサッカーの基本なのですが、アヤックス/バルサ式の「3-4-3」は、フォーメーションを維持すれば、三角形を維持出来るようになっているので、パスコースを作るために選手が大きく動き回る必要がなく、パスを簡単に回すことが出来ます。

攻撃に多くの人数を割くことができる

「3-4-3」はFW3人、MF3人と攻撃に人数を多く割いているのが特徴です。攻撃に人数を割く事でより多くの得点を得ようとするだけでなく、自分たちの攻撃の時間を増やすことで、相手の攻める時間を減らそうという意図があります。

選手間の距離が近いので、ボールを奪われた後に守備をしやすい

「3-4-3」は選手間の距離が均等に配置されているので、ボールを奪われた瞬間に近くにいる選手がすぐ相手にボールを奪いにいけるので、うまくハマると、すぐに相手からボールを奪い返すことが出来ます。

ただ、選手間の距離が近いフォーメーションなので、選手同士が近づきすぎたり、遠くなりすぎたりといった具合に、適切な距離がとれないと守備がうまく機能しません。「3-4-3」は個人個人が自分がいるべきポジションを理解してプレーしつづけないと、機能しないフォーメーションでもあるのです。

ボランチがセンターバックの役割を兼ねる

アヤックス/FCバルセロナが採用する「3-4-3」にはセンターバックが1人しかいません。したがって、センターバックを2名配置する4バックと比べると、中央の守備が手薄になります。その点を補う方法として、アヤックス/FCバルセロナが採用する「3-4-3」では、センターバックも出来るボランチが「3-4-3」の「4」の底のポジションを担当します。

94-95シーズンのアヤックスだとライカールト、現在のFCバルセロナではセルヒオ・ブスケッツといった具合に、センターバックも出来て守備力に定評のある選手が担当しています。また、ボランチの選手は、攻撃の第一歩として正確なパスで攻撃をコントロールする役割も担っています。「3-4-3」を円滑に機能させるためには、守備能力と攻撃能力の両方を兼ね備えた優れたボランチの存在が不可欠なのです。

サイドバックがセンターバックの役割を兼ねる

ボランチ以外にも、センターバックの役割を兼ねているのが、サイドバックです。アヤックス/FCバルセロナの「3-4-3」では、サイドバックにセンターバックとしての役割も求めています。その理由はシンプルで、DFが3人しかいないので、守備力が求められるからです。したがって、アヤックス/FCバルセロナの「3-4-3」では、ダニエウ・アウベスやマイコンのような攻撃的なサイドバックではなく、ライツィハーやアビダルといった守備を得意とする選手をサイドバックに起用します。

センターバックでサイドバックが出来る選手を、サイドで起用する場合もあります。アヤックスだとフランク・デ・ブール、FCバルセロナだとマスケラーノといったセンターバックもサイドも出来る選手を使うことがあります。

「3-4-3」は攻撃的なフォーメーションなので、DFにも攻撃的な選手を使ったほうがよいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、3人のDFに求められるのは、失点を減らすことと攻撃の組み立てであって、積極的な攻撃参加ではありません。むしろ、FWとMFに人が多いので、DFまで攻撃参加してしまうと、前線のスペースを消してしまうため、攻撃参加は求められていないのです。

守備の人数が少ないので、失点のリスクも高い

攻撃に多くの人数を割いていること、選手間の距離が近いため、FWとMFの守備網を突破されると、DF3人で守らなければならなくなるので、失点するリスクも高いフォーメーションとも言えます。得点も多いが失点も多い。アヤックスもFCバルセロナも「3-4-3」のリスクと向き合いながら、人々を魅了するサッカーを披露してきました。アヤックスやFCバルセロナのサッカーがなぜ人気があるのかを考えた時、「3-4-3」というフォーメーションについて考えることは、避けて通れないと言えます。

「3-4-3」のフォーメーションは、アヤックスやFCバルセロナのパターンだけではありません。
次回はアルゼンチンが生んだ奇才、マルセロ・ビエルサの「3-4-3」について紹介します。

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