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第19回 JFLファーストステージ第7節 東京武蔵野シティFC対FC今治 レビュー「ボールを前に運ぶために必要な”外す”動き」

   

第19回 JFLファーストステージ第7節 東京武蔵野シティFC対FC今治は、0-3で東京武蔵野シティFCが勝ちました。

JFLファーストステージ第7節、東京武蔵野シティFC対FC今治は0-3で、東京武蔵野シティFCが勝ちました。この試合のFC今治の敗因は、「自滅」です。東京武蔵野シティFCの守備も素晴らしかったですが、正直言うとFC今治はただただ東京武蔵野シティFCの守備に自らつかまりにいき、自滅してミスをして失点。東京武蔵野シティFCとしては、「何もしなくても勝てた」くらいに感じたかもしれません。東京武蔵野シティFCの監督がベンチを立って指示をする場面は、90分を通じてほとんどありませんでした。

相手の守備を外せなかった理由

FC今治は、JFL,天皇杯予選含めて、アウェー5連戦の4戦目。この試合の後も、アウェーで栃木での試合が組まれているということもあり、メンバーとフォーメーションを普段と変えて試合に臨みました。FC今治が採用したフォーメーションは、普段の4-1-2-3とは違い、5-4-1で臨みました。DFは右から、片岡、宮本、斎藤、小野田、水谷。MFは右から三田、楠美、岡山、上村、そしてFWは桑島です。

まず、5-4-1でスタートしたフォーメーションが、全く機能しません。DFがボールを持ったら、横方向にばかりパスが回されるだけで、ボールが相手ゴール方向に全く運べません。FC今治の吉武監督は、横方向ばかりパスを交換する可能性を想定していたのか、ある工夫をしていました。左利きの宮本を右センターバック、右利きの小野田を左センターバックに起用したのです。この狙いは、わざと逆足でボールを持たせる事で、ボールを横方向ではなく縦方向に、サイドではなく中央にパスを出せるようにしたかったのだと思います。しかし、この狙いは東京武蔵野シティFCの2人のFWが、小野田と宮本がボールを持った時、パスコースを切ったため、機能しませんでした。

FC今治はセンターバックが3人、対する東京武蔵野シティFCはFWが2人いたので、FC今治の方が中央のエリアでは数的優位な状態でした。数的優位な状態を活かして、素早くパス交換し、3人のうち誰かをフリーにしてボールを運べば、チャンスを作れたと思います。ところが、3人のパス交換がスピードアップセず、相手は余裕で2人で守れてしまいます。この時点で、FC今治は1人少ない状態で戦っているも同然でした。

パス交換がスピードアップしなかった理由は、センターバックの中央を務めた斎藤がボールを扱う技術が低く、ボールを止める動きが遅いため、斎藤を経由するとパス交換のテンポが遅くなるからです。斎藤がボールを持った時、東京武蔵野シティFCのFW2人の間が空いているので、素早くボールを止めれば、中央に位置する楠美と岡山に縦方向のパスをすることも出来なくはなかったし、左斜め前の上村は常に空いてました。ところが、斎藤がボールを止める動きが遅いため、縦方向中央にパスが出せません。横方向しかパスが出てこないという事を、東京武蔵野シティFCは読み切り、ちょっと強度を上げたら、FC今治のDFはパスミスが増えていきました。

楠美と岡山も動きにも問題はありました。ボールを引き出すために相手を「外す」動きが少なく、2人に出したくても、パスが出しにくかったのです。特に楠美はほとんど相手を外す動きがないため、常に相手のMFに捕まっている状態でした。そして、2人がボールを受けた後、東京武蔵野シティFCのFWとMFが素早く前後で挟み撃ちにするので、ボールを受けても横の味方に出すのが精一杯で、縦方向にパスを出せません。

FC今治がなかなかボールを縦方向に入れられなかった事を象徴するのが、FWの桑島の動きです。桑島はボールを相手守備者の間で受けるのが上手い選手なのですが、この試合ではなかなか彼が欲しいタイミングでパスが届きません。パスが届かないので動き直す、パスが届かないので動き直す、という動きを繰り返していた結果、DFラインまで下がってしまい、何度かDFの横でボールを受けた場面がありました。メッシならDFの横でボールを受けてもドリブルでボールが運べるのですが、桑島はメッシではありません。

縦方向に短い距離のパスがつなげないなら、相手DFラインの背後を狙ってロングパスを出せばよかったのですが、FC今治のDFにその考えはなかったようです。また、FC今治の桑島、ウイングバックの片岡も、相手DFの背後を狙う動きはしません。唯一、左サイドの水谷だけが相手の背後を狙っていて、1度GKと1対1になった場面がありました。このシュートを決めていれば違う展開になったのかもしれませんが、シュートはGKがセーブし、FC今治のペースにはなりませんでした。

フォーメーションを次々と変えても状況は変わらず

FC今治は、ボールを相手ゴール方向に運ぶ行為の事を、「プロフレッション」という言葉を使って、表現しています。しかし、この試合では全く「プロフレッション」が出来ていませんでした。前にボールを運べず、相手の攻撃を受け、自分たちでパスミスして、ボールを奪われて失点。東京武蔵野シティFCは特に何かをしたわけではありませんが、勝手にFC今治がミスしてくれるのを待っていれば、得点が入る。そんな状況でした。

吉武監督もなんとか状況を打開しようとします。前半30分過ぎには、2失点目につながるパスミスをした小野田を右ウイングバックに、宮本を左センターバック、片岡を右センターバックに変更し、ボールを受けられなかった楠美を左MFにして、上村と入れ替えます。後半はDFの背後を狙う長尾を入れて、相手の守備を広げようとします。後半開始直後はDFは右から片岡、斎藤、宮本。MFは上村を下げて中央に配置し、岡山、上村、水谷、楠美。FWに三田、長尾、桑島と3-4-3に変更します。ところがこれもはまらず、後半5分過ぎには、4-1-2-3に変更。DFは片岡、斎藤、宮本、水谷。MFは楠美、上村、岡山。FWは三田、長尾、桑島。結局最後まで4-1-2-3で戦いました。長尾を入れてDFの背後を狙いたかったのに、後半は逆風になり、背後に出したボールが強風で戻されてしまったのも、FC今治に追い打ちをかけました。

後半、岡山に替わって中野、楠美に替わって玉城が入って少しボールが動くようになりましたが、試合は完敗でした。連戦のため、メンバーを入れ替えましたが、今のFC今治はメンバーを入れ替えて勝てるほど強いチームではないということもわかった試合でした。特にチームに欠かせない、左サイドバックの中野、MFの金子、そして玉城といった選手がスタメンでなかった結果、「受ける」「外す」「運ぶ」動きが出来る選手がおらず、ボールが全く前に進みませんでした。また、前半から相手DFの背後を常に狙っていたら、違う結果になったと思います。

フットサルもサッカーも、ボールを運ぶのに必要な動きは変わらない

実はFC今治の試合の後、味の素スタジアム横にあるミズノフットサルプラザ味の素スタジアムに移動して、バルドラール浦安対エスポラーダ北海道との練習試合を見学してきたのですが、バルドラール浦安もFC今治と同じ問題をかかえていました。それは、ボールを受けようとするあまり、相手の守備を外そうと動けば動くほど、どんどん相手ゴールから遠ざかっていくという問題です。特に、セカンドセット、サードセットと普段プレータイムが少ない選手ほど、この問題が出ていました。

2017-18シーズンからバルドラール浦安の監督を務める高橋健介監督と話したのですが、高橋監督は、「相手の矢印を外せない」からこの問題が起こっていると表現されてました。
「矢印」とは、相手の守備者が移動しようとするベクトルの事で、相手が動く方向を見極め、相手が動く逆方向に動けたら、相手の守備を外して、フリーで受けられます。また、相手の矢印を外すだけでなく、相手の「背中」でボールを受けられれば、相手は前だけ向いてボールを奪いにこられなくなります。FC今治も、バルドラール浦安も、相手の背中でボールを受けられる選手がいないので、相手の守備の強度が上がると、相手に捕まってしまうのです。

そして、ボールを受けようとする意識が強すぎると、相手の背中をとる動きが減り、結果的に相手に捕まってしまいます。FC今治には、相手を見て矢印を外してボールを受け、相手の背中を取れる選手が、上村くらいしかいません。上村はどちらかというと、パスの「出し手」なので、パスの受け手として、相手を見て受けられる選手が今後出てくるかどうかが、勝ち点を積み重ねる上でのポイントになってくると思いました。

この試合に敗れたため、首位との勝ち点差が11に広がってしまいました。吉武監督に焦っている素振りはありませんが、昇格を狙うなら、これ以上首位との勝ち点差を離されるわけにはいきません。次の試合もアウェー。そして、ホームスタジアムが改修中のため、当面スタジアムを転々としながらの試合が続きます。いかに苦しい期間をしのぎ、サッカーの質を高め、勝ち点を積み重ねる事が出来るのか、今後の戦いを楽しみにしたいと思います。

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