海外に移籍する方が日本でプレーするより「成長できる」のか

Jリーグ・プロ野球ともにオフシーズンになると、移籍の話がメディアで取り上げられますが、今年も海外移籍のニュースを多く目にしました。プロ野球では、楽天イーグルスの田中将大がポスティングシステムを使ったMLB移籍を表明しました。

Jリーグでは、日本代表の大迫勇也が鹿島アントラーズから、ドイツ・ブンデスリーガ2部の1860ミュンヘンに移籍。横浜F・マリノスの齋藤学は、ドイツ・ブンデスリーガ1部のボルフスブルクからオファーを受けました(現時点では、残留が濃厚)。海外移籍ではありませんが、専修大学の長澤和輝は、Jリーグではなくドイツ・ブンデスリーガ2部の1FCケルンに入団することを選びました。

今年は、アジアのリーグに移籍するニュースも多く目にしました。元日本代表の岩政大樹は、鹿島アントラーズからタイのテロ・サーサナというクラブに移籍。同じく元日本代表の茂庭照幸は、セレッソ大阪からタイのバンコク・グラスというクラブに移籍することになりました。

海外に移籍するとき、選手が発表するコメントには「より自分を成長させたい」「挑戦したい」といった言葉が使われることがあります。でも、本当に海外移籍の方が、日本国内でプレーするより成長できるのでしょうか。

自分のことを知らない場所で、自分の実力を試したい

まず考えられるのは、「自分のことを知らない場所で、自分の実力を試したい」という点ではないかと思います。外国のクラブに移籍したら、まずは自分のことを、味方に認めさせなければなりません。味方に認めてもらわなければ、試合にも出れません。自ずと日々の練習にも、力が入ります。日本で試合に出られるようになった選手は、「努力しなくても試合に出れる」とまではいいませんが、Jリーグはそこまで人の出入りが激しいリーグではないため、日々の練習にモチベーションを保つのが難しくなります。

異文化に触れたい

次に考えられるのは、「異文化に触れたい」ということだと思います。日本は豊かな国で、サービスもインフラも整っています。しかし、海外に行けば、日本ほど便利なサービスがどこでも受けられるわけではありません。日常生活の問題を、1つ1つ自らの手で解決していくことが求められます。また、海外で暮らすことで、その土地独自の文化に触れることが出来ます。

海外に移籍したほうが、自分の市場価値を高められる

選手として大きいのは、「海外に移籍したほうが、自分の市場価値を高められる」という点だと思います。Jリーグからヨーロッパのリーグに移籍すれば、Jリーグでは中々観てもらえなかった自身のプレーを、ヨーロッパのリーグという”市場”の中で、判断してもらうことが出来ます。その市場で”価値が高い”と判断されれば、更によい待遇でプレーできる可能性が高い。その事を、選手が夢見ても不思議ではありません。事実、本田圭佑、香川真司、長友佑都といった選手は、ヨーロッパのクラブで活躍することで、評価を高めていきました。

海外のほうがレベルが高い

最後に、純粋に海外のリーグのほうが日本のリーグよりレベルが高い、ということが挙げられます。日本にはFCバルセロナのようなクラブはありませんし、NYヤンキースのようなチームもありません。選手として、自分の実力を高いレベルで試してみたい、と考えるのは自然なことです。

日本でも成長した遠藤保仁の例

では、日本でプレーしていては、成長できないのでしょうか。僕自身はそうは考えていません。実際、遠藤保仁のように、Jリーグに所属しながら、ヨーロッパでプレーする選手が大半を占める現在の日本代表で、確固たる地位を築いている選手もいます。

遠藤は、インタビューを読んでいると、細かく目標を立てて、日々のトレーニングで改善するという取組を、地道に行っているように見受けられます。つまり、自分で自分の課題を見極め、改善するための努力を続け、課題を1つ1つクリアし、実際の試合で成果を出せる人は、好待遇をもとめなければ、海外でプレーしなくても、成長できるのです。

「成長」を目的にした海外移籍は成功しない

個人的には、「成長」を求めて海外に移籍した選手は、あまり成功していない気がします。海外で「勝負する」と決意して。海外に行った人の方が、成功を収めている気がします。企業でもそうですが、企業はあくまで「仕事する場」「勝負する場」であって、「成長の場」「学びの場」ではないのです。成長する、学びを得るのは、結果論です。

海外移籍も事例が増えたことで、単純に憧れだけで移籍する人は減ったと思いますが、市場規模が大きくなるということは、競争もより厳しくなるということです。したがって、日本にいた時より自分を厳しく律していくことが求められます。それが出来た選手だけが、「成長」出来るんだと思うのです。

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