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2017年J2第13節 大分トリニータ対名古屋グランパス プレビュー「高さで解決するな」

   

2017年J2第13節、名古屋グランパスの対戦相手は大分トリニータです。

「チャンスは作れるけど、シュートが決まらない」大分トリニータ

しつこいですが、Football-LABに「サッカーの「攻撃」を分析するためにチェックすべき2つのデータとは?」という記事を寄稿させて頂きました。Football LABには、「攻撃」を分析する時に真っ先に参考にすべきデータが掲載されています。それは、「チャンス構築率」と「シュート成功率」です。

「チャンス構築率」とは、「シュート数」を「攻撃回数」(ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまでの間を1回の攻撃とする)で割った数字です。保持したボールを、相手陣内に効率よく運び、シュートチャンスを作り出しているチームは、チャンス構築率が高くなります。

「シュート成功率」は、ゴール数をシュート数で割った数字です。「シュート成功率」が高いチームは、得点出来るシュートチャンスを作り出すのが上手いチームともいえます。

攻撃はボールを持ってからシュートチャンスを作るまでの工程「ビルドアップ」と、作ったシュートチャンスを成功させる工程「得点する」の2工程に分かれます。それぞれの工程の精度を成功率を基に分析すると、「どこの工程が上手くいっているのか、いないのか」「チームの攻撃の特徴」が把握出来ると考えました。

この分析手法を基に、第12節終了時点での大分トリニータを分析したいと思います。

まず注目したいのは、大分トリニータの攻撃回数です。攻撃回数は129.1回でリーグ20位ですが、チャンス構築率は9.7%でリーグ10位、シュート成功率は8.6%でリーグ11位。チャンス構築率とシュート成功率の分布図を見ると、「チャンス構築率が高く、シュート成功率が低い」チームに該当します。ゴールパターンを読み解くと、セットプレーからのゴールが全体の23%と少ないのが目をひきます。

ボール支配率は52.1%でリーグ6位、パス数は1試合平均523.4本でリーグ4位。この数字からは、ボールを保持して、パスを繋いで攻撃するチームだという事が読み取れます。サッカーでは、パスをつないで攻撃するチームは攻撃回数が少なくなります。攻撃回数が少なくても、チャンス構築率が高ければ、パス交換している意味があります。僕は10%を目安にしているのですが、チャンス構築率が9.7%というのは、まずまずの数字です。また、1試合平均の30mライン侵入回数は、名古屋グランパス(38.6回)より多い、39.6回。ボールを保持して、相手陣内までボールを運ぶ(ビルドアップ)力があるチームです。

大分トリニータが相手ゴール近くまでボールを運ぶのが上手い事は、守備のデータからも分かります。被攻撃回数は、122.8回でリーグ1位。つまり、ボールを保持し、テンポを落としてじっくりと攻撃することで、相手に攻撃される回数を減らしているチームだといえます。

一方、シュート成功率が8,6%という数字からは、相手陣内までボールは運べるものの、なかなか相手の守備を崩せず、成功率の高いシュートチャンスを作れていない事が分かります。また、守備についても被攻撃回数はリーグ1位ですが、被チャンス構築率は11.5%でリーグ22位。つまり、相手に攻撃されたら、シュートを打たれる確率が高いチームでもあります。ただ、被シュート成功率が5.9%とゴールを決めさせない守備が出来ているので、失点は11でリーグ5位タイと被チャンス構築率から考えると低い数字を記録しています。ゴール前の守備は上手いチームだといえます。

まとめると、大分トリニータは、ボールを相手ゴールまでボールを運ぶのが上手いチームです。ただ、シュートが上手いチームではありません。また、相手チームがボールを保持したら、シュートまで持ち込まれる可能性が高いチームですが、ゴール前の守備が上手いため、失点は少ないチームです。

風間監督が極端な発言をする理由

名古屋グランパスとしては、いかに相手よりボールを保持出来るかがポイントだと思います。大分トリニータはゴール前の守備が上手いチームですが、名古屋グランパスのシュート成功率は、リーグ2位の12.6%。ボールが保持できれば、シュート成功率が高いチームの方が優位に試合を進められるのではないか。僕はそう考えています。だからこそ、普段の試合同様に、ボールを保持し、相手を自陣に押し込んだ上で、相手の守備を崩せるか注目したいところです。

Twitterを眺めていると、風間監督が試合前々日の会見で、「サイドチェンジに何の意味があるの?」と発言したことが注目されましたので、プレビューで風間監督の意図を読み解きたいと思います。風間監督が指導したチームのサッカーは、「パスサッカー」と形容されますが、実は風間監督は「横パスは一本も要らない」「サイドは常に空いている場所」と表現し、出来るだけ手数をかけずに、素早く相手ゴール前までボールを運ぶ事を求める監督でもあります。

ただ、風間監督が「サイドチェンジに何の意味があるの?」と発言する時は、必ず意図があります。風間監督が半ば極端な発言をする時は、「ある方向に向かっていたチームを、強引に違う方向に向かわせたい」という意図があります。最近、複数の選手から「サイドが空いているのだから、空いているサイドを使って攻撃したほうがいい」という発言が出ていました。間違っていないように思えるのですが、風間監督はこの発言を良しとはしませんでした。風間監督もサイドを活用する事の有効性は理解しています。しかし、今の段階でサイドを使う攻撃を覚えてしまうと、せっかく培っていた、「止める」「外す」「運ぶ」という動きに対する質の追求がぼやけてしまう。そう考えたのだと思います。

この試合、シモビッチではなく、佐藤と押谷を起用すると予想されているのも、質の追求がぼやけてしまうと考えたからだと思います。風間監督はシモビッチの能力は認めています。しかし、川崎フロンターレの監督を務めていた時、風間監督は「高さで解決しない」という言葉を用いて、ボールを扱う技術を突き詰めていった監督でもあります。シモビッチという選手を起用すると、シモビッチの強さという「高さ」に頼った攻撃が増え、1つ1つのプレーが適当になり、せっかく積み上げてきた事を失ってしまう危険性もある。そう考えたのだと思います。

選手の技術と個人戦術を組み合わせ、いかに正確にプレーし、相手の守備を崩すのか。2017年シーズンを通じて追求し続けている事が、現時点でどのレベルなのか。推し測るには、大分トリニータというチームはとてもよい相手だと思います。どんな試合になるのか、楽しみです。

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