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U-23サッカー日本代表で大島僚太が力を発揮できなかった理由を考える

      2016/02/02

2016年度AFC U-23チャンピオンシップに優勝し、リオデジャネイロオリンピックの出場権を獲得した、U-23サッカー日本代表。6戦全勝で優勝し、これ以上ない成果を挙げて帰国しました。しかし、チームの中には、力を発揮出来なかった選手もいます。

帰国後に選手たちが出演したテレビ番組の中に、副キャプテンを務めた選手の姿はありませんでした。その選手は、大島僚太。2014年のアジア大会ではキャプテンを務め、初戦の北朝鮮戦ではスタメン出場。チーム発足当時から、チームの中心として、活躍してきました。

しかし、AFC U-23チャンピオンシップでは調子が上がらず、2戦目のタイ戦ではスタメン落ち。3戦目のサウジアラビア戦ではゴールを決めたものの、準々決勝は勝負が決まってからの途中出場、準決勝では出場機会無し、決勝では途中交代後にチームが3ゴールを奪って逆転、と力を発揮せずに大会を終える事になってしまいました。

大島が力を発揮できなかった要因は、いくつか考えられます。

チームの戦い方に最後まであわず

1つ目は、攻撃でロングパスを多用したことです。大島が所属する川崎フロンターレでは、パスを何度もつなぎながら、ゴール前へのボールを運んでいきます。Jリーグ2015年シーズンにおいて、1試合あたりのパス数の平均が658.4(リーグ平均は458.9)という数字からも、いかにパスを何度もつないでいるか、分かります。

しかし、U-23サッカー日本代表の戦い方は、川崎フロンターレとは異なります。ボールを持ったら、まずFWの鈴木武蔵かオナイウ阿道へのロングパスを選択します。DFから大島にパスが出されることは稀です。大島はボールを持った時の技術に優れている選手ですが、ボールを持つ機会が少なかったため、強みを発揮する機会が少なかったのです。

「フリー」の考え方が違う

2つ目は、「フリー」という状態の定義が異なることです。川崎フロンターレは、「フリー」の状態の定義が、他のチームとは異なります。川崎フロンターレ以外のチームは、「相手が周りにいない」状態の事をフリーと定義しています。しかし、川崎フロンターレは、相手がいてもかわせる、あるいは相手が届かない場所にパスをして、ボールを取られないのであれば、それは「フリー」だという考えをもっています。

大島は、近くに相手がいても、トラップやドリブルで相手をかわすプレーを得意としています。だから、相手選手が近くにいても、大島にとってはボールをとられない位置にコントロール出来る自信があるので、彼としては「フリー」なのです。ところが、味方の選手からしてみると、大島の状態は「フリー」ではなく、「マークされている」状態なのです。今大会のように、一度のミスで勝負が決まるような緊迫した試合で、マークされていると思える選手(特に中盤)にパスをするのは、簡単ではありません。したがって、大島へのパスは少なくなっていったのです。

余談ですが、川崎フロンターレに入団した新加入選手は、この「フリー」の定義の理解に苦労します。パスをつけるタイミングが他のチームと違うので、大抵の選手は大久保か中村に怒られます。今大会は大島からポジションを奪った原川が、川崎フロンターレで大島からポジションを奪えるかというと、そんな簡単なことではないと思います。

パスをしてもリターンが返ってこない

3つ目は、パスを味方にしてもリターンが返ってこなかったことです。川崎フロンターレでは、ボランチの中村憲剛と横方向に何度もパスを交換し、相手の守備を揺さぶってから、縦方向へのパスを出して、攻撃をスピードアップさせます。しかし、U-23サッカー日本代表で同じボランチだった遠藤航とは、ほとんどパス交換する機会がありませんでした。遠藤にパスをしても、遠藤は大きくサイドチェンジしてしまったり、縦方向にパスをするのが早いタイミングでパスをしてしまったり、大島にリターンを返すことはほとんどありませんでした。

遠藤だけでなく、他の選手に大島がパスをしても、大島にリターンが返ってくることはほとんどありませんでした。大島にパスして、相手の目線が動いた後に動き直して、もう一度パスを受ければ、決定的なチャンスになる場面でも、自らドリブルをしかけたり、相手がきちんとマークしている場所にパスをして、ボールを奪われる場面が何度もみられました。

コンディションが上がらず、よいプレーも出来ず

ただ、大島にも責任はあります。川崎フロンターレでみせているような、相手をかわすようなドリブルはほとんどみられず、ボールをもっても違いをみせつけるような場面は、ほとんどみられませんでしたし、コンディションもよくなさそうに見えました。自分のやりたいプレーがあるなら、そのプレーが有効であることをプレーで証明すべきですし、味方にもっと要求するべきだったと思います。

手倉森監督が辛抱強く大島を起用したのは、ボールを握る時間を増やさないと大会を勝ち抜いていくことも出来ないし、オリンピックでメダルを取ることも出来ないと思っていたからだと思います。そして、ボールを握るためのキーマンは大島だと思っているからだと思います。大島を活かせなかったという点は、そのままU-23サッカー日本代表の課題でもあります。

しかし、コンディションが上がらない選手を起用し続けて勝てるほど、簡単な大会ではありません。手倉森監督の判断は、当然だったと思います。

川崎フロンターレの背番号10はどんなプレーをするのか

2016年シーズン、大島は川崎フロンターレで背番号10をつけてプレーします。チーム創立20周年の節目となるシーズンの背番号10。チームがいかに大島に期待しているか分かります。彼にとっても勝負のシーズンともいえる、2016年シーズンのスタートは、彼自身望んだ結果ではないかもしれません。

「笑顔がキュート」な背番号10番は、誰よりも「負けたくない」という気持ちを秘めた選手でもあります。だからこそ、2016年シーズンで大島が今後どんなプレーをするのか、注目したいと思います。

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